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流産とは?|定義・種類・原因を分かりやすく解説

2026/4/19

流産とは?|定義・種類・原因を分かりやすく解説

「流産」という言葉を耳にしたとき、多くの人は「ごく稀な出来事」と思いがちです。しかし臨床的に確認された妊娠のうち約15%は流産に終わり、化学的流産(着床直後の妊娠消失)を含めると全妊娠の30〜40%にのぼると報告されています。流産の定義・種類・原因を正確に知ることは、不必要な自己嫌悪を減らし、次の一歩を適切に踏み出すための土台になります。

【この記事のポイント】

  • 日本の法律では妊娠22週未満の妊娠消失を流産と定義しており、WHOや米国とは基準が異なる
  • 流産の頻度は「思ったより多く」、臨床的妊娠の約15%・化学的流産を含めると約30〜40%——多くは染色体異常という「偶発的なエラー」が原因
  • 1回の流産後に次の妊娠が成功する確率は80〜85%と高く、2回連続でも約75%——流産=妊娠できない体ではない

流産の定義:日本・WHO・米国で異なる「週数の基準」

流産の定義は国や医療機関によって微妙に異なります。日本の母体保護法では妊娠22週未満(21週6日以前)の妊娠消失を流産と定義しており、22週以降は死産として扱います。一方、WHOは28週未満、米国産科婦人科学会(ACOG)は20週未満を流産の基準としており、統計を比較する際は定義の違いに注意が必要です。

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、流産を「胎芽または胎児が生存能力を獲得する前に妊娠が終了した状態」と記述しています。臨床の現場では、妊娠12週未満を「早期流産」、12〜22週未満を「後期流産」と呼び、対応方針が異なります。

「週数」と「胎芽・胎児」の違いも理解しておく

妊娠8週未満の段階は胎芽期と呼ばれ、この時期の妊娠消失は特に「初期流産」に分類されます。全流産の80%以上が妊娠12週未満、そのうち大部分が8週未満で発生します。週数が早いほど染色体異常が主因となる傾向があり、母体側の要因よりも「受精卵そのものの問題」である場合がほとんどです。

「化学的流産」は流産に含まれるのか

化学的流産(biochemical pregnancy loss)とは、市販の妊娠検査薬でhCGが検出された後、超音波検査で胎嚢が確認される前に妊娠が消失した状態です。日本の法的定義では流産に含まれないケースが多く、婦人科の統計でも「臨床的流産」と区別して扱われます。ただし当事者の心理的負担は臨床的流産と変わらないため、医療者への相談は遠慮なく行って問題ありません。

流産の種類:7つの型と、それぞれの意味

流産は経過・状態によって複数の型に分類されます。同じ「流産」でも管理方針が異なるため、診断名を正確に把握することが重要です。

種類

定義・状態

主な対応

切迫流産

出血や下腹部痛はあるが、子宮口が閉じており妊娠継続の可能性がある状態

安静・経過観察(一部は薬物療法)

進行流産

出血・腹痛があり、子宮口が開いて流産が進行中の状態

経過観察または処置

完全流産

妊娠組織がすべて体外に排出された状態

超音波で確認後、経過観察

不全流産

妊娠組織の一部が子宮内に残存している状態

子宮内容除去術(搔爬)または薬物療法

稽留流産(けいりゅう流産)

胎芽・胎児の心拍が停止しているが、体外への排出が起きていない状態

自然排出の待機、または子宮内容除去術

感染流産

子宮内に感染が生じた状態。発熱・悪臭帯下を伴う

抗生剤投与+緊急処置(敗血症予防)

習慣流産(反復流産)

3回以上(日本産科婦人科学会の定義)または2回以上の流産を繰り返す状態

原因精査・不育症外来への受診

切迫流産と流産の違い——「まだ終わっていない」状態を知る

「切迫流産」と診断されても、その約50%は妊娠を継続できると報告されています(日本産科婦人科学会の資料より)。出血があっても即座に流産が確定したわけではなく、超音波検査で胎児心拍を確認できた場合は経過観察が基本方針になります。ただし、出血量が多い・腹痛が強い場合は速やかに受診することが重要です。

稽留流産の特徴——症状なしで発見されるケース

稽留流産は自覚症状に乏しく、定期健診の超音波検査で初めて発覚することが少なくありません。妊娠の継続を信じていた当事者にとって心理的なショックが大きい型でもあります。処置の方針(待機・手術・薬物)は妊娠週数や状態によって異なるため、担当医師と十分に話し合って決定することが望まれます。

