
デュオスティム法(DuoStim)とは、1回の月経周期の中で卵胞期と黄体期に2回連続して排卵誘発・採卵を行う方法です。卵巣予備能が低く1回の採卵では胚数が少ない方が、短期間で複数の胚を確保することを目的として行われます。
この記事のポイント
- デュオスティム法の仕組みと1周期2回採卵の流れ
- 適応(低卵巣予備能・高齢女性)と採卵数への影響
- 費用・保険適用・リスク
デュオスティム法の仕組み
通常の体外受精は1周期に1回採卵します。デュオスティム法では、まず月経3〜5日目から1回目の採卵(卵胞期採卵)を行い、同じ周期の黄体期(採卵後2〜3週間後)に2回目の採卵(黄体期採卵)を実施します。
1周期の治療スケジュール
- 月経3〜5日目:1回目の排卵誘発開始(卵胞期)
- 月経13〜15日目頃:1回目の採卵(卵胞期採卵)→ 胚を凍結保存
- 採卵後3〜5日:2回目の排卵誘発開始(黄体期)
- 採卵後15〜20日頃:2回目の採卵(黄体期採卵)→ 胚を凍結保存
- 翌周期以降:凍結融解胚移植(FET)
採卵数・卵子の質への影響
複数の研究(Zhang et al., 2018ほか)で、デュオスティム法の2回の採卵を合算した総採卵数・成熟卵数は、2周期の通常採卵と同等またはそれ以上という報告があります。黄体期採卵で得られた卵子の質(受精率・胚盤胞到達率・妊娠率)は卵胞期採卵と同等とされています。
比較項目 | 卵胞期採卵 | 黄体期採卵 |
|---|---|---|
採卵数 | 通常と同等 | 同等またはやや少ない |
成熟卵率 | 通常と同等 | 同等 |
胚盤胞到達率 | 通常と同等 | 同等 |
妊娠率(FET後) | 通常と同等 | 同等という報告が多い |
デュオスティム法が向いているケース
- 低卵巣予備能(Poor Responder):AMH値が低く、通常採卵では1〜3個しか採れない方
- 高齢(40歳以上):1回の採卵数が少なく、複数胚を早期に確保したい方
- PGT-A(着床前胚染色体異数体検査)を希望:染色体正常胚を確保するために多くの胚が必要な方
- 時間的制約がある方:がん治療前・加齢への焦りなど短期間で胚を集めたい方
向いていないケース
- 卵巣予備能が十分で1回の採卵で複数の胚が得られる方(高リスク・高コストになりやすい)
- OHSSリスクが高い方(PCOS等)
費用と保険適用
デュオスティム法は2022年4月の不妊治療保険適用の枠組みに含まれていない部分が多く、自費診療となることが一般的です。1周期で2回採卵分の費用(採卵・麻酔・培養・凍結)がかかるため、通常採卵の約1.5〜2倍の自己負担になることが多いです。
- 1周期分のデュオスティム費用目安:60〜100万円(クリニックにより大きく異なる)
- 保険適用の採卵回数に含まれるかどうかは担当医に確認が必要
リスク・注意点
- OHSSリスクは通常採卵と同等(低卵巣予備能の方はリスクが低い傾向)
- 2回の採卵処置に伴う身体的・心理的負担
- 採卵後も翌周期に移植できないため、移植まで2〜3カ月かかる
- 黄体期採卵では採卵後に次の月経が来るまでやや時間がかかる場合がある
よくある質問(FAQ)
Q. デュオスティム法はどのクリニックでも受けられますか?
すべてのクリニックで対応しているわけではありません。低卵巣予備能・高齢の方への専門的対応実績があるクリニックで実施されることが多いです。受診前に問い合わせを推奨します。
Q. 1回目と2回目、どちらの採卵の方が質がいいですか?
現在の研究では卵胞期・黄体期どちらの採卵も質・妊娠率に統計的有意差はないとされています。ただし個人差があるため、担当医の評価を参考にしてください。
Q. 2回採卵すると身体への負担は大きいですか?
採卵は1回につき15〜30分程度の処置(静脈麻酔使用)です。2回の採卵はその分の身体的負担がありますが、卵巣予備能が低い方では1回あたりの採卵数が少ないため卵巣刺激量も少なく、OHSSリスクは比較的低いとされています。
まとめ
デュオスティム法は低卵巣予備能・高齢の方が1周期で複数の胚を効率よく確保するための方法です。黄体期採卵で得られた卵子の質・妊娠率は卵胞期採卵と同等という研究が増えています。
- 1周期に卵胞期・黄体期の2回採卵を行う
- 低卵巣予備能・高齢・PGT-A希望者に向いている
- 自費診療となることが多く費用は通常採卵の約1.5〜2倍
- 採卵後は全胚凍結し、翌周期以降にFETを実施
※本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。治療方針は必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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