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養子縁組という選択肢|不妊治療後の家族のかたち

2026/4/22

養子縁組という選択肢|不妊治療後の家族のかたち

不妊治療を続ける中で「養子縁組」という選択肢が頭をよぎったことはありませんか。治療の終結を考え始めたとき、あるいは治療と並行して情報を集めたいとき、養子縁組は家族をつくるもう一つの道として現実的な選択肢になり得ます。厚生労働省の統計によると、2022年度の特別養子縁組成立件数は約700件。決して多い数字ではありませんが、この制度を通じて家族を築いた方々は確かに存在します。

この記事では、不妊治療後に養子縁組を検討する方へ向けて、制度の仕組み・手続きの流れ・費用・心の準備について、正確な情報をお伝えします。

この記事のポイント

  • 特別養子縁組と普通養子縁組の違いと、不妊治療経験者が知っておくべき制度の要点
  • 民間あっせん機関・児童相談所それぞれの手続きの流れと期間の目安
  • 養子縁組に踏み出す前に整理しておきたい気持ちとパートナーとの対話のヒント

養子縁組には2種類ある――特別養子縁組と普通養子縁組の違い

養子縁組制度には「特別養子縁組」と「普通養子縁組」の2種類があり、法的な親子関係の性質が大きく異なります。不妊治療を経て子どもを迎えたいと考える場合、多くの方が検討するのは特別養子縁組です。

特別養子縁組とは

特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立する制度です。実親との法的な親子関係が終了し、養親との間に実子と同等の親子関係が生まれます。戸籍上も「長男」「長女」と記載され、法律上は実子と区別されません。

項目

特別養子縁組

普通養子縁組

実親との関係

終了する

継続する

成立方法

家庭裁判所の審判

当事者間の合意+届出

養子の年齢要件

原則15歳未満(2020年改正)

制限なし

養親の年齢要件

夫婦の一方が25歳以上

20歳以上

離縁の可否

原則不可

可能

戸籍の記載

「長男」「長女」

「養子」「養女」

どちらを選ぶべきか

乳幼児を迎えて「実子と同じように育てたい」と望む場合は、特別養子縁組が適しています。一方、連れ子や親族の子どもを法的に保護する目的では普通養子縁組が選ばれるケースが多いでしょう。

養子縁組の手続きの流れ――申し込みから成立まで

特別養子縁組の手続きは、児童相談所を経由するルートと民間あっせん機関を利用するルートの2つがあります。いずれも「試験養育期間(6か月以上)」を経て家庭裁判所の審判を受ける点は共通です。

児童相談所ルート

  1. 相談・説明会への参加:まず居住地の児童相談所に連絡し、里親登録の説明会に参加します
  2. 里親登録:研修(数日間)を受講し、家庭調査を経て里親として登録されます
  3. マッチング・委託:子どもとの引き合わせ、交流を経て委託が開始されます
  4. 試験養育期間:6か月以上、養育状況を児童相談所が確認します
  5. 家庭裁判所への申立て・審判:審判確定で特別養子縁組が成立します

民間あっせん機関ルート

民間あっせん機関(許可制)は、実親からの相談を直接受け、養親候補とのマッチングを行います。児童相談所ルートと比較して、乳児期の早い段階でマッチングされるケースが多いのが特徴です。ただし、機関によって費用や対応エリアが異なるため、複数の機関に問い合わせて比較検討することをおすすめします。

手続き全体の期間

登録から成立まで、1年〜数年かかるのが一般的です。タイミングはマッチング次第であり、「いつ子どもを迎えられるか」を確約できる制度ではありません。この不確実性が精神的な負担になることもあるため、焦らず自分たちのペースで進めていくことが大切です。

養子縁組にかかる費用――公的ルートと民間ルートの違い

費用面は、どのルートを選ぶかによって大きく変わります。事前に全体像を把握しておくと、資金計画を立てやすくなります。

費用項目

児童相談所ルート

民間あっせん機関ルート

登録・研修費用

無料

数万円〜20万円程度

あっせん手数料

なし

30万〜100万円程度(機関による)

実親の出産費用負担

原則なし

一部負担を求められる場合あり

家庭裁判所の手続き

数千円(印紙代等)

同左

合計目安

数千円〜数万円

50万〜150万円程度

児童相談所ルートは費用負担がほとんどありませんが、マッチングまでの期間が長くなる傾向があります。民間機関は費用がかかる一方、比較的スムーズにマッチングが進むケースもあります。どちらが「正解」ということではなく、ご自身の状況に合ったルートを選ぶことが重要です。

不妊治療から養子縁組へ――気持ちの整理と向き合い方

不妊治療を経て養子縁組を検討する過程には、複雑な感情が伴います。「治療をあきらめるのか」「自分の遺伝子を持つ子どもへの未練」「養子を迎えることへの不安」――こうした感情はすべて自然なものであり、感じてはいけない気持ちなど一つもありません。

「治療の終結」と「養子縁組の検討」は別の意思決定

養子縁組を考え始めることは、不妊治療を「あきらめる」こととイコールではありません。治療を続けながら並行して情報収集する方もいますし、治療を完全に終えてから検討を始める方もいます。ご自身のタイミングで、ご自身のペースで進めてください。