流産の発生率:「珍しいこと」ではないというデータ

臨床的妊娠(超音波で胎嚢が確認できた妊娠)のうち約10〜15%が流産に終わります。さらに化学的流産を含めると、全妊娠の30〜40%が流産となると推計されています(Wilcox AJ et al., NEJM, 1988)。

年齢別の流産率:加齢による変化

流産率は妊娠した人の年齢によって大きく異なります。

年齢

臨床的妊娠における流産率(目安)

20〜24歳

約8〜10%

25〜29歳

約10〜12%

30〜34歳

約12〜15%

35〜39歳

約20〜25%

40〜44歳

約35〜45%

45歳以上

約50〜60%以上

年齢とともに流産率が上昇するのは、主に卵子の老化に伴う染色体異常の増加が原因です。これは母体の「体力」や「努力」とは無関係の生物学的な現象です。

「流産を繰り返す人」は少数派

1回の流産を経験した場合でも、次の妊娠が成功する確率は80〜85%と報告されています。2回連続の流産後でも次回成功率は約75%、3回連続(習慣流産)の場合でも約65%の人が次回妊娠を継続できるとされています(Brigham SA et al., Fertil Steril, 1999)。流産は「次も失う」ことを意味しません。

流産の原因:約50〜60%は染色体異常

初期流産(妊娠12週未満)の原因の50〜60%は胎児側の染色体異常です。これは受精の際に起きる「コピーミス」であり、母体の行動・生活習慣とは基本的に無関係です。

胎児側の原因

  • 染色体異常(数的異常):トリソミー(染色体が1本多い)が最多。加齢により頻度が増加
  • 形態形成の異常:心臓・神経管など主要器官の発達不全
  • 多胎妊娠の一方の胎芽消失:双胎のうち一方が消失するvanishing twin現象

母体側の原因(一部)

  • 子宮形態異常:子宮中隔、双角子宮など。着床位置によって流産リスクに影響
  • 抗リン脂質抗体症候群:血液を固まりやすくする自己抗体が胎盤血流を阻害。習慣流産の約5〜10%に関与
  • 内分泌異常:甲状腺機能低下症、黄体機能不全、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など
  • 子宮筋腫・子宮内腔ポリープ:着床位置や子宮内腔変形が影響する場合がある

「自分のせい」ではないことを示すデータ

「激しく動いたから」「食べ物がいけなかったから」と自責する声をよく耳にします。しかし初期流産の多くは受精卵の染色体異常が原因であり、通常の日常生活(仕事・運動・性生活)が流産を引き起こすという科学的根拠はありません。日本産科婦人科学会も「初期流産の多くは胎児側の問題が原因であり、母体の行動が直接的な原因になることは稀」と明示しています。

習慣流産・不育症:繰り返す場合に検査すべきこと

2回以上流産を繰り返す場合は「反復流産」、3回以上の場合は「習慣流産」と定義され、不育症として原因精査の対象となります。全妊娠女性の約1%が習慣流産に該当するとされます。

不育症の主な検査項目

  • 夫婦の染色体検査(均衡型転座など)
  • 抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体)
  • 甲状腺機能検査(TSH、FT4)
  • 子宮形態評価(超音波・子宮鏡・MRI)
  • 黄体機能・プロゲステロン値

検査で原因が判明するケースは全体の約50〜60%とされ、残り40〜50%は「原因不明」です。しかし原因不明の習慣流産でも、適切なサポート療法(胎盤注射・アスピリン療法など)を行うことで次回妊娠成功率が向上するとの報告があります。不育症外来への受診は、2回以上の流産後から検討してよいとする医師が増えています。

流産後の身体的回復と次の妊娠:タイミングの目安

流産後の身体的回復は個人差がありますが、多くの場合、次の月経は4〜8週間後に再来します。日本産科婦人科学会のガイドラインでは、子宮内容除去術後は「次の月経を1回待ってから妊娠を試みることが望ましい」とされていますが、最新の研究では1回待機の必要性について再検討が進んでいます。

妊娠試みのタイミング:最新の見解

2021年のWHOガイドラインでは、「流産後6ヶ月待機」の推奨が削除され、身体的・精神的な準備が整い次第、次の妊娠を試みることは医学的に問題ないとされました。ただし、後期流産(12週以降)や感染を伴った場合は担当医師との相談が必要です。

心理的回復も大切な要素

身体が回復しても、心理的な準備が追いつかないことは自然な反応です。流産後のグリーフ(悲嘆)は平均数週間〜数ヶ月続くとされ、パートナーや医療者との対話が回復を支える重要な役割を果たします。流産後のメンタルケアに特化した相談窓口(不育症研究のNPOや産婦人科附属の心理サポート)を活用することも一つの選択肢です。

