
TESEとは何か?精巣内精子採取術の基本
TESE(Testicular Sperm Extraction:精巣内精子採取術)とは、射出精液中に精子が確認できない無精子症の男性に対して、精巣を直接切開して精子を採取する外科的手術です。採取した精子は顕微授精(ICSI)と組み合わせて使用します。2022年以降、閉塞性無精子症の一部では保険適用となっています。
この記事のポイント
- TESEは無精子症の男性が体外受精に挑戦できる可能性をもたらす手術
- 精子が見つかる確率(成功率)は非閉塞性で20〜50%、閉塞性では約90%以上
- 費用は保険適用か否かにより異なり、自費の場合は10万〜30万円程度が目安
TESEの種類:cTESEとMicro-TESEの違い
TESEには従来法(cTESE)と顕微鏡下TESE(Micro-TESE)の2種類があり、無精子症の原因・精子産生状況により使い分けられます。Micro-TESEは手術顕微鏡を用いて精子産生が活発な精細管を選択的に採取する精密な手術法で、精子発見率が高いとされています。
種類 | 特徴 | 精子発見率 | 適応 |
|---|---|---|---|
cTESE(従来法) | 小切開で精巣組織を採取 | 閉塞性:約90%以上 | 閉塞性無精子症 |
Micro-TESE(顕微鏡下) | 顕微鏡で精細管を選択採取 | 非閉塞性:20〜50% | 非閉塞性無精子症 |
TESEの適応条件:どんな人が対象か
TESEの主な適応は「無精子症」と診断された男性です。無精子症には精路閉塞による「閉塞性無精子症」と精子産生障害による「非閉塞性無精子症」があり、どちらのタイプかによって手術の方法と成功率が大きく異なります。
- 閉塞性無精子症(精管閉塞・精管欠損・炎症後閉塞)
- 非閉塞性無精子症(クラインフェルター症候群・造精機能障害)
- 射出精液で精子が確認できない場合(最低2回の精液検査で精子ゼロ確認後)
- ホルモン検査・染色体検査での事前評価が必要
TESE手術の流れと入院・回復期間
TESEは通常、局所麻酔または全身麻酔下で行われる日帰り〜1泊入院の手術です。採取した精子はその日に顕微授精に使用するか、凍結保存されます。術後の回復期間は概ね1〜2週間で、激しい運動や入浴制限があります。
- 術前検査(精液検査・ホルモン検査・染色体検査・感染症検査)
- 麻酔・切開(局所または全身麻酔)
- 精巣組織採取・精子探索(胚培養士・泌尿器科医が協力)
- 採取精子の確認→即日顕微授精またはガラス化凍結保存
- 術後安静(1〜3時間)・帰宅または1泊入院
- 経過観察(1〜2週間後に外来受診)
TESE・Micro-TESEの費用と保険適用
2022年4月より不妊治療の保険適用が拡大され、一定条件下でTESEにも保険が適用されるようになりました。ただし保険適用には年齢・婚姻状況などの条件があり、自費診療との選択が必要な場合もあります。
種別 | 費用目安(患者負担) | 条件 |
|---|---|---|
保険適用(3割負担) | 3万〜8万円程度 | 法律婚・女性42歳未満など |
自費診療(cTESE) | 10万〜20万円 | 保険適用外の場合 |
自費診療(Micro-TESE) | 20万〜35万円 | 高度技術・設備コスト高 |
凍結保存費(年間) | 3万〜6万円 | 採取精子を凍結保存する場合 |
※費用は施設・地域により異なります。事前に担当医院に確認してください。
TESE後に精子が見つからない場合:次のステップ
Micro-TESEでも精子が確認できなかった場合、妊娠は難しくなりますが、精子ドナー利用(非配偶者間人工授精/AID)や特別養子縁組などの代替的な家族形成の選択肢があります。Micro-TESEを経験した施設で今後の方針について十分なカウンセリングを受けることが推奨されます。
TESEのリスクと合併症
TESEは比較的安全な手術ですが、一定のリスクが存在します。事前に担当医から十分な説明を受け、インフォームド・コンセントのもとで判断することが重要です。
- 出血・血腫(精巣周囲に血が溜まる):1〜3%程度
- 感染・炎症:低頻度だが発熱・腫脹が続く場合は受診
- 精巣機能への影響:Micro-TESEはより精密だが正常組織への影響を最小化
- 麻酔関連リスク:事前の問診で確認
FAQ
Q. 無精子症でもTESEで精子が見つかりますか?
A. 閉塞性無精子症では約90%以上の確率で精子が確認されます。非閉塞性無精子症ではMicro-TESEで20〜50%の精子発見率とされています。事前のホルモン検査・染色体検査で予測精度が上がります。
Q. TESEは痛いですか?手術時間はどのくらいですか?
A. 麻酔下で行うため術中の痛みはほとんどありません。従来法(cTESE)は30分〜1時間、Micro-TESEは1〜3時間程度が目安です。術後は数日〜1週間程度の鈍痛が生じることがあります。
Q. TESEは保険適用になりますか?
A. 2022年4月から一定条件下で保険適用されています。法律婚、女性が42歳未満(初回)などの条件があります。詳細は担当クリニックに確認してください。
Q. TESEで採取した精子は凍結保存できますか?
A. 採取した精子はガラス化凍結保存が可能です。将来の顕微授精に備えて保存しておくことができますが、凍結精子は新鮮精子より受精率がやや低下する場合があります。
Q. TESEはどんな病院・クリニックで受けられますか?
A. 泌尿器科と生殖医療科が連携している不妊治療専門クリニック・大学病院で受けられます。特にMicro-TESEは高度な技術と設備が必要なため、実施施設が限られています。
まとめ
TESEは無精子症の男性が顕微授精によって子どもを持つ可能性を開く重要な医療技術です。閉塞性か非閉塞性かによって成功率・手術法が異なるため、まず精液検査とホルモン検査で状態を把握し、泌尿器科専門医と不妊治療専門医に相談することが最初のステップです。
※本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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