
妊活中に感染症にかかると、妊娠そのものへの影響だけでなく、胎児への先天性感染リスクも問題になります。特にトキソプラズマ・サイトメガロウイルス(CMV)・風疹は妊娠前の予防・検査が重要で、妊活開始時点で抗体の有無を確認しておくことが推奨されます。
この記事のポイント
- 妊活中に気をつけるべき感染症の一覧と感染経路
- 妊活開始前に受けておくべきワクチンと抗体検査
- 日常生活で感染を防ぐ具体的な行動リスト
妊活中に注意すべき感染症一覧——TORCH症候群を中心に
胎児に影響を与える感染症群は「TORCH症候群」と呼ばれ、妊活中から対策が求められます。TORCHは以下の頭文字です。
頭文字 | 感染症名 | 感染経路 | 胎児への影響 |
|---|---|---|---|
T | トキソプラズマ | 生肉・猫の糞・土壌 | 水頭症・脈絡網膜炎・精神発達遅延 |
O | Others(梅毒・B型肝炎・水痘・パルボB19等) | 各種 | 先天梅毒・胎児水腫など |
R | 風疹 | 飛沫感染 | 先天性風疹症候群(白内障・難聴・心疾患) |
C | サイトメガロウイルス(CMV) | 唾液・尿・母乳 | 難聴・精神発達遅延・肝脾腫 |
H | 単純ヘルペス(HSV) | 性行為・産道感染 | 新生児ヘルペス(重症化リスク) |
トキソプラズマ——妊活中の食事と猫の飼育で気をつけること
トキソプラズマは初感染時に胎児への影響リスクがあり、日本人女性の抗体保有率は約10%と低いため、多くの方が「未感染」の状態です。妊娠前に抗体検査を受け、陰性の場合は以下の予防を徹底しましょう。
- 生肉・レアの肉を食べない:特に豚肉・羊肉は中心部まで十分に加熱(67℃以上)
- 猫のトイレ掃除はパートナーに依頼:糞から感染する可能性があるため
- 園芸・ガーデニングは手袋着用:土壌にトキソプラズマのオーシストが含まれる可能性
- 生ハム・ユッケ・鹿肉のタタキ:妊活中は控える
サイトメガロウイルス(CMV)——保育園児との接触に注意
CMVは日本人成人の約70%が抗体を持ちますが、未感染の方が妊娠中に初感染すると胎児への影響リスクがあります。保育園・幼稚園に通う上の子がいる場合は特に注意が必要です。
CMVの予防策
- 乳幼児の唾液・鼻水に触れた後は手洗いを徹底
- 乳幼児とのコップ・食器の共有を避ける
- おむつ交換後の手洗いを徹底
- 乳幼児の口に触れたおもちゃを自分の口に入れない
CMVに対するワクチンは現時点で存在しないため、日常的な衛生管理が唯一の予防法です。
風疹——妊活前にワクチン接種が必須
風疹ウイルスに妊娠20週以前に感染すると、先天性風疹症候群(CRS:白内障・先天性心疾患・難聴)のリスクがあります。風疹ワクチン(MRワクチン)は生ワクチンのため、接種後2ヶ月は避妊が必要です。必ず妊活開始前に接種を済ませてください。
ワクチン接種の手順
- 風疹抗体検査(血液検査)を受ける
- HI法で16倍未満、またはEIA法で陰性の場合→MRワクチン接種
- 接種後2ヶ月間は確実に避妊
- 2ヶ月経過後に妊活を再開
パートナーのワクチンも重要
風疹の感染源は職場の同僚やパートナーであることが多いです。男性にも抗体検査とワクチン接種を勧めてください。多くの自治体で男性の風疹抗体検査・ワクチンが無料で受けられます。
その他の感染症——B型肝炎・水痘・性感染症
TORCH以外にも、妊活中に注意すべき感染症があります。
B型肝炎
母子感染リスクがあるため、妊活前にHBs抗原検査を受けることが推奨されます。未感染でワクチン歴がない場合はB型肝炎ワクチンの接種を検討してください。
水痘(みずぼうそう)
妊娠初期の水痘感染は先天性水痘症候群のリスクがあります。罹患歴・ワクチン歴がない場合は、水痘ワクチン接種後2ヶ月の避妊を経て妊活を開始してください。
クラミジア・淋菌
無症状で感染が進行し、卵管閉塞→不妊の原因になります。妊活開始前にクラミジア・淋菌の検査を受け、感染がある場合は治療完了後に妊活を開始しましょう。
妊活前に受けるべき検査・ワクチンのチェックリスト
妊活を始める前に、以下の検査・ワクチンを完了させておくことが理想的です。
項目 | 検査/ワクチン | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
風疹 | 抗体検査→MRワクチン | 自治体により無料 | 接種後2ヶ月避妊 |
水痘 | 抗体検査→水痘ワクチン | 5,000〜10,000円 | 接種後2ヶ月避妊 |
B型肝炎 | HBs抗原検査→ワクチン | 3回で15,000〜20,000円 | 不活化ワクチン(避妊不要) |
トキソプラズマ | 抗体検査(IgG/IgM) | 2,000〜5,000円 | ワクチンなし。生活習慣で予防 |
CMV | 抗体検査(IgG) | 2,000〜5,000円 | ワクチンなし。衛生管理で予防 |
クラミジア | PCR検査 | 保険適用あり | 感染時は抗生物質で治療 |
よくある質問(FAQ)
Q. 猫を飼っていますが、妊活中に手放す必要がありますか?
手放す必要はありません。完全室内飼育の猫からのトキソプラズマ感染リスクは低いです。トイレ掃除をパートナーに任せ、猫のエサに生肉を与えないことで十分に予防できます。
Q. 風疹ワクチンを打った後に妊娠がわかりました。大丈夫ですか?
これまでに風疹ワクチン接種後の妊娠で先天性風疹症候群が発症したケースは世界的に報告されていません。妊娠継続は可能ですが、必ず産婦人科医に報告してください。
Q. インフルエンザワクチンは妊活中に打てますか?
はい。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊活中・妊娠中いつでも接種可能です。妊娠中のインフルエンザ感染は重症化リスクがあるため、積極的な接種が推奨されています。
Q. 夫がB型肝炎キャリアの場合、妊活に影響はありますか?
パートナーがB型肝炎キャリアの場合、女性側がワクチンを接種してHBs抗体を獲得していれば感染リスクは極めて低くなります。未接種の場合はワクチン接種を完了させてから妊活を開始してください。
Q. コロナワクチンと妊活の関係はどうなっていますか?
COVID-19ワクチン(mRNAワクチン)は妊活中・妊娠中でも接種可能とされています(日本産科婦人科学会見解)。ワクチン接種後の避妊期間は不要です。
まとめ
妊活中に気をつけるべき感染症は、トキソプラズマ・CMV・風疹を中心にTORCH症候群全体を意識することが重要です。風疹・水痘はワクチンで予防でき、トキソプラズマ・CMVは日常の衛生管理で対策できます。妊活を始める前に、抗体検査と必要なワクチン接種を済ませておきましょう。
本記事は情報提供を目的としています。検査やワクチンの要否は個別の状況により異なりますので、必ず担当医にご相談ください。
Women's Doctorでは、妊活前の感染症スクリーニング検査(ブライダルチェック)を実施しています。ワクチン接種のスケジューリングもご相談いただけます。Web予約からお気軽にどうぞ。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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