不妊治療に関連した落ち込みやつらさを「不妊うつ」と呼ぶことがあります。ただし、治療を受けている人が一律にうつ病というわけではなく、必要な支援や治療は症状と生活への影響を踏まえて判断します。妊娠のために我慢せず、ご自身の健康のために相談できます。
生活への支障と、安全を優先して相談します
| 気になる状況 | 対応・相談すること |
|---|---|
| 自分を傷つけそう・安全を保てない | 一人で抱えず周囲と救急に助けを求める。緊急時は119へ |
| 食べられない・眠れない、仕事や生活が難しい | 2週間や自己採点の結果を待たず、医療へ相談する |
| 質問票の点数が高い・低い | 点数だけで診断・薬・休職を決めず、症状と困りごとを伝える |
| 抗うつ薬と不妊治療の併用が心配 | 両方の医師へ薬の一覧と妊娠の希望・治療予定を共有する |
| 治療を休む・続けるか迷っている | 体調と生活、年齢や治療の見通し、ご本人の希望を踏まえ相談する |
「消えたい」「死にたい」と思うなどのつらさも、話してよい内容です。切迫した危険があるときは、通常の予約やカウンセリングの返信を待たず医療へつないでください。厚生労働省:早めに助けを求める
診察では、症状・病歴と身体の状態を確認します
落ち込み、興味の低下、不安、いらだち、集中の難しさ、睡眠や食欲の変化など、起きていることを伝えます。いつからか、生活への影響、過去の気分の変化、持病、使用薬、飲酒等も診察の手がかりになります。
うつに似た症状には、薬や身体の病気が関係する場合もあります。PHQ-9やK6などの質問票だけで自己診断せず、医療者の評価を受けてください。低い点数だからつらさを相談できない、一定の日数続くまで受診できないということではありません。NIMH:うつの症状・診断と治療
心理療法・薬は、症状と希望に応じて選びます
うつの治療には、心理療法、薬、またはその組合せなどがあります。認知行動療法は、つらさにつながる考えや行動のパターンへの対応を支える方法の一つです。話を聞く相談と、診断に基づく治療が同じ内容とは限らないため、担当者や方法、治療の目的を確認します。
どの治療が適切かは、重症度や病歴、これまでの治療、本人の希望等によって変わります。心理療法が全員で薬以上の効果を持つ、重い症状でも必ず心理療法だけでよい、といった一律の比較はできません。回数や期間、期待する変化と見直しの時期を相談してください。
妊娠の希望と不妊治療の薬を、処方医へ伝えます
抗うつ薬には副作用や飲み合わせの注意があり、選択や調整は個別に行います。不妊治療薬を使っていること、採卵・移植等の予定、妊娠の可能性、処方薬・市販薬・サプリを含む一覧を伝えてください。「排卵誘発薬と重大な相互作用はない」と全製品に一律の安全宣言はしません。
妊娠がわかった場合も速やかに医師へ伝え、薬ごとの利益とリスク、今後の使用を確認します。抗うつ薬を急に自己中止すると症状や離脱の問題が起こる場合があります。
開始・中止・再開・減量は処方医と相談してください。薬を始めたあと等につらさが増した場合も、予定の診察を待たず連絡します。NHS:抗うつ薬の注意・妊娠と中止の相談、NHS:妊娠中のメンタルヘルス
不妊治療を続ける・休む判断は、本人の条件で相談します
精神科等と不妊治療の担当者で、必要な情報をどう共有するかを相談します。休職や勤務の調整、治療を一時的に休むことを検討する場合も、心身、生活、年齢や治療の見通し、ご本人の希望を含めて考えます。
休めば妊娠率が上がる、続ける人は心のケアが足りない、と決めつけないでください。HFEAは、ストレスの強さが不妊治療で赤ちゃんを得られる可能性を左右するという決定的な証拠はないと説明しています。支援はご自身の生活と健康のために利用できます。HFEA:不妊治療中の心の支援
自分に合う支えと、相談の条件を確認します
不妊治療施設の相談、精神科等の診療、自治体の窓口、カウンセリングや当事者の支えなど、目的に合わせて相談できます。話せる相手がパートナーでなくても構いません。家族等も、自分の負担について支援を求められます。
担当者の資格・役割、1回の時間、料金と追加費用、保険・自費等の条件、オンライン対応、キャンセルと緊急時の連絡を確認します。費用や受付時間を確認できない窓口を、全員無料・24時間と案内しません。厚生労働省:相談窓口の連絡方法と条件
回復の期限を一律にせず、見直しを続けます
治療の反応や回復には個人差があり、決まった週数の点数低下や月数での回復を約束できません。症状の変化、副作用、生活でできること・難しいことを伝え、治療方針を見直します。調子が良くなったあとも、再発予防や薬・通院の計画を相談してください。
睡眠、食事、無理のない活動や家事の分担なども支えになりますが、決まった時間・頻度のセルフケアを達成する義務にはしません。セルフケアが受診や必要な治療の代わりになるわけではありません。
出典と確認日
2026年10月30日に同日確認済みのNIMHうつ(2024年改訂)、NHS抗うつ薬(2025年6月12日レビュー)・妊娠中のメンタルヘルス(2026年3月11日レビュー)、HFEAと厚生労働省の採用節を照合しました。引用研究全体の再評価、個別の薬の選択や医師監修は行っていません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。