子どもが生まれた後、父親にも気分の落ち込み、不安、いら立ち、楽しめなさなどが起こることがあります。性格や気合いだけの問題にせず、つらさや生活への影響があれば相談してください。「症状が5個になるまで」「2週間たつまで」と受診を待つ必要はありません。
項目数より、いまの安全と生活への影響を確認します
| 状況 | 助けを求める目安 |
|---|---|
| 自分や家族を傷つけそう、すでに危害がある、いま安全を保てない | 直ちに周囲へ助けを求め、救急へつなぐ。本人と子ども・家族の安全を確保する |
| 消えたい・死にたい気持ちがある | 一人で抱えず、今すぐ信頼できる人や医療者・相談先へ伝える。差し迫った危険は救急へ |
| 眠れない・食べられない、仕事や育児が難しい、急に悪化した | 期間や症状数を待たず、早くかかりつけ医・精神科などへ相談する |
| 落ち込みや楽しめなさ、不安・いら立ちが続く | 医療や自治体の保健師へ相談する。2週間程度続くことも受診の目安だが、それ以前でも相談できる |
| 自分では病気か疲れか分からない | 分からないまま相談してよい。いつから何に困るかを伝え、診察や支援を受ける |
つらい気持ちを今すぐ話す相談先として、#いのちSOSの電話0120 061 338があります。https://www.lifelink.or.jp/inochisos/でも案内を確認できます。命や安全に差し迫った危険がある場合は、相談の応答を待たず救急の助けを求めてください。
「パタニティブルー」という言葉だけで、診断は決まりません
この言葉は、出産を迎えた父親の心の不調を指して使われることがあります。ただし、一時的な気分の変化、うつ病、不安、睡眠や体の病気などを、呼び名だけで区別することはできません。母親のマタニティブルーの経過を、そのまま父親にも当てはめないでください。
NHSは、父親やパートナーも出産後にうつになる場合があり、症状の一部しかなくても助けを求めることが大切と説明しています。産後3〜6か月だけ注意すればよい、一定割合に入れば病気、という判断はしません。NHS:出産後のうつと父親・パートナーの相談
診療で伝えたい症状・変化
次は相談のための整理項目です。診断用の点数表ではなく、当てはまる数で軽症・中等症・重症を決めるものでもありません。
- 落ち込み、不安、絶望感、自分を責める気持ちが続く。
- 以前楽しめたことを楽しめない、気力が出ない。
- 休める状況でも眠れない、食欲や体重・疲れ方が変わった。
- いら立ちや怒りが強くなった、飲酒などに頼ることが増えた。
- 集中や判断が難しく、仕事・家事・育児や人間関係に支障がある。
- 死や自傷について考える、自分や家族の安全が心配。
NIMHは、男性の心の不調として落ち込みだけでなく、怒り、睡眠・食欲の変化、飲酒などの問題や生活への支障も挙げています。これらすべてがうつ病に特有という意味ではありません。ほかの病気や薬の影響も含め、医療者が評価します。NIMH:男性のメンタルヘルス
原因を、ホルモンの変化一つで決めません
うつの発症には、生物学的、心理的、環境的な要因などが関わります。出産後の生活では、睡眠の中断、育児・家事・仕事の負担、孤立、家族の不調なども診療や支援で確認します。全員が同じホルモン変化で発症すると決めたり、男性ホルモンの検査・補充を自己判断で始めたりしないでください。
パートナーもつらい場合、どちらかのせいにする必要はありません。二人だけで解決することを条件にせず、家族以外の支援を含めて相談します。困りごとを打ち明けられる相手がパートナーでなくても構いません。
相談先は、医療と地域の育児支援を組み合わせます
心身の症状は、かかりつけ医、精神科・心療内科などで相談できます。受診先が分からない場合は、地域の保健師や自治体の子育て・こころの健康の相談窓口へ、父親本人の不調について相談したいと伝えます。各窓口の対象者・予約・費用や父親への対応を確認してください。
例えば板橋区の2026年10月6日更新の案内では、健康福祉センターの保健師への相談に加え、区内在住の乳幼児の保護者(妊娠期を含む)を対象とする、予約制の「パパのためのこころの相談室」を紹介しています。全国で同じ制度・条件という意味ではありません。板橋区:パパのこころの健康・相談の対象
受診時には「子どもが生まれた後から、眠れず仕事にも支障がある」など、起きていることを伝えれば大丈夫です。開始時期、睡眠・食事、仕事や育児への影響、過去の病気、薬や飲酒、傷つけたい気持ちの有無をメモすると役立ちます。うまく説明できなくても受診できます。
休息や負担の調整を、治療と並行して考えます
家事や買い物、夜間の育児を誰に頼めるか、休める時間をどう作るかを具体的に相談しましょう。パートナーの体調も踏まえ、家族・地域の支援・勤務上の調整などを組み合わせます。「必ず連続6時間眠る」「週150分運動する」を回復の条件にする必要はありません。できる範囲の休息や活動から始めます。
気持ちを信頼できる人に話すことも選べます。飲酒などでつらさを紛らわせず、症状が強いときはセルフケアだけで何とかしようとしないでください。育休を取れば必ず治る・予防できるとは限らないため、休業中の負担や孤立にも支援が必要です。
治療と回復までの期間は、個別に相談します
NIMHは、うつの治療に心理療法、薬物療法、または両者の組み合わせがあり、本人の必要性や希望、医学的状況に合わせて選ぶと説明しています。症状が少ない場合でも治療が役立つことがあります。診療を受けることが、必ず薬を飲むという意味ではありません。NIMH:うつの評価と治療
「産後6か月〜1年で自然に治る」と全員に約束はできません。必要な治療や支援でよくなる可能性があり、経過を確認して調整します。薬を処方された場合は、よくなった・効かないと感じても、自己判断で中止や増減をせず相談してください。
家族が気づいたとき
責めたり励まし続けたりするより、「眠れていないのが気になる。相談先を一緒に探そうか」と、具体的な心配や手助けを伝えます。予約や受診の付き添い、家事などを手伝う方法もあります。自分や子どもが危険にさらされる場合は、対話だけで解決しようとせず、安全を確保して外部へ助けを求めてください。
出典と確認日
2026年10月26日にNHS、NIMH、板橋区の採用節と日本の相談先を確認しました。外国の医療制度や電話番号を国内へ転記していません。独自チェックによる診断や固定の自然回復期間は示さず、医師による本記事の個別監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。