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妊活ハラスメントとは?|具体例と対処法

2026/4/19

妊活ハラスメントとは?|具体例と対処法

妊活ハラスメントとは?|具体例・職場や家族への対処法を解説

「早く子どもを作らないの?」「もう年齢的にそろそろでしょ」——そんな言葉を職場や家族から受けたとき、「これってハラスメントになるの?」と感じたことはありませんか。

妊活ハラスメント(妊活ハラ)は、本人が傷ついたとしても「善意のひと言」として見過ごされやすく、被害を受けた側が自分の感情を正当化できずに抱え込むケースが多いです。しかし、法律上の保護対象となる言動も含まれており、適切な知識と対処法を持つことで状況を変えられます。

この記事では、妊活ハラスメントの定義・具体例・法的背景・職場・家族・友人それぞれへの対処法、そして相談できる窓口を段階的に解説します。

この記事でわかること

  • 妊活ハラスメントの定義と法律上の位置づけ
  • 職場・家族・友人別の具体例と「グレーゾーン」の見分け方
  • 状況別(職場・家族・友人)の具体的な対処ステップ
  • 法的に動く場合の手順と相談窓口(電話番号・受付時間含む)
  • 妊活ハラスメントを受けた後のメンタルケア方法

妊活ハラスメントとは何か——定義と法律上の根拠

妊活ハラスメントとは、妊娠・出産・不妊治療・妊活行動に関して、本人の意思を尊重せずに行われる言動・干渉・強要・不利益取り扱いの総称です。厚生労働省が定める「マタニティハラスメント」の定義(均等法・育休法に基づく指針)と重なる部分を含み、妊娠前の妊活段階から保護の対象となります。

法律的な根拠は主に以下の2つです。

  • 男女雇用機会均等法(第11条の3):妊娠・出産に関する言動で就業環境を害することを事業主に防止義務として規定。指針上、「妊活に関する言動」も対象として解釈される。
  • 育児・介護休業法(第25条):育休・産休取得を申し出た従業員に対する不利益取り扱い・ハラスメント防止を義務化。不妊治療のための休暇申請への圧力も対象になりうる。

2022年4月施行の改正育児・介護休業法では、「妊娠・出産を申し出た従業員への個別周知と意向確認」が事業主に義務付けられました。これにより、職場における妊活・妊娠関連のハラスメント防止義務は以前より明確に強化されています。

ただし、法律は「悪意ある言動」に限らず、「善意であっても相手の就業環境を害する言動」も対象とします。発言者の意図は関係なく、受け手が傷ついたか・職場環境に支障が出たかで判断される点が重要です。

職場での妊活ハラスメント——具体例と「これってハラスメント?」の判断基準

職場の妊活ハラスメントは、上司・同僚・取引先いずれからも発生します。「子どもの予定は?」という質問が業務上不必要であれば、それだけでハラスメントに該当する可能性があります。以下の具体例で当てはまるものがないか確認してください。

職場でよくある言動の具体例

言動の種類

具体例

ハラスメント該当度

不妊治療への干渉

「体外受精を試みているって聞いたけど、いくらかかるの?」「そこまでしてでも産みたいの?」

高(プライバシー侵害+価値観の押しつけ)

妊娠時期の強要・誘導

「○○さんが産休に入る前に産んでおいてよ」「30代のうちに産まないと昇進が遅れるよ」

高(本人の意思決定への干渉)

休暇取得への圧力

「採卵のために休むなら、その分残業を補填してください」「不妊治療の通院で休むのは業務上の迷惑」

高(不利益取り扱い)

子どもがいないことへの言及

「子どもがいないから責任感がない」「そのうち何かわかるよ」

中〜高(人格否定・揶揄)

善意のアドバイス

「ストレスをなくせば自然に授かるよ」「漢方を試してみたら?」

低〜中(繰り返せば心理的負担)

グレーゾーンの見分け方:3つの判断軸

  1. 業務上の必要性があるか:妊娠計画を聞く明確な業務理由がない → ハラスメントの可能性が高い
  2. 繰り返し・継続的か:1回の発言は「不適切」でも、継続すると就業環境を害する言動となる
  3. 不利益が発生したか:降格・配置転換・評価への影響が伴う場合は法律上の禁止事項に直結する

家族・親族からの妊活ハラスメント——なぜ「善意」ほど傷つくのか

家族・親族からの妊活ハラスメントは、「愛情の表現」「心配している」という前提があるため、被害を受けた側が「自分が過敏なのでは」と感じやすいです。しかし、善意であっても精神的苦痛を継続的に与える言動は問題であり、受け手の感情は正当です。

家族・親族からよくある言動

  • 「孫の顔が見たい」を繰り返し口にする(特に正月・盆などの集まり)
  • 「お義母さんは33歳で産んだから、あなたも大丈夫よ」と根拠なく励ます
  • 「自然妊娠できないのは生活習慣のせい」と原因を決めつける
  • 不妊治療の詳細を本人に無断で親族に共有する
  • 「子どもを作らないカップルは寂しい老後になる」と将来を脅かす

