
「テストステロンは男性ホルモン」というイメージがありますが、女性の卵巣・副腎でも産生され、妊活においても重要な役割を持ちます。多すぎるとPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を疑わせ、少なすぎると卵子の成熟・性欲・エネルギーに影響します。女性のテストステロンと妊活の関係を解説します。
この記事のポイント
- 女性のテストステロンの正常範囲と役割
- テストステロン高値(PCOS等)と妊活への影響
- テストステロン低値と性欲・妊娠への影響
- 検査と改善アプローチ
女性のテストステロンの役割
テストステロンは女性でも卵巣(卵胞膜細胞)と副腎で産生されます。主な役割は以下のとおりです。
- 卵胞発育の促進(エストラジオールの前駆体として)
- 性欲・性感度の維持
- 筋肉・骨密度の維持
- エネルギー・気力の維持
女性の正常値は30〜70ng/dL(検査機関によって異なる)で、男性の1/10〜1/20程度です。
テストステロン高値——PCOSとの関係
女性でテストステロンが高い場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が最も多い原因です。PCOSでは卵胞膜細胞からのアンドロゲン(テストステロンを含む)産生が過剰になり、卵子の成熟・排卵が阻害されます。
PCOSの主な症状と影響
症状 | 内容 |
|---|---|
月経不順・無排卵 | 月経が不規則または数ヶ月来ない |
多毛症 | 顔・腹部・腕の体毛が濃くなる |
ニキビ | 成人後もニキビが続く |
体重増加 | インスリン抵抗性との合併が多い |
妊娠しにくい | 排卵障害による不妊 |
PCOSは日本の不妊女性の約7〜10%に見られます(日本産婦人科学会データ)。排卵誘発剤・生活習慣改善・インスリン抵抗性の改善で妊娠率を上げることができます。
テストステロン低値——見逃されがちな問題
女性のテストステロン低値は更年期・卵巣機能低下・過度のストレスで起きます。症状は以下のとおりです。
- 性欲の著しい低下
- 疲労感・意欲の低下
- 卵子の発育への間接的な影響
- 性的な快感の低下(感度の鈍さ)
女性の低テストステロンに対する補充療法は日本では未承認ですが、海外(主に欧米)では更年期女性の性機能低下に対して使われています。
検査と診断
テストステロンの検査は血液検査で可能です。
- 総テストステロン:最も基本的な指標
- 遊離テストステロン:SHBGに結合していない活性型。より実態を反映する
- DHEA-S:副腎由来のアンドロゲン前駆体。高値なら副腎疾患を疑う
- LH/FSH比:PCOS診断の参考指標(LH>FSHが多い)
検査のタイミングは月経2〜5日目(低FSH期)が推奨されますが、PCOSは月経不順のため採血時期の相談が必要です。
生活習慣による改善
テストステロン高値(PCOS)の場合、インスリン抵抗性の改善が有効です。
- 低GI食:白米・精製糖質を減らし、玄米・全粒粉・野菜を中心に。血糖スパイクを防ぎインスリンを下げる
- 有酸素運動+筋力トレーニング:週3〜4回のウォーキング+週2回の筋トレがPCOS改善に有効とされています
- 体重の5〜10%減量:肥満PCOSでは体重減少だけで排卵が回復するケースがあります
- ストレス管理:慢性ストレスはコルチゾール上昇→副腎からのアンドロゲン増加につながる
よくある質問(FAQ)
Q1. テストステロンが高いとPCOSと診断されますか?
PCOSの診断には月経不順・超音波での多嚢胞卵巣・高アンドロゲン血症の3つの基準があります。テストステロン高値だけでは診断されません。
Q2. テストステロンが低いと妊娠できませんか?
直接の妊娠障害にはなりにくいですが、卵子の発育環境・性欲・意欲の低下が間接的に影響することがあります。
Q3. PCOS以外でテストステロンが高くなることはありますか?
副腎過形成・アンドロゲン産生腫瘍・クッシング症候群などがあります。著しい高値の場合は精査が必要です。
Q4. 薬でテストステロンを下げることはできますか?
PCOSの治療としてメトホルミン・低用量ピル(抗アンドロゲン作用のあるもの)が使われます。担当医と相談してください。
Q5. アンドロゲンが高い状態でも体外受精できますか?
できます。ただし排卵誘発に工夫が必要なケースがあります。PCOSの体外受精は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高いため、刺激法の調整が重要です。
まとめ
女性のテストステロンは妊活においても重要なホルモンです。高値はPCOSを疑わせ、適切な治療で排卵・妊娠率の改善が期待できます。低値は性機能・意欲に影響しますが、生活習慣の改善で対処できる場合があります。気になる症状がある方は婦人科で検査を受けてみてください。
※本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を推奨するものではありません。症状が続く場合は婦人科専門医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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