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胚移植の年齢別着床率|新鮮胚vs凍結胚

2026/4/19

胚移植の年齢別着床率|新鮮胚vs凍結胚

胚移植の年齢別着床率|新鮮胚vs凍結胚の成功率データ

胚移植の着床率は年齢によって大きく変わり、30歳未満では約45〜50%ですが、40歳を超えると15%前後まで低下します。本記事では、日本産科婦人科学会のARTデータブックをもとに、年齢別の着床率・新鮮胚と凍結胚の成功率の違い・胚のグレードによる差・移植回数と累積妊娠率を具体的な数値で解説します。「自分の年齢での見通しを知りたい」という方に、根拠あるデータをお伝えします。

この記事のポイント

胚移植の着床率は30歳未満で約45〜50%、35歳で約35〜40%、40歳で約15〜20%と年齢とともに低下する

凍結融解胚移植は新鮮胚移植より着床率が約5〜10ポイント高い傾向がある

胚盤胞のグレード(AA〜CC)によって着床率は約20〜30ポイント差が生じる

移植3回目までの累積妊娠率は35歳未満で約80%に達するとの報告がある

年齢別の胚移植着床率はどのくらいか

胚移植の着床率は30歳未満で約45〜50%、35歳前後で約35〜40%、40歳で約15〜20%、43歳以上では10%以下に低下します。年齢が上がるほど卵子の染色体異常率が高まることが主な原因です。

日本産科婦人科学会ARTデータブックに基づく年齢別着床率

年齢

着床率(胚移植あたり)

妊娠率(移植あたり)

生産率(移植あたり)

30歳未満

約45〜50%

約45%

約35%

30〜34歳

約40〜45%

約40%

約30%

35〜37歳

約35〜40%

約35%

約25%

38〜39歳

約25〜30%

約28%

約18%

40〜42歳

約15〜20%

約18%

約10%

43歳以上

約5〜10%

約8%

約3%

生産率(実際に赤ちゃんが生まれる割合)は妊娠率よりさらに低くなります。これは流産率が年齢とともに上昇するためで、40歳以上では妊娠しても約40%が流産に至るとされています。

着床率低下の主な原因

  • 卵子の老化:加齢により卵子の染色体異常(異数性)の割合が上昇する
  • 子宮内膜の受容能低下:血流や内膜の厚さが変化し、着床環境が悪化する場合がある
  • ミトコンドリア機能の低下:胚の発育に必要なエネルギー産生が減少する

新鮮胚移植と凍結胚移植の成功率の違い

凍結融解胚移植の着床率は新鮮胚移植より約5〜10ポイント高いことが日本のARTデータで示されています。現在、日本の体外受精の約80%以上が凍結融解胚移植で行われています。

新鮮胚と凍結胚の年齢別成功率比較

年齢

新鮮胚移植の妊娠率

凍結融解胚移植の妊娠率

30歳未満

約35%

約45%

+約10ポイント

30〜34歳

約30%

約40%

+約10ポイント

35〜39歳

約22%

約32%

+約10ポイント

40〜42歳

約12%

約18%

+約6ポイント

43歳以上

約5%

約8%

+約3ポイント

凍結胚移植の着床率が高い理由

  • 子宮内膜の状態を最適化できる:採卵周期のホルモン環境の影響を受けず、内膜が自然な状態で着床に備えられる
  • OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスク回避:全胚凍結により母体の安全性を確保した上で移植できる
  • 良好胚の選別:胚盤胞まで培養してから凍結する施設が多く、発育の良い胚が選ばれやすい

胚のグレードは着床率にどう影響するか

胚盤胞のグレード(Gardner分類)でAA評価の胚は着床率約50〜60%ですが、CC評価では約10〜20%と大きな差があります。ただしグレードが低くても妊娠・出産に至る例はあり、グレードだけで諦める必要はありません。

胚盤胞グレード別の着床率目安

グレード(ICM/TE)

着床率の目安

特徴

AA

約50〜60%

内細胞塊・栄養外胚葉ともに良好

AB・BA

約40〜50%

一方が良好、もう一方がやや劣る

BB

約30〜40%

両方がやや劣るが十分移植対象

BC・CB

約20〜30%

状態によっては移植を検討

CC

約10〜20%

移植するかは主治医と相談

Gardner分類では、胚盤胞の拡張度(1〜6段階)と内細胞塊(ICM)・栄養外胚葉(TE)の質(A〜C)を組み合わせて評価します。拡張度3以上でICMとTEの評価が付きます。

グレードと年齢の複合的な影響

35歳未満でグレードAAの胚盤胞を移植した場合の着床率は約60%に達しますが、40歳以上では同じAAでも約30%前後に下がります。これは見た目のグレードでは判定できない染色体異常の割合が年齢とともに増えるためです。

