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NIPT(新型出生前診断)とは?|検査の仕組みと対象

2026/4/19

NIPT(新型出生前診断)とは?|検査の仕組みと対象

NIPT(新型出生前診断)とは?|検査の仕組み・対象疾患・費用をわかりやすく解説

最終更新日:2026年4月28日

NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、妊婦さんの血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断です。採血だけで検査が完了するため流産リスクがなく、感度99%以上という高い精度が特徴です。本記事では、NIPTの仕組み・対象疾患・費用・認証施設制度・確定検査との違いまで、検査を検討するうえで必要な情報を網羅的に解説します。

この記事でわかること

  • NIPTは妊婦の血液中のcfDNA(胎児由来の細胞フリーDNA)を解析し、染色体異常の有無を判定する非侵襲的検査
  • 主な対象疾患は21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー(エドワーズ症候群)・13トリソミー(パトー症候群)の3つ
  • 感度99%以上・特異度99.9%以上だが「確定検査」ではなく「スクリーニング検査」に分類される
  • 費用は約15〜22万円(自費診療)。認証施設での受検が推奨される
  • 陽性の場合は羊水検査・絨毛検査などの確定検査が必要

NIPTとは?|母体の採血だけで胎児の染色体異常がわかる非侵襲的な出生前スクリーニング検査

NIPTは母体の血液に含まれるcfDNA(cell-free DNA:細胞フリーDNA)を解析して、胎児の染色体異常の可能性を判定する検査です。妊娠中、胎盤から母体の血液中に胎児由来のDNA断片が放出されており、このcfDNAの量的バランスを次世代シーケンサーで分析します。

従来の出生前診断(羊水検査・絨毛検査)は子宮に針を刺すため約0.1〜0.3%の流産リスクがありましたが、NIPTは腕からの採血のみで完了します。この非侵襲性が「新型出生前診断」と呼ばれる最大の理由です。

日本では2013年に臨床研究として導入され、2022年からは日本医学会の認証施設制度のもとで運用されています。

NIPTの対象疾患|21・18・13トリソミーの3疾患が標準検査項目として設定されている

認証施設で受けられるNIPTの標準検査対象は、以下の3つの染色体数的異常(トリソミー)です。

対象疾患

染色体

発生頻度(概算)

主な特徴

ダウン症候群

21番染色体トリソミー

約700〜800人に1人

知的発達の遅れ、心疾患合併が多い

エドワーズ症候群

18番染色体トリソミー

約3,500〜8,500人に1人

多臓器の重度合併症。生後1年の生存率は約10%

パトー症候群

13番染色体トリソミー

約5,000〜12,000人に1人

重度の脳・心臓・腎臓の形態異常

一部の非認証施設では性染色体異常や微小欠失症候群まで検査項目を拡張していますが、拡張検査は偽陽性率が高くなる傾向があり、日本産科婦人科学会は認証施設での標準3疾患の検査を推奨しています。

NIPTの精度|感度99%以上・特異度99.9%以上だが「確定診断」ではない点に注意が必要

NIPTの検査精度は、染色体異常のスクリーニング検査としては極めて高い水準にあります。

指標

21トリソミー

18トリソミー

13トリソミー

感度(陽性的中率とは異なる)

99.1%以上

97.4%以上

91.7%以上

特異度

99.9%以上

99.9%以上

99.9%以上

ただし、感度が高い=確定診断ではありません。NIPTはあくまで「スクリーニング検査」であり、陽性と判定された場合でも偽陽性の可能性があります。特に母体年齢が若い場合や、有病率が低い疾患では陽性的中率(PPV)が下がるため、陽性結果が出た場合は必ず確定検査で診断を確認する必要があります。

また、胎児由来cfDNAの割合(fetal fraction)が低い場合は判定不能となることがあり、その場合は再採血または他の検査を検討します。

NIPTの対象者と受検時期|妊娠10週以降であれば年齢制限なく受検できるよう2022年に制度改正

2022年の認証制度改正により、従来あった「35歳以上」などの年齢要件は撤廃されました。現在の認証施設における受検条件は以下のとおりです。

  • 妊娠10週0日以降(cfDNAの量が十分になる時期)
  • 妊婦本人が検査の意義・限界を理解し、遺伝カウンセリングを受けていること
  • 検査前後の遺伝カウンセリング体制がある施設で受検すること

受検の推奨時期は妊娠10〜16週です。結果が出るまで通常1〜2週間かかるため、確定検査への移行期間も含めて早めの相談が推奨されます。なお、双胎妊娠(双子)でもNIPTは受検可能ですが、精度がやや低下する点に留意が必要です。

NIPTの費用|自費診療で約15〜22万円が相場。認証施設と非認証施設で価格差がある

NIPTは保険適用外の自費診療です。費用は施設によって異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。

施設種別

費用目安

含まれるサービス

認証施設(大学病院等)

約15〜22万円

検査前後の遺伝カウンセリング込み

非認証施設(クリニック等)

