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精子凍結とは?がん治療前の妊孕性温存と費用

2026/4/19

精子凍結とは?がん治療前の妊孕性温存と費用

精子凍結は、がん治療前や無精子症のリスクがある状況で妊孕性を温存するための医療技術です。費用は採取・凍結で3〜8万円程度が目安で、2023年度から公費助成の対象に加わりました。治療開始前に1〜2週間の余裕があれば対応可能です。

精子凍結とは――仕組みと目的を正確に理解する

精子凍結(精子の凍結保存)とは、精液を採取してから液体窒素(マイナス196℃)で長期保存する技術です。凍結した精子は数十年単位で保存可能であり、将来の顕微授精(ICSI)や人工授精(AIH)に使用できます。

  • がん治療前の妊孕性温存:化学療法・放射線・精巣手術による精子産生機能の低下を見越した備え
  • 無精子症リスクへの対応:精巣生検で得られた精子の保存
  • 射精障害への対応:脊髄損傷や糖尿病による射精困難例
  • パートナーと採卵日が合わない場合:IVFの採卵日に夫が不在の場合の備え

がん治療と精子への影響――なぜ治療前に凍結するのか

精巣は精子を産生し続ける組織ですが、化学療法の一部(特にアルキル化剤)や骨盤への放射線照射は精子形成細胞に直接ダメージを与えます。治療後に精子が回復するかどうかは個人差が大きく、永久的な無精子症になるリスクがあります。

治療の種類

精子への影響度

回復の見込み

アルキル化剤(シクロホスファミド等)

高リスク

回復まで2〜5年、永久障害の可能性あり

白金製剤(シスプラチン等)

中〜高リスク

多くは2年以内に回復

骨盤への放射線照射

用量依存

2Gy以上で一時的無精子症、高線量で永久障害

精巣摘出術(片側)

残存側で補完

通常の精子産生を維持

日本がん・生殖医療学会は、精巣毒性のある治療を受ける前にすべての男性患者に精子凍結の検討を推奨しています。

精子凍結の手順――採取から保存まで

精子凍結は比較的シンプルな手順で実施でき、がん診断から治療開始までの短い期間内に対応可能です。

  1. 泌尿器科・生殖医療クリニックを受診:がん治療の主治医から紹介を受けるか、自分で予約
  2. 精液検査:精子濃度・運動率・形態を確認。無精子症の場合は精巣内精子採取術(TESE)を検討
  3. 精液採取:クリニック内の専用個室、または自宅採取後2時間以内に持参
  4. 凍結処理:凍結保護剤を添加し、液体窒素タンクで保存
  5. 保管継続:年間保管費を支払いながら保存。将来使用時に融解して使用

採精から凍結完了まで数時間。採精に抵抗がある方も多いですが、クリニックの個室で完結します。

費用の目安と2025年現在の公費助成制度

精子凍結の費用は医療機関によって異なりますが、おおむね以下が目安です。2023年度から「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存治療研究促進事業」の対象に精子凍結が加わり、都道府県ごとに助成が受けられるようになりました。

項目

費用の目安

助成の有無

精液検査

3,000〜5,000円

保険適用(不妊検査)

採取・凍結処理費

3〜5万円

助成対象(条件あり)

年間保管費

1〜3万円

助成対象外が多い

融解・洗浄費(使用時)

1〜2万円

不妊治療保険の対象になるケースも

助成申請は居住地の都道府県窓口または保健センターで行います。医療機関で発行する証明書が必要なため、受診時に確認してください。

精子凍結後の妊娠――融解後の使用方法

凍結精子を用いた妊娠は、パートナーの卵子の状態と組み合わせる形で計画します。凍結・融解によって一定数の精子は死滅しますが、良質な精子が残存していれば顕微授精(ICSI)で受精が可能です。

  • 人工授精(AIH):精子数が十分な場合に選択。自然に近いプロセス
  • 体外受精(IVF):精子・卵子を体外で受精させる
  • 顕微授精(ICSI):精子1個を卵子に直接注入。凍結精子で最も一般的
  • 精巣内精子採取術(TESE):射精精子がなく精巣内に精子が存在する場合

精子凍結に対応している施設の探し方

すべての泌尿器科・生殖医療クリニックが精子凍結に対応しているわけではありません。以下の方法で探してください。

  • 日本がん・生殖医療学会(JSFP)認定施設リスト:Webサイトから検索可能
  • 日本生殖医学会認定施設:精子凍結対応クリニックの多くが登録
  • がん相談支援センター:全国のがん拠点病院内に設置。地域の対応施設を紹介
  • 主治医への相談:「精子凍結を相談したい」と依頼すると紹介状を書いてもらえる

よくある質問

Q1. 治療開始まで2日しかありません。精子凍結は間に合いますか?

精子凍結自体は採取当日に完了します。施設に電話で事情を伝えれば当日または翌日の対応が可能なクリニックも多くあります。まず電話で相談してください。

Q2. 精液検査で精子が少なかった場合でも凍結できますか?

精子数が少なくても、数匹の精子が存在すればICSI用に凍結保存できます。無精子症の場合は精巣生検(TESE)で精巣内の精子を直接採取して凍結する方法もあります。

Q3. がんが治癒したら凍結精子は廃棄できますか?

不要になった場合は書面で廃棄申請を行います。年間保管費を払い続ける必要はありません。廃棄の手続きは各クリニックの規定に従います。

Q4. 保険は適用されますか?

精子凍結そのものは現在保険適用外です。ただし不妊治療目的の精液検査は保険対象になる場合があります。がん治療後の不妊治療(IVF・ICSI)は保険適用の可能性があります。

Q5. 凍結精子の保存期限はありますか?

医学的には数十年の保存が可能とされています。多くのクリニックでは5〜10年の契約で更新可能です。本人死亡後の精子の取り扱いについては、契約時に確認しておくことをお勧めします。

Q6. 精子凍結についてパートナーには相談すべきですか?

将来凍結精子を使って妊娠を試みる場合はパートナーとの合意が必要です。がん治療中は精神的に余裕がない状況ですが、可能な範囲でパートナーと話し合っておくことが重要です。

Q7. 子ども(未成年)でも精子凍結はできますか?

思春期以降で精子産生が確認できれば対応可能な施設があります。小児・AYA世代向けの公費助成対象にも含まれます。保護者の同意のもと、小児科・泌尿器科に相談してください。

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免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療方針については必ず担当医にご相談ください。記載内容は2025年5月時点の情報に基づいており、最新の医療情報と異なる場合があります。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/2