移植回数と累積妊娠率の関係

胚移植は1回で成功するとは限りませんが、回数を重ねることで累積妊娠率は上昇します。35歳未満では3回目までに約70〜80%が妊娠に至るとの報告があります。

年齢別・移植回数ごとの累積妊娠率

移植回数

35歳未満

35〜39歳

40歳以上

1回目

約45%

約32%

約15%

2回目累積

約65%

約50%

約27%

3回目累積

約78%

約62%

約36%

4回目累積

約85%

約70%

約42%

5回目累積

約88%

約75%

約47%

ただし、同一条件で回数を重ねても成果が得られない場合、反復着床不全の検査(子宮鏡検査、ERA検査、慢性子宮内膜炎検査など)を行い、原因を特定したうえで治療方針を見直すことが推奨されます。

着床率を高めるために検討できること

着床率の向上には、胚の質・子宮内膜の受容能・移植タイミングの3つを最適化する取り組みが有効とされています。年齢による低下を完全に防ぐことはできませんが、改善の余地がある要素も存在します。

医療的なアプローチ

  • ERA検査(子宮内膜受容能検査):着床の窓(implantation window)のずれを調べ、最適な移植タイミングを特定する
  • PGT-A(着床前遺伝学的検査):胚の染色体異常を移植前にスクリーニングし、正常胚を選別する。日本産科婦人科学会の臨床研究として実施されている
  • SEET法・二段階胚移植法:培養液を先に子宮に注入し、着床環境を整えてから胚を移植する方法
  • 子宮内膜スクラッチ:移植前周期に内膜に小さな傷をつけ、修復反応により着床しやすい環境を作る方法

生活面での取り組み

  • 葉酸(400μg/日以上)の継続摂取
  • 適度な運動と十分な睡眠(7〜8時間)
  • 禁煙(喫煙は着床率を約30%低下させるとの報告がある)
  • 過度な飲酒の回避

年齢別に見る治療の進め方の目安

年齢によって治療の「時間的な猶予」が異なるため、ステップアップの判断基準も変わります。日本生殖医学会のガイドラインでは、年齢を考慮した治療計画の策定が推奨されています。

年齢帯ごとのポイント

  • 35歳未満:着床率が比較的高く、複数回の移植で累積妊娠率が大きく上昇する。焦りすぎず、主治医と相談しながら計画的に進められる
  • 35〜39歳:着床率の低下が始まる時期。早めの胚盤胞凍結で良質な胚を確保し、必要に応じてPGT-Aの検討も選択肢になる
  • 40歳以上:1回あたりの着床率が大きく下がるため、採卵回数を増やして胚のストックを確保する戦略が重要。主治医と治療のゴール設定について率直に話し合うことが大切

よくある質問

Q. 胚移植の着床率は何歳から大きく下がりますか?

35歳を境に着床率は徐々に低下し始め、38歳以降は加速的に下がります。40歳以上では30歳未満の3分の1程度になることが一般的です。

Q. 新鮮胚移植と凍結胚移植はどちらが成功率が高いですか?

統計的には凍結融解胚移植の方が約5〜10ポイント高い妊娠率を示します。子宮内膜のコンディションを整えてから移植できることが主な理由です。

Q. 胚のグレードが低いと妊娠できませんか?

グレードが低くても妊娠・出産に至る例はあります。グレードBBでも着床率は約30〜40%あり、移植を検討する価値は十分にあります。最終的な判断は主治医と相談してください。

Q. 何回移植すれば妊娠できますか?

個人差がありますが、35歳未満では3回の移植で累積妊娠率が約78%に達するとの報告があります。ただし、3回以上着床しない場合は反復着床不全の検査が推奨されます。

Q. PGT-A(着床前検査)を受けると着床率は上がりますか?

PGT-Aで正常胚を選んで移植した場合、1回あたりの着床率は向上する可能性があります。一方、検査で移植可能な胚が減ることもあるため、総合的なメリット・デメリットを主治医と相談することが重要です。

Q. 着床しやすい生活習慣はありますか?

葉酸の摂取(400μg/日以上)、禁煙、適度な運動、十分な睡眠が推奨されます。特に喫煙は着床率を約30%低下させるとの報告があり、治療中は禁煙が強く勧められます。

Q. ERA検査は受けた方がいいですか?

良好胚を2〜3回移植しても着床しない場合にERA検査が検討されます。着床の窓がずれている方は約30%いるとされ、移植タイミングの調整で着床率が改善する可能性があります。

まとめ

胚移植の着床率は年齢の影響を大きく受け、35歳以降は段階的に低下します。凍結融解胚移植は新鮮胚移植より着床率が高い傾向があり、胚のグレードも成功率に影響します。1回の移植で結果が出なくても、複数回の移植で累積妊娠率は上昇していきます。ERA検査やPGT-Aなど着床率を改善する選択肢もあるため、自分の年齢と状況に合った治療計画を主治医と相談して組み立てることが大切です。

免責事項:本記事の情報は一般的な医学知識に基づく参考情報であり、個別の診断・治療を代替するものではありません。治療方針については必ず担当医にご相談ください。データは日本産科婦人科学会ARTデータブック等の公的統計に基づいていますが、施設ごとの成績は異なります。

参考文献:日本産科婦人科学会 ARTデータブック、日本生殖医学会 生殖医療ガイドライン

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/27