約10〜20万円

カウンセリング体制は施設により異なる

費用を比較する際は、検査料金の安さだけでなく、遺伝カウンセリングの有無・陽性時のフォロー体制・確定検査への紹介体制も含めて判断することが重要です。一部の自治体では出生前検査に関する相談窓口を設置していますので、費用面の不安がある場合は居住地の窓口に確認してみてください。

NIPT認証施設制度とは|日本医学会が検査品質と遺伝カウンセリング体制を審査・認証する仕組み

2022年、日本医学会の「出生前検査認証制度等運営委員会」がNIPTの認証施設制度を開始しました。認証施設には「基幹施設」と「連携施設」の2種類があります。

  • 基幹施設:遺伝専門医・臨床遺伝専門医が常勤し、確定検査(羊水検査等)まで一貫して対応できる施設。主に大学病院や周産期センター
  • 連携施設:基幹施設と提携し、検査の実施と遺伝カウンセリングを行う施設。陽性時は基幹施設に紹介

認証施設では、検査前に遺伝カウンセリングを必ず実施し、検査の意義・限界・陽性時の選択肢について十分な説明を受けられます。認証施設の一覧は日本医学会のウェブサイトで公開されています。

非認証施設でもNIPTを実施している機関はありますが、遺伝カウンセリング体制や陽性時の対応に差があるため、日本産科婦人科学会は認証施設での受検を推奨しています。

NIPTと確定検査の違い|NIPTは「可能性を示す検査」、羊水検査・絨毛検査は「診断を確定する検査」

出生前検査は大きく「非確定検査(スクリーニング)」と「確定検査」に分かれます。NIPTは前者に該当します。

項目

NIPT(非確定検査)

羊水検査(確定検査)

絨毛検査(確定検査)

方法

母体の採血

子宮に針を刺して羊水を採取

胎盤の絨毛組織を採取

実施時期

妊娠10週以降

妊娠15〜16週以降

妊娠11〜14週

流産リスク

なし

約0.1〜0.3%

約0.2〜1.0%

結果の位置づけ

陽性・陰性・判定保留

確定診断

確定診断

結果までの期間

約1〜2週間

約2〜3週間

約2〜3週間

NIPTで陰性の場合は、対象疾患の可能性が極めて低いと判断できます(陰性的中率は99.9%以上)。一方、陽性の場合は偽陽性の可能性があるため、確定検査で診断を確認したうえで今後の方針を検討します。

NIPTに関するよくある質問

NIPTは何週目から受けられますか?

妊娠10週0日以降に受検できます。胎児由来cfDNAが十分な量になるのがこの時期で、それより早いと判定精度が下がる可能性があります。

NIPTで性別はわかりますか?

性染色体の検査を含むプランでは判明しますが、認証施設の標準検査(3疾患)には性染色体検査は含まれていません。性別判定を希望する場合は施設に事前確認してください。

NIPTの結果が陽性だった場合、どうすればよいですか?

NIPTの陽性は「確定」ではありません。必ず羊水検査または絨毛検査で確定診断を受けてください。認証施設では陽性時の遺伝カウンセリングと確定検査への紹介が一連の体制として用意されています。

NIPTは全額自費ですか?医療費控除の対象になりますか?

NIPTは保険適用外のため全額自費です。費用は約15〜22万円が目安です。医療費控除については、診断目的の検査であれば対象となる可能性がありますが、税務署に確認することをおすすめします。

NIPTと母体血清マーカー検査(クアトロテスト)の違いは?

母体血清マーカー検査は母体血中のタンパク質やホルモンの濃度から確率を算出する検査で、感度は約80%です。NIPTはcfDNAを直接解析するため感度99%以上と精度が大きく異なります。ただし、母体血清マーカー検査は費用が約2〜3万円と安価です。

非認証施設でNIPTを受けても大丈夫ですか?

非認証施設でも検査自体は可能ですが、遺伝カウンセリング体制や陽性時のフォロー体制が不十分な場合があります。日本産科婦人科学会は認証施設での受検を推奨しています。

NIPTで「判定保留」になることはありますか?

あります。胎児由来cfDNAの割合(fetal fraction)が低い場合や、母体の体格(BMI高値)の影響で十分な解析ができないと判定保留になることがあります。その場合は再採血または別の検査を検討します。

まとめ|NIPTは安全で精度の高い検査だが、結果の解釈には専門家のサポートが不可欠

NIPTは採血のみで胎児の染色体異常をスクリーニングできる検査であり、流産リスクがなく感度も99%以上と高い精度を持っています。ただし、あくまでスクリーニング検査であり確定診断ではないこと、陽性の場合は確定検査が必要であることを理解しておくことが重要です。

検査を検討する際は、認証施設で遺伝カウンセリングを受け、検査の意義と限界を十分に理解したうえで判断してください。

NIPTの受検を検討されている方へ

MedRootでは、NIPT認証施設を含む産婦人科の情報を掲載しています。お近くの施設を探し、まずは遺伝カウンセリングの予約から始めてみてください。

※本記事は医学的な情報提供を目的としたものであり、特定の判断や行動を推奨するものではありません。検査の受検については、かかりつけの産婦人科医にご相談ください。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/27