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甲状腺と妊活|甲状腺機能異常が妊娠に与える影響

2026/4/19

甲状腺と妊活|甲状腺機能異常が妊娠に与える影響

甲状腺の病気が妊活に影響することをご存じでしょうか。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や甲状腺機能低下症(橋本病)は、排卵障害や流産リスクの上昇と深く関わっています。しかし適切な治療でホルモン値をコントロールすれば、多くの方が妊娠・出産に至っています。この記事では、甲状腺機能異常が妊娠に与える具体的な影響と、妊活中に必要な検査・治療について解説します。

この記事のポイント

  • 不妊症の原因の約5〜10%に甲状腺機能異常が関与しているとされる
  • 妊活中のTSH目標値は2.5 mIU/L以下が推奨される(日本甲状腺学会ガイドライン)
  • 甲状腺の治療を行えば、多くの場合、自然妊娠や不妊治療の成功が期待できる

甲状腺機能と妊娠力の関係

甲状腺ホルモン(T3・T4)は全身の代謝を調節するホルモンで、卵巣機能や子宮内膜の発育にも深く関わっています。甲状腺機能が亢進(過剰)または低下している状態では、正常な排卵や着床が妨げられます。

甲状腺機能低下症が排卵に与える影響

甲状腺ホルモンが不足すると、下垂体からTSH(甲状腺刺激ホルモン)が過剰に分泌されます。TSHの上昇はプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の分泌を刺激し、高プロラクチン血症を引き起こすことがあります。プロラクチンの上昇は排卵を抑制するため、月経不順や無排卵の原因となります。

甲状腺機能亢進症の影響

甲状腺ホルモンの過剰分泌は、月経過少や無月経を引き起こすことがあります。また、バセドウ病の未治療状態での妊娠は、流産・早産・妊娠高血圧症候群のリスクを高めます。妊娠前にホルモン値を安定させることが重要です。

潜在性甲状腺機能低下症 — 見逃されやすい不妊原因

TSHが基準値上限〜10 mIU/Lの範囲にある「潜在性甲状腺機能低下症」は、自覚症状が乏しいにもかかわらず、妊娠率の低下や流産率の上昇と関連しています。

潜在性甲状腺機能低下症の頻度と影響

項目

データ

一般女性での有病率

約4〜8%

不妊女性での有病率

約10〜15%

流産リスクの上昇

約2倍(TSH 4.0以上)

治療による改善

レボチロキシン投与で流産率が正常値まで低下

通常の健康診断ではTSHが測定されないことも多く、不妊の原因が特定できないまま時間が過ぎるケースがあります。妊活を始めたら、甲状腺機能の検査を早めに受けることをおすすめします。

妊活中に必要な甲状腺の検査

妊活中の甲状腺検査では、TSH・FT4(遊離T4)・甲状腺抗体(TPO抗体・Tg抗体)を測定することが推奨されます。

検査項目と基準値

検査項目

妊活中の目標値

意味

TSH

0.4〜2.5 mIU/L

2.5以下が妊活時の推奨値

FT4

0.9〜1.7 ng/dL

甲状腺ホルモンの実働量

TPO抗体

陰性が理想

陽性の場合、橋本病の可能性と流産リスク上昇

Tg抗体

陰性が理想

甲状腺自己免疫の指標

検査を受けるべきタイミング

  • 妊活を始める前のスクリーニングとして
  • 月経不順や無排卵の原因検索として
  • 過去に流産を経験した場合(特に2回以上)
  • 甲状腺疾患の家族歴がある場合
  • 体外受精を開始する前の必須検査として

検査は産婦人科・内分泌内科のどちらでも実施可能です。費用は保険適用で約2,000〜5,000円(3割負担)が目安です。

甲状腺疾患の治療と妊活の両立

甲状腺機能異常は、適切な投薬でコントロールすれば妊活に大きな支障は出ません。ただし、妊娠前・妊娠中に薬の種類や用量の調整が必要です。

甲状腺機能低下症(橋本病)の治療

  • 薬剤:レボチロキシン(チラーヂンS)の内服。妊娠中も安全に使用可能
  • 目標:TSHを2.5 mIU/L以下に維持
  • 妊娠後の注意:妊娠すると甲状腺ホルモンの必要量が約30〜50%増加するため、妊娠判明後すぐに用量を増やす必要がある。4〜6週ごとにTSHのモニタリングが推奨