特に注意が必要なのは、「情報の無断共有」です。配偶者が義実家に治療状況を伝えてしまうケースは、妊活中のカップルの関係悪化の主要因の一つでもあります。不妊治療専門クリニックの心理相談では「義母への情報共有が夫婦間の信頼を損なった」という相談が多く寄せられています。

友人・知人からの妊活ハラスメント——「友人の妊娠報告が辛い」との違い

友人・知人からの妊活ハラスメントは、妊娠報告や子どもの話題を振られること自体ではなく、本人の状況を知った上での「無神経な干渉」「比較」「助言の押しつけ」が問題となります。

友人・知人からよく見られる言動には以下があります。

  • 「私の友達も不妊治療で授かったよ」という的外れな励まし
  • 「ヨガや食事療法で妊娠した人がいるから試してみて」と根拠なきアドバイス
  • SNSで治療状況を公開してしまう(本人の了解なし)
  • 「子どもができないと老後が大変」「一人っ子はかわいそう」という価値観の押しつけ

なお、「友人の妊娠報告を聞いてつらい」という感情は妊活ハラスメントの被害ではありません。しかし、その友人が「また報告しないと怒るの?」「なんで喜んでくれないの?」と非難するなら、それはハラスメントに当たります。辛い感情を持つこと自体は正常な反応であり、誰かのせいにすべきものではありません。

職場での妊活ハラスメントへの対処法——段階別の具体的ステップ

職場での妊活ハラスメントへの対処は、「記録→社内報告→外部相談→法的措置」の段階で進めます。いきなり法的手段を取る必要はなく、まずは記録と社内窓口の活用から始めることで、状況が改善するケースが多いです。

ステップ1:記録を残す(最重要)

ハラスメントの言動は必ず記録します。記録の方法と内容は以下のとおりです。

  • 日時・場所・発言内容を詳細にメモ(できるだけ発言直後に)
  • 目撃者がいれば氏名を記録(後に証言を依頼できる場合あり)
  • メールやチャットでの言動はスクリーンショットを保存
  • 体調・精神的影響も記録(「眠れなくなった」「食欲が落ちた」等)

ステップ2:社内窓口への相談

多くの企業には人事部・コンプライアンス部・ハラスメント相談窓口があります。相談時は「このような言動により就業環境に支障が生じている」と事実ベースで伝えます。「不快だった」という感情だけでなく、記録した具体的事実を持参することで、会社側が対応を取りやすくなります。

ステップ3:外部機関への相談

社内での解決が難しい場合は、以下の外部機関を利用できます。

機関名

連絡先・受付時間

対応内容

都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)

各都道府県の労働局(全国共通ダイヤル:0120-794-713)月〜金 8:30〜17:15

均等法・育休法に基づくハラスメントの調停・助言・指導

みんなの人権110番

0570-003-110 月〜金 8:30〜17:15

ハラスメント・差別に関する人権相談

総合労働相談コーナー

各都道府県労働局・労働基準監督署内(全国共通ダイヤル:0570-200-059)月〜金 8:30〜17:15

労働問題全般の無料相談

ステップ4:法的措置の検討

不利益取り扱い(降格・解雇・配置転換等)が伴う場合は、弁護士への相談を検討します。法テラス(0570-078374)では経済的に困難な場合でも無料法律相談を受けられます(収入要件あり)。

家族・親族からのハラスメントへの対処法——「傷つくことへの正当化」から始める

家族・親族からのハラスメントへの対処は、職場と異なり法的手段を使いにくいため、コミュニケーション戦略が中心となります。対処の基本は「境界線を明示すること」と「情報共有を制限すること」の2点です。

具体的な対処アプローチ

  • 一次的な返答例を準備する:「その話題はしたくないの」「治療については私たちだけで決めるから大丈夫」と短く打ち切る練習をする。詳細を説明しようとするほど議論が長引く。
  • 配偶者との情報共有ルールを決める:「義実家への治療状況の共有は事前に確認する」と2人で取り決め、実親・義両親への情報を統一する。
  • 集まりへの参加頻度を調整する:毎回の集まりが精神的に消耗するなら、参加頻度を減らすことは合理的な自己防衛。「仕事の都合で」といった理由は不要。
  • カウンセリングを活用する:不妊治療クリニックに心理士が在籍している場合は、「家族からの圧力への対処」を相談できる。費用は1回あたり3,000〜8,000円程度。

妊活ハラスメントを受けた後のメンタルケア——一人で抱え込まないための3つの選択肢

妊活ハラスメントを繰り返し受けると、「自分が弱いせいだ」「妊活をやめれば楽になれる」という思考に陥りやすくなります。これはハラスメントによって引き起こされる認知の歪みであり、本人の問題ではありません。以下の3つの選択肢から、自分に合ったものを選んでください。

選択肢1:不妊治療クリニックの心理カウンセリング

不妊専門クリニックの多くは、心理士・カウンセラーによる相談窓口を設置しています。妊活ハラスメントの相談にも対応しており、治療の継続を前提とした現実的なアドバイスを受けられます。初回は無料または低コストで相談できるクリニックもあるため、通院中のクリニックに問い合わせてみることを勧めます。

