
「結婚したらすぐ子供を」と考えているなら、結婚前の妊娠力チェックが重要です。将来の妊活を有利に進めるために、今知っておくべき検査の内容を解説します。
結婚前に妊娠力チェックをするメリット
不妊の原因の約50%は男性側にあり、女性側の原因の中には自覚症状のない疾患も多く含まれます。結婚前に現在の妊娠力を把握することで、将来の不妊治療開始を遅らせることなく対策を立てられます。
結婚前チェックの主なメリット
- 不妊の原因となる疾患を早期に発見・治療できる
- 妊活開始のタイミングや方法を二人で計画できる
- 年齢的な妊孕力の現状を数値で把握できる
- 治療が必要な場合に婚姻後すぐに行動に移せる
「まだ子供は考えていない」という場合でも、将来の選択肢を広げる情報として活用できます。
女性が受けるべき検査
女性の妊娠力を評価する主な検査です。産婦人科・不妊専門クリニックで受けられます。
主要検査の内容
検査名 | わかること | 費用目安 |
|---|---|---|
AMH(抗ミュラー管ホルモン) | 卵巣予備能(残り卵子数の目安) | 保険外2,000〜8,000円 |
卵管通過性検査(子宮卵管造影) | 卵管の閉塞・癒着の有無 | 保険3割負担で5,000〜15,000円 |
超音波検査(経膣) | 子宮・卵巣の形態、筋腫・のう腫の有無 | 保険3割負担で2,000〜5,000円 |
ホルモン検査(FSH・LH・E2) | 排卵機能・卵巣機能 | 保険3割負担で1,000〜3,000円 |
甲状腺検査(TSH・FT4) | 甲状腺機能(不妊・流産に関連) | 保険3割負担で1,000〜2,000円 |
子宮頸がん検診 | HPV感染・頸部の異常 | 保険3割負担で2,000〜3,000円 |
性感染症(クラミジア等) | 卵管閉塞の原因になるSTI | 保険外500〜3,000円 |
AMH検査――卵巣予備能の現実を知る
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣内に残っている卵子数の目安を示すホルモンです。年齢とは独立して個人差が大きく、「若いから大丈夫」とはならないことを示す指標です。
AMH値の目安と年齢別の特徴
- 2.0〜6.0ng/mL:良好な卵巣予備能(目安)
- 1.0〜2.0ng/mL:やや低下、妊活の計画を立て始める時期
- 1.0ng/mL未満:低卵巣予備能、早期の治療開始を検討
AMH値が低くても妊娠できます。ただしAMHが低い場合は「妊活を先延ばしにするほど選択肢が狭まる」という情報として活用することが重要です。AMH値だけで妊娠可能性を断定することはできません。
男性が受けるべき検査
男性の妊娠力チェックは精液検査が中心です。泌尿器科・男性不妊専門クリニックで受けられます。
精液検査で評価する項目
- 精子濃度:1mLあたり1,600万/mL以上(WHO基準2021年)
- 運動率:42%以上
- 前進運動率:30%以上
- 正常形態率:4%以上(Kruger基準)
- 精液量:1.4mL以上
精液検査は1回の結果のみで判断せず、2〜3回の検査を推奨されることが多いです。精子は生活習慣(睡眠・禁煙・体重)で3カ月後に変化します。
検査を受けるタイミングと場所
結婚前チェックは入籍・同棲開始の半年〜1年前を目安に受けることをお勧めします。
受診先の選択肢
- 産婦人科・不妊専門クリニック:女性の検査をまとめて受けられる。一部クリニックは男性検査も対応
- ブライダルチェック対応クリニック:男女セットのパックを設定している施設もある
- 泌尿器科:男性の精液検査・ホルモン検査に特化
費用は女性の基本セット(超音波+ホルモン+AMH)で1〜3万円程度、男性の精液検査単独で5,000〜10,000円(自費)が目安です。
検査結果で「問題あり」だった場合の対処法
検査で異常が見つかった場合の一般的な対応を把握しておくと、冷静に対処できます。
主な所見と初期対応
- AMH低値:妊活を早める計画を立てる。加齢でさらに低下するため先延ばしに注意
- 卵管閉塞:腹腔鏡手術または体外受精への移行を検討
- 子宮筋腫・子宮内膜症:部位・サイズにより手術適応の判断。不妊への影響度を評価
- 精子所見不良:生活習慣改善3カ月後の再検査→改善なければ精巣機能評価
- クラミジア陽性:抗菌薬(アジスロマイシン等)で治療。パートナーも同時治療が必要
よくある質問
Q1. 結婚前チェックで「異常あり」が出たら婚約に影響しますか?
検査の目的は「問題を早期発見して対処すること」です。異常が見つかることは治療の機会であり、婚約の可否を決めるものではありません。二人で結果を共有し、一緒に対処方針を決めることが大切です。
Q2. AMH検査は月経周期のどのタイミングで受ければいいですか?
AMHは月経周期に関わらずほぼ一定の値を示すため、いつでも測定可能です。ただし他のホルモン検査(FSH・LH等)は周期に合わせた採血が必要なため、月経2〜5日目に一括で受けると効率的です。
Q3. 子宮卵管造影検査は痛いですか?
造影剤を子宮内に注入する際に、生理痛に似た痛みを感じることが多いです。痛みの程度には個人差があります。処置前に鎮痛剤(ロキソニン等)の服用を勧めるクリニックも多いため、事前に確認してください。
Q4. 男性が精液検査を嫌がる場合はどうすればいいですか?
「問題がないことの確認」として提案すると受け入れやすいことがあります。男性不妊は珍しいことではなく(不妊の約50%に男性因子が関与)、早期発見は二人にとって有益です。
Q5. 結婚前チェックの費用に保険は使えますか?
「妊娠を希望しての検査」は保険適用外の自費診療になる項目が多いです。一方、症状がある場合(月経不順・性交痛等)や治療目的の検査は保険適用になります。受診前にクリニックに確認してください。
まとめ
結婚前の妊娠力チェックは、将来の妊活を有利に進めるための先手を打つ行動です。特にAMH検査と精液検査は自覚症状がなくても実施する価値があります。検査で問題が見つかれば早期対処の機会となり、問題がなければ安心して妊活を計画できます。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的とするものです。検査結果の解釈・治療方針は専門の医療機関にご相談ください。基準値は検査機関により異なります。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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