
不妊治療では採卵・移植・検査など通院回数が多くなり、有給休暇だけでは対応しきれないと感じる方も多くいます。会社の休暇制度を正しく理解し使いこなすことで、治療と仕事の両立は大幅に楽になります。この記事では、利用できる休暇制度とその活用法を整理します。
この記事のポイント
- 不妊治療に使える休暇制度の種類と取得方法
- 2022年から拡充された不妊治療支援制度の内容
- 休暇が取りにくい職場での対処法
不妊治療と休暇制度の基本情報
2022年の法改正により、不妊治療と仕事の両立支援が強化されました。時間単位の有給休暇や不妊治療休暇を導入する企業が増えており、制度を知ることが両立の第一歩です。
制度名 | 概要 | 法的根拠 |
|---|---|---|
年次有給休暇(時間単位) | 1日単位でなく1時間単位で取得可能 | 労働基準法第39条 |
不妊治療休暇 | 企業独自の特別休暇(有給・無給) | 各社就業規則 |
フレックスタイム | 始業・終業時刻を柔軟に設定 | 労使協定 |
テレワーク | 在宅勤務で通院後の業務継続 | 各社規程 |
時間単位有給休暇の活用法
不妊治療の通院は「採卵後2時間で帰宅可能」「診察は30分」など短時間のケースが多く、時間単位有休が最も効率的です。
取得できる上限と手続き
- 労働基準法上、年5日分を上限として時間単位取得が可能
- 取得には労使協定の締結が必要(会社が導入していれば利用可能)
- 申請方法は会社の規程に従う(事前申請または当日朝の申請)
通院パターン別の活用例
- 朝の採血・エコー検査:8〜10時の通院→2時間の時間単位有休で業務への影響最小化
- 採卵日(日帰り手術):終日有休または不妊治療休暇を使用
- 移植翌日の安静:テレワーク制度を活用して在宅勤務
企業独自の不妊治療支援制度
厚生労働省の「両立支援等助成金」制度を活用して不妊治療休暇を導入する企業が増えています。大手企業や公務員では特別休暇として有給で取得できるケースもあります。
- 不妊治療特別休暇(有給)を設ける会社:年5〜10日程度が多い
- 積立有給休暇の不妊治療利用を認める会社もある
- 育児・介護休業法改正(2022年)で事業主への情報提供義務が強化
休暇が取りにくい職場での対処法
制度があっても申請しにくい職場環境は多くあります。以下の方法で状況を改善できる可能性があります。
- 産業医を活用:産業医から職場への配慮推奨が可能な場合があります
- 上司への事前共有:「定期通院が必要な状況」を事前に伝え、急な欠勤への理解を得る
- 業務の見える化:不在時に他者が対応できる体制を自ら整えておく
- 外部相談窓口:都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」も活用できます
公的支援・助成金との組み合わせ
休暇制度と合わせて公的支援も活用することで、経済的・精神的な負担を軽減できます。
- 特定不妊治療費助成制度(各自治体):保険適用外の治療費を一部補助
- 健康保険の傷病手当金:療養で仕事を休んだ期間の生活保障(適用条件あり)
- 不妊治療の保険適用拡大(2022年4月〜):体外受精・顕微授精等が保険適用に
よくある質問(FAQ)
Q1. 時間単位有休がない会社ではどうすれば?
A. 年5日の時間単位有休は任意制度のため、未導入の会社もあります。まず人事部に導入を相談するか、半日有休・通常有休で対応することになります。
Q2. 治療を理由に減給・降格されないか心配です。
A. 不妊治療を理由とした不利益取扱いは、男女雇用機会均等法の趣旨に反します。不当な扱いを受けた場合は都道府県労働局に相談できます。
Q3. パートタイムでも有給休暇は取れますか?
A. はい。週3日以上勤務のパートタイマーにも有給休暇は付与されます。勤務日数に応じた日数が取得可能です。
Q4. 採卵日に緊急で休む必要が生じた場合は?
A. 事前に「採卵のタイミングは急に決まる」ことを上司に伝えておき、急な休暇への理解を得ておくことが重要です。
Q5. 不妊治療を理由に休職はできますか?
A. 法定の不妊治療休職制度はありませんが、会社独自の病気休職制度が利用できる場合があります。就業規則を確認してください。
まとめ
不妊治療と仕事の両立には、時間単位有休・不妊治療休暇・フレックス・テレワークを組み合わせることが効果的です。2022年の法改正や保険適用拡大により、制度的な環境は整備されつつあります。まず社内制度を確認し、人事部や産業医を味方につけることが両立への近道です。使える制度をフル活用してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為の代替となるものではありません。症状や治療については必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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