選択肢2:当事者コミュニティへの参加

不妊当事者の集まるオンラインコミュニティ(Fine、NPO法人Fineが主催するピアサポートグループ等)では、同じ経験を持つ人からのサポートを受けられます。NPO法人Fine(https://j-fine.jp/)は無料の電話相談(0120-733-461)も実施しており、妊活ハラスメントに関する相談実績も豊富です。

選択肢3:精神科・心療内科への受診

睡眠障害・食欲低下・強い無力感が2週間以上続く場合は、うつ状態の可能性があります。この段階では心理カウンセリングより精神科・心療内科への受診が優先です。不妊治療との並行を主治医に相談することで、治療への影響を最小化しながらメンタルヘルスのケアを進められます。

よくある質問

「妊活ハラスメント」と「マタハラ」はどう違うのですか?

マタニティハラスメント(マタハラ)は主に妊娠判明後〜産後の職場での不利益取り扱いを指します。妊活ハラスメントはそれより前の段階、すなわち妊娠を目指している段階での言動・干渉も含む広い概念です。ただし、厚生労働省のマタハラ防止指針は妊活段階の言動も対象となる解釈が可能であり、法的保護の根拠として使えます。

上司に「早く子どもを作れ」と言われましたが、証拠がありません。どうすれば良いですか?

証拠がない場合でも、言われた直後に内容・日時・状況をメモすることで「記録」として機能します。「証拠がないから動けない」ではなく、まず記録を始めることが重要です。また、人事部への相談時にメモを提示するだけで、会社が発言者への注意・指導を行うケースもあります。録音については、原則として自分が会話に参加している場合は違法にはなりません(日本の法律上)。

不妊治療のための休暇申請を断られました。これはハラスメントですか?

2023年4月以降、従業員101人以上の企業では「不妊治療との両立支援」が事業主の義務となっています(100人以下は努力義務)。法的な「不妊治療休暇」の義務化はまだ限定的ですが、休暇申請を理由に不利益な取り扱いをすることは均等法の趣旨に反する可能性があります。都道府県労働局に相談することを勧めます。

義母から毎回「孫はまだ?」と言われます。夫に止めてもらえず困っています。

夫婦間で「義実家への対応は2人で統一する」というルールを作ることが最初のステップです。夫が止めてくれない背景には「親への遠慮」「問題の深刻さへの認識不足」があることが多いため、「あなたが傷ついているから止めてほしいのではなく、私が精神的に消耗して治療に影響が出ている」という事実ベースで伝えることが効果的です。カップルカウンセリングの活用も選択肢の一つです。

職場に妊活中であることを伝えるべきですか?

妊活中であることを職場に伝える義務はありません。一方で、通院による欠勤・遅刻が生じる場合は「治療のため通院が必要」という範囲で伝えることが業務調整上有効な場合もあります。伝える相手は直属の上司1名に絞り、詳細(治療の種類・費用・結果等)を話す必要はありません。信頼できる上司かどうかを事前に判断してから開示することを勧めます。

妊活ハラスメントをした側に罰則はありますか?

個人(発言者)への直接的な罰則規定は現行法にはありません。ただし、事業主(会社)には防止措置義務があり、都道府県労働局から是正勧告・指導を受ける可能性があります。また、民事上の不法行為(精神的損害賠償)として裁判で争うことも可能です。過去の裁判例では、マタハラ・ハラスメントによる精神的損害賠償が認められた事例があります。

妊活ハラスメントを受けて治療をやめたいと思っています。

ハラスメントによって治療意欲が低下することは、珍しくない反応です。まず、ハラスメントへの対処(記録・相談・環境の改善)を行い、環境が変わった上で治療継続を判断することを勧めます。ただし、「もう無理だ」という感覚が2週間以上続く場合は、治療の判断より先に精神科・心療内科への相談を検討してください。治療をやめることは選択肢の一つですが、ハラスメントによって追い込まれた状態での決断は後悔につながりやすいため、精神的に安定した状態での判断が理想的です。

まとめ

妊活ハラスメントは、職場・家族・友人のいずれからも発生し、発言者の「善意」は免責事由になりません。受けた側が傷ついたという事実、および就業環境への影響が判断基準となります。

対処のポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 職場の場合:記録→社内窓口→都道府県労働局(0120-794-713)の順で動く。不利益取り扱いが伴う場合は弁護士相談も検討。
  • 家族・親族の場合:配偶者との情報共有ルールを先に決め、境界線を短い言葉で明示する。消耗するなら集まりへの参加頻度を調整することは合理的。
  • メンタルケア:不妊クリニックのカウンセリング(3,000〜8,000円/回)・NPO法人Fineの無料電話相談(0120-733-461)・精神科受診の3択から状況に合わせて選ぶ。

「自分が過敏なのかもしれない」と感じた方へ——繰り返し傷ついているなら、その感覚は正確です。問題は言動を受け続けた側ではなく、言動を行った側にあります。一人で抱え込まず、この記事で紹介した相談窓口を活用してください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/1