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療

  • 薬剤:メルカゾール(MMI)またはプロパジール(PTU)。妊娠初期はPTUが推奨(MMIに催奇形性のリスクが指摘されているため)
  • 目標:FT4を正常範囲に安定させてから妊活を開始
  • 治療期間:ホルモン値が安定するまで通常2〜3ヶ月。その後妊活を開始可能

甲状腺抗体陽性と流産リスク

甲状腺機能が正常でも、TPO抗体が陽性の女性は流産率が約2〜3倍になるとの報告があります。この抗体は橋本病の自己免疫マーカーですが、甲状腺機能が正常範囲内であっても妊娠予後に影響する可能性が指摘されています。

抗体陽性の場合の対応

  • TSHを2.5 mIU/L以下に管理することが特に重要
  • 反復流産(2回以上の流産)がある場合は、低用量レボチロキシンの予防投与が検討される
  • 不妊治療中は、主治医と内分泌内科の連携が欠かせない

甲状腺と不妊治療 — 体外受精への影響

体外受精を受ける前に甲状腺機能を最適化しておくことで、治療成績の改善が期待できます。

体外受精における甲状腺管理

  • 排卵誘発剤の使用により甲状腺ホルモンの需要が増加する場合がある
  • TSHが高め(2.5〜4.0)の場合、レボチロキシンの投与で着床率と妊娠継続率が改善したとの報告(Thyroid誌, 2017年)
  • OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症すると、甲状腺機能が一時的に悪化する可能性がある

多くの不妊治療クリニックでは、初診時に甲状腺機能検査が含まれています。結果を確認し、異常があれば治療開始前に対応しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 甲状腺の病気があっても妊娠できますか?

適切な治療でホルモン値をコントロールすれば、多くの方が妊娠・出産に至っています。橋本病でもバセドウ病でも、治療中の妊娠・出産の実績は豊富にあります。

Q. 甲状腺の薬は妊娠中も飲み続けて大丈夫ですか?

レボチロキシン(チラーヂンS)は妊娠中も安全に使用できます。バセドウ病の薬は種類の変更が必要な場合があるため、妊娠がわかったらすぐに主治医に報告してください。自己判断での中断は危険です。

Q. 甲状腺の検査はどこで受けられますか?

産婦人科、内分泌内科、一般内科で受けられます。妊活目的であれば、産婦人科で他の不妊スクリーニングと合わせて検査を受けるのが効率的です。

Q. TSHが2.5を少し超えていますが治療は必要ですか?

TSHが2.5〜4.0の範囲では、TPO抗体が陽性か、流産歴があるかなどにより判断が分かれます。主治医に妊活中であることを伝え、個別の判断を仰いでください。

Q. ヨウ素の摂取は甲状腺に影響しますか?

日本人は海藻類(昆布、わかめ等)からヨウ素を多く摂取する傾向があり、過剰摂取は甲状腺機能低下を悪化させる場合があります。橋本病の方は昆布だしの大量使用やヨウ素含有サプリメントに注意してください。

Q. 甲状腺疾患は遺伝しますか?

甲状腺の自己免疫疾患には遺伝的要素があります。母親が橋本病やバセドウ病の場合、子どもの発症リスクはやや高くなりますが、必ず遺伝するわけではありません。

まとめ

甲状腺機能異常は不妊症の隠れた原因として見逃されやすい疾患ですが、治療により妊娠率を大きく改善できる可能性があります。妊活を始めたらTSH・FT4・甲状腺抗体の検査を早めに受け、TSHを2.5 mIU/L以下に管理することを目指してください。すでに甲状腺の治療中の方は、妊活・妊娠中の薬の調整について主治医と相談し、産婦人科と内分泌内科の連携体制を整えておくことが大切です。

まずは専門医に相談する(Web予約)

免責事項

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。甲状腺疾患の診断・治療については、内分泌内科または産婦人科の担当医にご相談ください。薬の用量調整や中断は自己判断で行わないでください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2