パートナーとの温度差にどう向き合うか

養子縁組については、パートナー間で考え方や気持ちの段階が異なることが少なくありません。一方が前向きでも、もう一方が慎重というケースはよくあります。

  • それぞれの気持ちを否定せず、まず聴き合う時間をつくる
  • 説明会や相談会に一緒に参加し、同じ情報を共有する
  • 結論を急がず、「今日は情報を集めるだけ」というスタンスで始める
  • 必要に応じてカウンセラーなど第三者を交えて対話する

周囲への伝え方

養子縁組を検討・決定した場合、家族や友人にどう伝えるかも悩みの一つです。すべての人に理解してもらう必要はありませんが、近しい人には早めに伝えておくと、子どもを迎えた後のサポートを得やすくなります。伝える際は「なぜ養子縁組を選んだか」ではなく「どんな家族を築きたいか」を中心に話すと、前向きな対話になりやすいでしょう。

養子縁組で家族を築いた方の声――「血のつながり」を超えて

養子縁組を経験した方の多くが語るのは、「血縁の有無は、日々の子育ての中で気にならなくなった」という実感です。もちろん、真実告知(子どもに養子であることを伝えること)のタイミングや方法に悩む場面はありますが、多くの専門家は「できるだけ早い段階から、自然な形で伝えていくこと」を推奨しています。

真実告知のタイミングと方法

  • 幼児期から絵本などを通じて伝える:「おなかではなく、心で結ばれた家族」というメッセージを自然に伝えられます
  • 子どもの質問に正直に答える:年齢に応じた言葉で、嘘をつかず対応します
  • 専門家のサポートを活用する:養親の会や自治体の支援を受けながら進める方も多くいます

養親同士のつながり

同じ経験をした養親同士のコミュニティは心強い存在です。各地域の養親の会や、NPO法人が運営する交流会に参加することで、具体的なアドバイスや精神的な支えを得られます。

養子縁組の支援制度と相談先一覧

養子縁組を検討する際に活用できる公的・民間の支援制度と相談先をまとめました。一人で悩まず、まずは情報収集から始めてみてください。

相談先

特徴

費用

児童相談所(全国221か所)

里親登録・特別養子縁組の公的窓口

無料

民間あっせん機関(許可制)

実親からの相談を直接受けマッチング

有料(機関による)

養子縁組あっせん事業者一覧(厚労省HP)

許可を受けた機関の一覧を確認可能

養親の会・自助グループ

経験者同士の情報交換・精神的サポート

無料〜会費制

不妊カウンセラー

治療終結と養子縁組の心理的サポート

保険外(1回5,000〜1万円程度)

養育費の支援

特別養子縁組が成立するまでの里親委託期間中は、里親手当(月額9万円)+一般生活費(月額約5万円)が支給されます(2024年度基準)。養子縁組成立後は実子と同じ扱いとなり、児童手当等の対象になります。

養子縁組を考え始めたら――最初の一歩

「養子縁組に興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」という方へ。最初の一歩は、情報を集めることです。決断する必要はありません。

  1. 書籍やウェブサイトで基礎知識を得る:厚生労働省「養子縁組制度について」のページが信頼性の高い一次情報源です
  2. 説明会や相談会に参加する:児童相談所や民間機関が定期的に開催しています。参加したからといって、申し込む義務はありません
  3. 経験者の話を聞く:養親の会の座談会やオンラインイベントに参加してみてください
  4. パートナーと話し合う:「今日はこんな情報を見つけた」という共有から始めるのがおすすめです

養子縁組は、不妊治療の「代わり」ではなく、家族をつくるもう一つの方法です。血縁がなくても親子になれること、それは制度が保証しています。あなたが「この子の親になりたい」と思い、子どもが安心して育つ環境があるなら、それが家族の始まりです。

よくある質問(FAQ)

Q. 不妊治療中でも養子縁組の申し込みはできますか?

はい、治療と並行して情報収集や説明会への参加は可能です。ただし、一部の機関では「治療を終結していること」を申し込みの条件としている場合があります。事前に確認しておきましょう。

Q. 年齢制限はありますか?

特別養子縁組では、養親の一方が25歳以上であることが要件です。上限年齢の法的な定めはありませんが、機関によっては独自の基準(子どもとの年齢差など)を設けている場合があります。

Q. 共働きでも養子縁組はできますか?

可能です。共働き家庭でも審判は成立しています。保育環境や養育計画をしっかり示すことが求められます。

Q. 養子縁組にはどのくらい時間がかかりますか?

登録から成立まで1年〜数年が一般的です。マッチングのタイミングによるため、明確な期限を示すことはできません。

Q. 養子であることを子どもに伝えるべきですか?

多くの専門家は、幼少期から自然な形で伝える「真実告知」を推奨しています。子どもが自分のルーツを知ることは、アイデンティティの形成にとって重要とされています。

Q. 特別養子縁組が成立した後、取り消されることはありますか?

特別養子縁組は原則として離縁できません。養親による虐待など極めて例外的なケースでのみ、家庭裁判所が離縁を認める場合があります。

免責事項

本記事は養子縁組制度に関する一般的な情報提供を目的としており、法的助言や個別の相談に代わるものではありません。制度の詳細や最新の要件については、児童相談所や弁護士等の専門家にご相談ください。記載内容は2024年時点の情報に基づいています。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/22更新:2026/5/2