受診の目安:こんな症状があれば産婦人科へ

次のいずれかに当てはまる場合は、速やかに産婦人科を受診することが推奨されます。自己判断で様子を見るよりも、早期受診で選択肢が増えるケースがあります。

  • 妊娠中に性器出血(量にかかわらず)がある
  • 下腹部痛・腰痛が持続する、または強くなる
  • 妊娠反応があったが月経様の出血が起きた
  • 定期健診で胎児心拍が確認できなかった
  • 2回以上の流産を経験した
  • 38℃以上の発熱と悪臭を伴う帯下がある(感染流産の疑い:緊急)

よくある質問(FAQ)

流産は「珍しいこと」ですか?

臨床的妊娠の約10〜15%は流産に終わります。化学的流産を含めると全妊娠の30〜40%と推計されており、珍しい出来事ではありません。特に妊娠8週未満の超早期流産は、多くの場合は受精卵の染色体異常が原因で、母体の状態や行動とは無関係です。

流産は自分の生活習慣が原因ですか?

初期流産の50〜60%は胎児の染色体異常が原因です。通常の日常生活・仕事・運動・性生活が流産を引き起こすという医学的根拠はありません。喫煙・大量飲酒は流産リスクを若干高めるとされていますが、それ以外の一般的な生活習慣が直接的原因になることは稀です。

流産後、次の妊娠はいつから試みてよいですか?

2021年のWHOガイドラインでは、身体的・精神的準備が整えば流産後すぐに妊娠を試みることは医学的に問題ないとされています。日本では次の月経を1回待つことを推奨する医師も多いため、担当医師と相談した上で判断するのが望ましいといえます。

2回流産しました。不育症の検査は必要ですか?

日本産科婦人科学会の定義では習慣流産は3回以上ですが、近年は2回以上の流産後から不育症外来での原因精査を勧める医師が増えています。年齢・流産の週数・状況によって判断が異なるため、まずは産婦人科で相談することを推奨します。

流産後の妊娠成功率はどのくらいですか?

1回の流産後の次回妊娠成功率は80〜85%、2回連続の流産後でも約75%と報告されています(Brigham SA et al., Fertil Steril, 1999)。流産の経験があっても、次の妊娠で出産に至る確率は十分高い水準にあります。

稽留流産と診断されましたが、症状がありません。なぜですか?

稽留流産は胎芽・胎児の心拍が停止しても、子宮が自然に排出反応を起こすまでに時間がかかることがあります。このため出血・腹痛などの自覚症状なく、超音波検査で初めて発見されることが少なくありません。処置を急ぐ必要があるかは週数や状態によって異なり、担当医師と相談して方針を決定します。

流産の後、気持ちが落ち込んでいます。どうすればよいですか?

流産後の悲嘆(グリーフ)は自然な心理的反応です。数週間〜数ヶ月続くことも珍しくなく、無理に「前向きにならなければ」と自分を追い込む必要はありません。信頼できる医師・助産師への相談のほか、不育症支援のNPOや産婦人科附属の心理相談窓口を利用することも助けになります。

まとめ

流産とは日本の法律上、妊娠22週未満の妊娠消失を指します。臨床的妊娠の約15%に起こる決して稀ではない現象であり、その過半数は胎児の染色体異常という「偶発的エラー」が原因です。種類は切迫流産・稽留流産・習慣流産など7つに分類され、それぞれ管理方針が異なります。

1回の流産後でも次の妊娠成功率は80〜85%と高く、「流産を経験した=妊娠できない体」ではありません。2回以上繰り返す場合は不育症外来での原因精査が選択肢となり、適切なサポートで改善が期待できるケースもあります。

出血・腹痛・心拍停止の診断など、気になる症状や状況があれば早めに産婦人科を受診してください。正確な診断と情報が、次のステップへの最善の準備になります。

次のステップへ

流産について「もっと詳しく聞きたい」「2回以上繰り返しているので検査を受けたい」と感じたら、産婦人科または不育症外来への受診を検討してください。流産の経験を持つ医師・助産師に状況を正確に伝えることで、あなたに合った対応方針を一緒に考えることができます。

不育症外来は大学病院や専門クリニックに設置されており、初診時には流産の回数・週数・既往歴を整理してメモしていくとスムーズです。一人で抱え込まず、まずは相談の一歩を踏み出すことが、前に進む力になります。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/28