
性感染症の既往歴が不妊に影響する理由
クラミジア・淋病などの性感染症は、適切に治療されなかった場合、卵管・子宮内膜・卵巣周囲に炎症と癒着を引き起こし、受精卵の通り道を閉塞する可能性があります。特にクラミジアは感染者の約70〜80%が無症状で経過するため、「感染した自覚がない」まま卵管に損傷が蓄積しているケースが少なくありません。
この記事の3つのポイント
- クラミジアは無症状が多い:約70〜80%が無症状で経過するため、自覚なく卵管が傷ついているケースがあります
- 卵管閉塞が不妊原因に:治療遅延や反復感染で卵管が閉塞・狭窄すると、自然妊娠が困難になることがあります
- 過去の感染歴は必ず申告:不妊検査の際に既往歴を正確に伝えることで、適切な検査順序が決まります
主要な性感染症と不妊リスクの関係
不妊に関連する可能性が高い性感染症として、クラミジア・淋菌感染症・骨盤内炎症性疾患(PID)・梅毒が挙げられます。それぞれのリスクプロファイルは以下の通りです。
感染症 | 不妊リスク | 主な影響部位 |
|---|---|---|
クラミジア | 高(繰り返しで上昇) | 卵管・子宮内膜 |
淋菌感染症 | 高 | 卵管・子宮頸管 |
骨盤内炎症性疾患(PID) | 非常に高い | 卵管・卵巣周囲 |
梅毒 | 中〜高(胎児への影響も) | 全身・子宮 |
卵管障害のメカニズム:炎症から閉塞へのプロセス
性感染症が子宮頸管から上行感染すると、卵管内で炎症反応が起きます。急性期を過ぎても炎症が繰り返されると、卵管の内腔に線維化・癒着が生じ、卵管閉塞(内腔が塞がる)または卵管水腫(液体が溜まる)を引き起こします。研究データでは、クラミジア感染1回で卵管因子不妊リスクが約11%、3回以上の感染歴では50%以上に上昇するという報告があります。
既往歴がある場合に受けるべき検査
性感染症の既往歴がある方が不妊検査を受ける際は、以下の検査を優先的に検討することが重要です。
- 子宮卵管造影(HSG):卵管の開通性を確認する基本検査。閉塞・狭窄の有無を確認できます
- 腹腔鏡検査:卵管周囲の癒着を直接確認できる精密検査。HSGで異常を指摘された場合に行われることがあります
- クラミジア抗体検査:過去の感染を反映するIgG抗体を測定。陽性の場合は卵管因子不妊の可能性を示唆します
パートナー(男性)への影響
クラミジア・淋菌は男性の精巣上体(副睾丸)に炎症を起こし、精子輸送管路の閉塞や精子の質の低下につながる可能性があります。不妊治療では男女両方の検査が必要であり、パートナーも同時に受診・検査することが推奨されます。
治療歴がある場合の妊娠への影響
性感染症を抗生物質で適切に治療した場合、感染自体は除菌されますが、すでに生じた卵管の構造的損傷は回復しません。損傷の程度によっては、体外受精(IVF)が選択肢になることがあります。不妊専門医への早期相談が、治療方針決定を早める可能性があります。
再感染を防ぐための予防策
妊活中は性感染症の再感染予防も重要な課題です。コンドームの正しい使用、パートナーとの相互スクリーニング(定期的な性感染症検査)、性的パートナーの限定が主な予防策として挙げられます。
よくある質問(FAQ)
Q. 昔クラミジアに感染したが治療済み。妊活に影響しますか?
治療で除菌されても、卵管の構造的損傷が残っている場合があります。不妊専門医に既往を伝え、子宮卵管造影検査を受けることを検討してください。
Q. 症状がなくても性感染症に感染していることがありますか?
クラミジアは感染者の約70〜80%が無症状で経過します。妊活前の性感染症スクリーニングは、特に既往がある方や検査未経験の方に推奨されています。
Q. 卵管が閉塞していても妊娠できますか?
片側だけの閉塞であれば自然妊娠の可能性が残ることもあります。両側閉塞の場合は体外受精(IVF)が主な選択肢となります。
Q. 不妊治療を始める前に性感染症の検査は必要ですか?
ほとんどの不妊専門クリニックでは、初期検査の一環として性感染症(クラミジア・淋菌など)のスクリーニングが行われます。既往歴の有無に関わらず確認することが推奨されています。
Q. パートナーが感染していた場合、私も不妊になりますか?
パートナーから感染した場合でも、上行感染を起こさなければ卵管への影響は最小限にとどまることがあります。ただし発見が遅れると炎症が波及するリスクがあるため、早期発見・早期治療が重要です。
まとめ
性感染症の既往歴は不妊の潜在的な原因になりうる重要な情報です。
- クラミジアは無症状が多く、自覚なく卵管が損傷しているケースがあります
- 既往がある場合は子宮卵管造影とクラミジア抗体検査を早期に受診することを検討してください
- パートナーも同時に検査・受診することが妊活の第一歩です
※本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の医療行為を推奨するものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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