
体外受精で「採卵が何個できたか」は治療の成否を大きく左右します。年齢が上がるほど採卵数は減少し、良好な胚盤胞を確保するためには多くの卵子が必要になります。本記事では、年齢別の平均採卵数・成功に必要な採卵数の目安・採卵数を増やすための戦略について解説します。
この記事のポイント
- 採卵数が10個以上確保できると累積妊娠率が有意に高くなるという研究データがある
- 40歳では平均採卵数が5〜8個程度に低下し、良好胚確保のため複数回採卵が必要なケースが多い
- AMH値・AFC(胞状卵胞数)で採卵数を予測し、最適な卵巣刺激量を設定できる
年齢別の平均採卵数:データが示す変化
体外受精における平均採卵数(成熟卵子数)は年齢とともに低下します。34歳以下では10〜15個程度、35〜37歳では8〜12個、38〜40歳では5〜10個、41〜42歳では4〜8個、43歳以上では2〜5個が一般的な目安とされています(個人差・クリニック・刺激プロトコルによって大きく異なります)。
成功するために必要な採卵数の目安
採卵数と累積生産率(赤ちゃんを産める確率)の関係について、採卵数が増えるほど累積妊娠率が上昇し、採卵数10〜15個で累積妊娠率が70〜80%程度に達するという研究があります。ただし卵子の質は年齢に依存するため、若い方と高齢の方では同じ採卵数でも得られる正常胚数が異なります。
AMH・AFCで採卵数を予測する方法
採卵前にAMH(抗ミュラー管ホルモン)と AFC(胞状卵胞数:経膣超音波で確認)を測定することで、採卵数を大まかに予測できます。AMH 2ng/mL・AFC 10個前後が平均的な卵巣予備能の目安です。AMHが低い場合(0.5ng/mL未満)は採卵数が2〜3個程度になる可能性があり、刺激量の調整が必要です。
採卵数が少ない場合の戦略:バンキングとは
1回の採卵で良好胚を確保できない場合、複数回の採卵を繰り返して胚を蓄積する「胚バンキング(卵子蓄積)」という戦略があります。特に40歳以上・AMH低値の方では、2〜3回の採卵で合計5〜10個の胚を確保してから移植に進む方針が取られることがあります。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とのバランス
採卵数を増やすために高用量の排卵誘発剤を使用すると、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高まります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は特に注意が必要です。GnRHアンタゴニスト法とGnRHアゴニストトリガーの組み合わせなど、OHSSリスクを軽減しながら採卵数を最大化するプロトコルが選択されます。
採卵数を最大化するための準備:生活習慣面
採卵3か月前からできる準備として、①禁煙(喫煙は卵子の質・数の両方に影響)、②ビタミンD・葉酸・CoQ10の補充、③適正体重の維持、④過度な運動の回避(特に週20時間以上の激しい運動)が挙げられます。これらは採卵数の直接的な保証はありませんが、卵巣環境の最適化につながる可能性があります。
採卵数が少なかった場合に見直すべきこと
採卵数が予測より少なかった場合、次の周期に向けて見直すべきポイントとして、①刺激プロトコルの変更(アンタゴニスト法→flare法など)、②刺激薬の種類・量の調整、③DHEA・CoQ10などの前処置の追加が検討されます。主治医に前回の刺激反応について詳しく確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 採卵で卵子が1個しか取れなかった場合、どうすれば良いですか?
A. 1個でも受精・胚盤胞化・着床に至ることはあります。ただし次回は刺激プロトコルを見直す必要があります。主治医と原因を分析し、次の戦略を立てましょう。
Q. 採卵数が多いほど良いのですか?
A. 必ずしも多ければ良いわけではありません。15〜20個を超えるとOHSSリスクが高まります。卵子の質と数のバランスを考えた最適な採卵数を主治医と相談することが重要です。
Q. 採卵数が少ないとわかった場合、すぐに体外受精に踏み切るべきですか?
A. AMHが低い・AFCが少ない場合でも自然妊娠が不可能ではありません。ただし時間が経つほど採卵数はさらに減少するリスクがあります。年齢と現状を踏まえ、早めの対応が推奨されます。
Q. 採卵後、次の採卵まで何か月空ける必要がありますか?
A. 通常は1〜2月経周期を休んでから次の採卵に進みます。卵巣の回復状態によっては1周期で再開できる場合もあります。
Q. AMHが低い(0.3ng/mL以下)場合、体外受精は無理ですか?
A. AMHが非常に低くても採卵が成功するケースはあります。ただし採卵できない可能性も考慮した上で、主治医と現実的なプランを立てることが重要です。
まとめ
採卵数は年齢とともに減少し、40歳以上では平均5〜8個程度です。良好胚を確保するには採卵数を増やすバンキング戦略が有効な場合があります。AMH・AFCで採卵数を予測し、最適な刺激プロトコルを主治医と設定することが成功率向上の鍵です。採卵数が少ない場合も諦めず、プロトコルの見直しと生活習慣の改善を継続することが重要です。
※本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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