
不妊の原因を効率よく特定するには「男女同時並行の検査」が鉄則です。女性のみ先に検査を進めるのは時間の損失につながります。初診から3〜4か月以内に原因を絞り込む検査ステップを、優先順位とともに解説します。
なぜ「高速で」原因を特定するのか――時間が妊娠率に直結する理由
卵子の質は年齢とともに低下します。特に35歳以降は卵巣予備能(AMH値)の低下が加速し、検査・診断・治療開始までの時間が妊娠率に直接影響します。「もう少し様子を見てから」という判断が、後の治療難度を上げるリスクがあります。
- 35歳以上は6か月妊活しても妊娠しない場合、早期に検査を開始することが推奨される
- 男性不妊は全不妊の約50%を占めるが、精液検査は簡便・安価・即日結果
- 検査→原因特定→適切な治療選択のサイクルを短縮することで治療コストも下がる
- 「異常がないこと」を早期に確認できれば精神的な安心感にも繋がる
Step 1: 男女同時に行う基本検査(第1週〜2週)
最初のクリニック受診で男女同時に実施できる検査から始めます。これで約80%のケースで原因の方向性を掴めます。
検査項目 | 対象 | わかること | 費用(目安) |
|---|---|---|---|
精液検査 | 男性 | 精子数・運動率・形態。男性不妊の有無を即確認 | 保険適用で数百円〜 |
ホルモン検査(FSH・LH・E2・AMH) | 女性 | 卵巣予備能、排卵機能、下垂体機能 | 保険適用で数千円 |
甲状腺機能(TSH・FT4) | 女性 | 甲状腺疾患による無排卵・流産リスク | 保険適用で数千円 |
プロラクチン(PRL) | 女性 | 高プロラクチン血症による排卵障害 | 保険適用で数百円 |
経腟超音波検査 | 女性 | 卵胞数(AFC)・子宮形態・子宮内膜・卵巣嚢腫 | 保険適用で数百〜千円 |
Step 2: 卵管・子宮の精密検査(第2〜4週)
卵管閉塞は女性不妊の主要原因の一つで、タイミング法や人工授精では妊娠が望めません。早期に確認することで体外受精への切り替えタイミングを逃しません。
- 子宮卵管造影検査(HSG):卵管の通過性を造影剤で確認。月経終了後5〜10日頃に実施。痛みがある場合は鎮痛剤使用可
- 子宮鏡検査:子宮内腔のポリープ・粘膜下筋腫・中隔を直接観察。HSGで異常が疑われた場合や反復流産例に有用
- 腹腔鏡検査:子宮内膜症・卵管周囲癒着の確定診断。外来検査では確認できない所見を手術的に確認
HSGは「検査後3か月間は妊娠しやすくなる」という報告もあり、治療的意義も持つ検査です。
Step 3: 排卵確認と周期モニタリング(並行して実施)
基礎体温だけでは排卵日の特定精度に限界があります。クリニックでの超音波モニタリングにより、排卵日前後の卵胞サイズを直接計測できます。
- 月経周期10日目前後から3〜4日おきに超音波検査
- 主席卵胞が18〜22mmに達した時点でLHサージ確認・排卵誘発の判断
- 排卵後の黄体ホルモン(P4)計測で黄体機能不全の有無を確認
- 子宮内膜の厚さ(8mm以上が目標)・パターンも同時確認
Step 4: 特殊・精密検査(必要に応じて)
基本検査で原因が特定できない「原因不明不妊」や反復着床不全・習慣流産のケースでは、以下の追加検査を検討します。
- 抗精子抗体検査:女性の体内で精子を攻撃する抗体の有無
- 染色体検査(Gバンド法):夫婦双方の染色体異常のスクリーニング
- 血液凝固系検査:抗リン脂質抗体症候群など血栓傾向による流産リスク評価
- 子宮内フローラ(EMMA/ALICE):子宮内細菌叢の異常・慢性子宮内膜炎の検出
- NK細胞活性検査:免疫機能の過剰反応による着床障害の評価(エビデンスは発展途上)
検査結果の読み方と次のステップ判断
検査結果は数値を見るだけでなく、「この結果が何を意味するか」「次のステップは何か」を医師と確認することが重要です。
検査結果の傾向 | 示唆される方向性 |
|---|---|
精液所見が不良(精子数少・運動率低) | 男性不妊専門医(泌尿器科)への受診・顕微授精(ICSI)の検討 |
AMH値が低い | 早期に体外受精へのステップアップ。卵巣刺激の最適化 |
卵管閉塞 | タイミング法・人工授精は適さない。体外受精へ移行 |
排卵障害(PCOS・無排卵) | 排卵誘発から開始。原因別の薬物療法 |
全検査正常(原因不明不妊) | 人工授精(AIH)3〜6周期→体外受精へステップアップ |
検査を受ける前に整理しておくこと
クリニック受診前に以下を準備しておくと、初診での情報収集が効率化します。
- 月経周期の記録(最低3か月分):開始日・期間・出血量・痛みの程度
- 基礎体温グラフ(あれば)
- これまでの妊娠・出産・流産・中絶の既往
- 既往歴・現在の服薬(婦人科疾患・甲状腺・糖尿病等)
- パートナーの精液検査経験の有無
よくある質問
Q1. 不妊検査は保険が使えますか?
基本的な不妊検査(精液検査・ホルモン検査・超音波・子宮卵管造影)は保険適用です。一部の特殊検査や先進的検査は自費になる場合があります。初診時に費用の確認をお勧めします。
Q2. 検査は生理中でもできますか?
ホルモン検査(FSH・LH・E2・AMH)は月経2〜5日目に採血します。超音波検査は月経中でも実施可能ですが、卵胞計測は月経終了後の方が適切な場合があります。受診前に電話で確認してください。
Q3. 精液検査は自宅でできますか?
多くのクリニックでは自宅採取(採精後2時間以内に持参)に対応しています。クリニックの採精室利用も可能です。採取前は2〜5日間の禁欲が推奨されます。
Q4. HSG(子宮卵管造影)は痛いですか?
個人差があります。造影剤を注入する際に痛みを感じる方が多いですが、処置時間は数分です。事前に鎮痛剤を服用できるクリニックもあります。
Q5. 原因不明不妊と言われました。次に何をすべきですか?
原因不明不妊は全不妊の10〜15%とされます。人工授精3〜6周期を試み、改善がない場合は体外受精へのステップアップを検討します。ERA・EMMA・ALICEなどの特殊検査も選択肢の一つです。
Q6. 検査に夫も必ず同席する必要がありますか?
精液検査は男性が採精するだけで良く、必ずしも一緒に受診する必要はありません。ただし結果説明と今後の方針確認には、できれば夫婦で受診することをお勧めします。
Q7. 一般の婦人科と不妊専門クリニック、どちらに行くべきですか?
妊活を始めてすぐなら一般の産婦人科でも基本検査は受けられます。ただし6か月〜1年経過しても妊娠しない場合や、35歳以上の場合は生殖医療専門医のいるクリニックへの受診をお勧めします。
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免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療方針については必ず担当医にご相談ください。記載内容は2025年5月時点の情報に基づいており、最新の医療情報と異なる場合があります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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