
授乳中のカロリー必要量は、授乳していない女性に比べて1日350kcalの付加量が必要です(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)。産後の回復・母乳分泌を支えるために適切なエネルギー摂取は不可欠で、無理なダイエットは母乳の質と量に影響を与える可能性があります。
授乳中の1日カロリー必要量の目安
条件 | 1日のエネルギー目安 |
|---|---|
授乳中・身体活動レベルⅠ(低い) | 約2000kcal/日 |
授乳中・身体活動レベルⅡ(ふつう) | 約2350kcal/日 |
授乳中・身体活動レベルⅢ(高い) | 約2700kcal/日 |
授乳なし・同年代女性(参考) | 約1700〜2050kcal/日 |
授乳付加量の+350kcalは母乳1日分(約800mL)の生産に必要なエネルギーと体重変動を考慮した値です。
参考: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」18〜49歳授乳婦の値に基づく
350kcal増の具体的なイメージ
- コンビニおにぎり約1.5個分(約330kcal)
- 牛乳200mL+ゆで卵1個+バナナ1本(合計約350kcal)
- 食パン1枚(6枚切り)+アーモンドひとつかみ(約350kcal)
- ヨーグルト(無糖)200g+アボカド半分+全粒粉クラッカー(約340kcal)
「無理に食べ増やす」ではなく、間食を1〜2回取り入れることで自然に補える量です。
食品群別の1日摂取量目安
食品群 | 授乳中の1日目安量 | 具体例 |
|---|---|---|
主食(炭水化物) | ご飯茶碗4〜5杯相当 | ご飯・パン・麺類 |
主菜(タンパク質) | 3〜4品 | 肉・魚・卵・大豆製品 |
副菜(野菜・海藻) | 5〜6皿相当(350〜400g/日) | 緑黄色野菜・淡色野菜・海藻類 |
乳製品 | 牛乳換算300〜400mL/日 | 牛乳・ヨーグルト・チーズ |
果物 | 200g/日 | バナナ・キウイ・みかん等 |
脂質 | 植物油大さじ2程度 | オリーブオイル・えごま油 |
授乳中のダイエット:NGと安全なアプローチ
授乳中でも取り組んでよいこと
- 揚げ物・スナック菓子・糖分の多い飲料など「空カロリー」を減らす
- 産後4〜6週以降からの軽いウォーキング・ストレッチ
- 食事の質(タンパク質・食物繊維)を高める
授乳中に避けるべきこと
- 1日1200kcal以下の極端な制限: 母乳分泌量の減少・疲労感の悪化・栄養欠乏のリスク
- 特定の食品群を完全排除(炭水化物ゼロ等): エネルギー不足・血糖値の乱れ
- 利尿剤系サプリ・カフェイン高含有製品: 脱水・母乳量への影響
産後の安全な体重減少の目安は月0.5〜1kg程度です。急激な体重減少は産後の回復を妨げます。
授乳中に特に意識したい栄養素
- タンパク質: 体重×1.0〜1.2g/日を目安に。筋肉の回復・母乳成分の生成に必要
- DHA(オメガ3): 週2〜3回の青魚で確保。赤ちゃんの脳・神経発達に重要
- カルシウム+ビタミンD: 授乳で骨からカルシウムが失われやすい。乳製品+日光浴の習慣化
- 鉄分: 産後出血後に鉄が枯渇しやすい。赤身肉・レバー・あさり・小松菜を意識
- 水分: 母乳の80〜90%は水分。1日2〜2.5Lを目安に
育児中でも続けやすい食事管理のコツ
- 作り置きを活用: 煮物・ゆで卵・焼き魚をまとめて用意しておく
- コンビニ食の賢い活用: おにぎり+サラダチキン+無糖ヨーグルト+バナナの組み合わせで栄養バランスが保てる
- 授乳後に補食を習慣化: 授乳後にナッツ・チーズ・果物などの軽食を摂ると自然にカロリーを補える
- カロリー計算より「毎食タンパク質があるか」を確認するだけで十分
よくある質問
Q. 母乳育児をすると自然に痩せますか?
授乳はカロリー消費を促しますが、自動的に産前体型に戻るわけではありません。個人差が大きく、食事量・活動量・ホルモン状態によって変わります。授乳が落ち着いてからゆっくり取り組むほうが長期的には有効です。
Q. 授乳中に食べてはいけない食品はありますか?
明確に禁忌なのは大量飲酒・過剰なカフェイン(コーヒー換算で1日3〜4杯超)・水銀含有量の多い魚類(メカジキ・サメなど)の過剰摂取です。
Q. 産後2ヶ月で体重が全然減らないのは食べすぎですか?
授乳中はプロラクチンの影響で体脂肪が維持されやすいという報告もあります。産後6ヶ月以上の視点で取り組みましょう。
Q. 授乳中でもプロテインを飲んでよいですか?
大豆プロテインやホエイプロテインは一般的に授乳中でも使用可能とされています。添加物が少ないシンプルな原材料のものを選んでください。
Q. 水分を控えるとむくみが解消されますか?
逆効果です。水分を控えると便秘・母乳量の減少につながります。むくみの改善には水分制限より塩分制限と軽い運動が有効です。
まとめ
授乳中は1日350kcalの付加量(合計2000〜2350kcal程度)が必要です。主食・主菜・副菜・乳製品のバランスを維持することが母乳の質と産後回復に直結します。カロリー計算より「栄養の質」を高めることを意識し、産後6〜12ヶ月以降に改めてダイエットを検討するのが安全です。
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、医療行為の代替ではありません。個々の状態についてはかかりつけ医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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