不妊治療を経て出産した後に、喜べない、不安が強い、眠れない、育児がつらいと感じるときも、支援を求めて構いません。「望んだ妊娠だからつらいと言ってはいけない」と我慢する必要はありません。いまの困りごとを、産婦人科や精神科・心療内科、かかりつけ医、地域の保健師へ伝えてください。
相談で伝えること
| 項目 | 伝える情報 |
|---|---|
| 気持ちや体調 | 不安、楽しめなさ、睡眠や食事、生活への影響 |
| 治療やこれまでの経過 | 不妊治療中も含む気分の不調、既往歴、使用中の薬 |
| 現在の支え | 育児・家事を頼める人、休める時間、受診を手伝ってほしいこと |
| 安全への不安 | 自分や赤ちゃんを傷つけそうな気持ち、強い混乱などは待たずに伝える |
治療経験だけで、全員が高リスクとは決めません
2025年のデンマークの登録研究は、2015〜2019年に出産し質問票の記録がある母親を対象に、生殖医療と産後の抑うつを調べています。全体では生殖医療を受けた群のリスクが低く、IVF/ICSIの群では自然妊娠群との差がなかったと報告しています。
ただし観察研究で、治療自体に予防効果があることを示すものではありません。Egsgaardら:生殖医療と産後うつの登録研究(2025年)
この研究は主に産後約二か月の質問票と登録情報を用い、抑うつの判定にも質問票の点数を使っています。日本の全患者の医師による診断率や、本人の発症確率にそのまま当てはめられません。治療の種類や調べ方が異なる研究をまとめて「不妊治療後は必ず高い」とは説明しません。
一方で、研究の平均的な結果を理由に、本人のつらさを軽く扱うこともありません。不妊治療の有無にかかわらず、いまの症状やこれまでの気分の不調、生活の支えを医療者と確認します。
二週間になるまで、相談を待ちません
NIMHは、出産後に短期間の気分の変化がある一方、強い症状や長く続く不調は産後うつの可能性があり、症状がある人は医療者へ相談するよう案内しています。記事の表でマタニティブルーズか産後うつかを自己判定せず、生活がつらいときは早めに相談してください。NIMH:妊娠中・出産後のうつ
自分や赤ちゃんを傷つけそう、強い混乱や幻覚・妄想などがある場合は、母子の安全のため直ちに医療が必要です。近くの人に伝え、一人で抱えず、119等の緊急支援へつながってください。
治療と授乳は、本人と赤ちゃんの状況から相談します
治療には心理療法や薬、その組合せがあります。授乳の希望、薬名と使用量、赤ちゃんの年齢や健康状態を伝え、選択肢を相談します。全員に同じ薬が最もよい、母乳に移る割合が一定以下なら必ず安全、とは判断しません。国立成育医療研究センター:授乳中の薬の相談
回復の時期を三〜六か月などと一律に約束せず、次の受診、治療中に気になる変化、家族や地域に頼めることを医療者と決めていきます。薬の開始・変更・中止も、処方元へ相談してください。
パートナーや家族ができること
「やっと授かったのだから」と気持ちを評価するより、いま何がつらいか、何を代われるかを聞きます。食事、家事、赤ちゃんの世話、受診や休息の手配など、本人の希望に沿って具体的に支えます。支える人自身も困ったら相談してください。
妊娠中からでも、過去の気分の不調や不安、出産後の支援について医療者に伝えられます。準備をすれば必ず予防できるという意味ではなく、不調が出たときにも助けを求めやすくするためです。
出典と確認日
2026年10月27日に、2025年原著の対象・評価方法・結果と結論、NIMH、国立成育医療研究センターの採用節を確認しました。全研究の統合評価や個人の診断を行う記事ではありません。本記事の個別の医師監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。