不育症の検査は、流死産の経過に合わせて選びます。すべての検査・治療を一度に受ける必要はありません。ここでは、公的に掲載されている「不育症管理に関する提言2025」をもとに、受診・検査・治療の相談点を整理します。
いつ、どこへ相談する?
提言2025は、流産または死産が2回以上ある状態を不育症としています。出産した経験があっても、流死産が連続していなくても対象です。産婦人科や不育症専門外来に相談できます。
1回でも、妊娠週数や合併症から次のリスクが高いと考えられる場合は評価の対象です。生化学的妊娠は回数に含めませんが、繰り返す場合も経過を伝えてください。
受診時は「流産を防ぐために何を増やすか」の前に、これまでの記録から何が分かり、次に何を調べるかを確認します。
初診に持っていく情報
- 妊娠ごとの週数、超音波・心拍確認、流死産や出産の経過。
- 流産した組織の検査、これまでの血液・子宮検査の結果。
- 血栓症、甲状腺などの病歴、薬、不妊治療歴、家族の病歴。
- 次の妊娠への希望と、不安・費用・通院で困っていること。
全資料がそろうまで相談を待つ必要はありません。紹介状や過去の検査の取り寄せ方も、予約時に聞けます。
検査は、推奨と追加を分けて確認
| 主な確認 | 分かること・注意点 |
|---|---|
| 子宮の形 | 超音波などで形態を評価。方法ごとの見え方や負担を確認する。 |
| 抗リン脂質抗体 | APSに関連する抗体を調べる。陽性1回だけで診断しない。 |
| 夫婦の染色体 | 個別の適応を判断。検査前の遺伝カウンセリングと同意が大切。 |
| 甲状腺機能 | TSH・fT4などを評価。異常があれば追加検査や管理を相談する。 |
| 流産した組織の染色体 | 今回の流産の背景を考える材料。採取方法・検査法・結果の限界を聞く。 |
これらは提言の推奨検査ですが、全項目を全員に同じ順番で行うという意味ではありません。症状のない人にホルモン・凝固・免疫の大きな検査セットを一律に追加する説明には、目的を確認しましょう。
APSは抗体と妊娠歴で判断する
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、血栓や妊娠の合併症に関係する病気です。抗体検査だけでなく、血栓症・流死産などの経過も合わせて診断します。
検査基準の持続陽性は、陽性項目を12週間以上あけて再測定して確認します。検査法で基準値が異なり、研究用の新しい分類基準をそのまま産科の診断に当てはめることもできません。
薬を始める・やめる判断は?
基準を満たす産科APSでは、低用量アスピリンとヘパリンの併用が基本です。基準を満たさない場合は根拠と個別リスクが異なるため、結果の意味を専門医と確認します。
開始・終了時期は、妊娠の経過、出血や血栓のリスク、分娩・麻酔の計画で調整します。市販薬や手元の薬で開始せず、処方薬も自己中止しないでください。
追加検査・PGT・慢性子宮内膜炎の位置付け
新しい抗体が、全員の初回検査とは限らない
提言は検査を「推奨・選択的・研究的・非推奨」に分けています。抗PS/PT抗体などの追加検査は、対象や根拠を確認して選びます。「新しい検査なら原因が必ず分かる」とは限りません。
染色体の構造異常がある場合のPGT-SR
PGT-SRは、夫婦の染色体構造異常がある場合に検討する胚の検査です。体外受精が必要で、自然妊娠を選ぶ場合と比べた負担・流産・最終的な出産の見通しを遺伝カウンセリングで聞きます。
流産率の低下が報告されても、累積の生児獲得率が必ず上がるとはいえません。原因不明不育症に対するPGT-Aとは対象が異なり、全員に必要な治療ではありません。
慢性子宮内膜炎は研究的検査に分類
提言では、CD138陽性細胞や子宮内フローラの検査は研究的検査です。細胞数の診断基準は一定せず、抗菌薬で改善しても流産を必ず防げるわけではありません。全員の初回生検や一律の抗菌薬投与とは分けて考えます。
原因が分からなくても、相談・支援を続ける
一般的な検査でリスク因子が見つからないことはあります。それだけで次も流産すると決まるわけではなく、一律にアスピリンやヘパリンを増やす根拠もありません。流産が多く続く場合は、専門施設で再評価を相談します。
TLC(支持的ケア)は、不安や悲嘆への支援です。話を聞いてもらう時間、妊娠中の連絡先、診察の予定などを本人・パートナーの希望に合わせます。毎週の超音波や24時間対応を全員に必須とするものではありません。
妊娠継続への効果は十分に確立していません。「気持ちを整えれば流産を防げる」という意味ではなく、治療の有無にかかわらず受けられる支援です。
費用は検査前に、項目ごとに確認する
保険診療・先進医療・自費を分け、検査名、必要性、自己負担の見積もりを聞きましょう。流産手術時の絨毛染色体検査(G分染法)には、流産歴などの保険適用条件があります。全検査が自費という説明は正確ではありません。
先進医療の一部は自治体の助成対象です。対象検査・施設・居住地・申請期限は制度ごとに異なるため、検査前に住所地の窓口へ確認してください。国の「性と健康の相談センター」も、医学的な相談やピアサポートの窓口です。
出典と確認日
2026年10月27日確認。この記事は個別の診断や投薬指示を行うものではありません。
- こども家庭庁:不育症に関する取組み・不育症管理に関する提言2025(定義、検査区分、APS、PGT-SR、支持的ケア)。
- RCOG:Recurrent miscarriage(検査・治療・支援。国内との定義の違いに注意)。
- 埼玉県:先進医療不育症検査費助成事業(2026年度の一例。全国共通の条件ではない)。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。

この記事を書いた人
EggLink編集部
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