
不妊治療と仕事を両立するための制度は、2022年以降急速に整備されています。「どんな制度が使えるか」「会社に制度がない場合はどうするか」——この記事で制度の全体像と活用方法を整理します。
この記事のポイント
- 2022年改正で、101人以上の企業は不妊治療と仕事の両立支援が義務化(努力義務)
- 使える制度:不妊治療休暇・時間単位有給・フレックスタイム・在宅勤務
- 制度がない会社でも通常の有給休暇・半日有給・時短で対応できる場合が多い
- 企業独自の不妊治療支援制度を設ける大手企業が増加中
- 制度の申請・活用時は産業医・人事への相談が最初のステップ
両立支援制度の全体像
制度 | 内容 | 法的根拠 | 対象 |
|---|---|---|---|
不妊治療休暇 | 治療のための特別休暇 | 企業独自設定(努力義務) | 企業により異なる |
時間単位有給 | 1時間単位で有給取得 | 労働基準法(2010年〜) | 全企業 |
フレックスタイム | 出退勤時間の自由化 | 労働基準法 | 制度導入企業 |
在宅勤務 | 自宅でのテレワーク | 企業の裁量 | 制度導入企業 |
半日有給 | 午前・午後単位での取得 | 就業規則による | 企業により異なる |
2022年以降の制度変更のポイント
2022年4月の改正育児・介護休業法施行に合わせ、厚生労働省は「不妊治療と仕事との両立のために」ガイドラインを更新しました。101人以上の企業は、不妊治療を行う労働者に対して相談窓口の設置と両立支援プランの策定が努力義務になっています。
同年の不妊治療保険適用で通院頻度が増えたことを背景に、企業側の対応が急速に進んでいます。制度を持つ企業に転職する選択肢も含め、利用できる環境を作ることが重要です。
企業の取り組み事例
大手企業では独自の不妊治療支援制度が整備されています。
- 不妊治療特別休暇(有給):年間5〜10日程度を有給で取得できる制度(食品・IT・金融業界で導入が進む)
- 治療費補助:1年間に一定額(5〜20万円)を会社が補助する制度
- 専門カウンセラーの紹介:EAP(従業員支援プログラム)で不妊専門カウンセラーへのアクセスを提供
- 両立支援ハンドブック:治療のスケジュール・制度の使い方をまとめた社内資料の整備
制度活用の費用・リスク
- 時間単位有給の使い方:採血や超音波検査(30分〜1時間)に1〜2時間有給を使うことで、1日有給を使わずに済む。年間5日分の時間単位有給を計画的に使う
- 在宅勤務日の設定:週1〜2日の在宅勤務日に通院を組み合わせることで移動時間を圧縮できる
- フレックスタイムの活用:早朝通院(クリニックは7〜8時から開くことが多い)後に通常勤務するパターンが実用的
制度を申請するときの実践的な方法
- まず就業規則を確認する:「不妊治療」「特別休暇」「フレックス」のキーワードで確認。あれば使う権利がある
- 人事部門または産業医に相談する:上司より先に人事・産業医に相談することで、適切な制度につないでもらえる
- 「通院が必要な治療」と説明する:詳細を話す必要はない。プライバシーを守りながら制度を使える
- 制度がない場合は通常有給を計画的に使う:年間の通院回数(採卵周期は10回以上になることも)を事前に見積もり、有給取得計画を立てる
制度整備のない企業での対処法
制度がない場合でも、以下の方法で対応できます。
- 時間単位有給(労基法で認められている)を積極活用
- 担当医に「通院証明書」を発行してもらう(半日休等の申請に使える場合がある)
- 社内制度改善を人事に提案する(他社事例を参考に資料を作成する)
よくある質問
Q. 不妊治療中であることを会社に言わないと制度は使えませんか?
A. 通常の有給・時間単位有給は理由を言わずに取得できます。特別休暇(不妊治療休暇)は治療証明が必要な場合があります。最小限の情報開示で済む方法を人事に確認してください。
Q. 小さい会社で制度がありません
A. 時間単位有給(労基法)と通常有給の計画的活用が現実的です。在宅勤務が認められるなら積極的に活用してください。状況によっては、制度が整備された企業への転職を検討する価値もあります。
Q. 制度を使うと昇進・評価に影響しますか?
A. 有給・フレックス等の権利行使を理由とした不利益扱いは法的に問題があります。ただし実態として懸念がある場合は、利用実績を記録しておくことをおすすめします。
Q. 治療が長引くと有給が足りなくなります
A. 時間単位有給の活用・通院の少ない治療ステージへの移行・体外受精への切り替え(回数は減るが一回の影響は大きい)など、通院回数を最適化する工夫が有効です。担当医と通院スケジュールの効率化について相談することも有効です。
Q. 夫(男性)も制度を使えますか?
A. 不妊治療のための通院は、パートナー(男性)の採精・検査のための通院も含まれます。同様に有給・時間単位有給を活用できます。企業によっては男性パートナーへの支援制度も整備されています。
まとめ
不妊治療と仕事の両立支援制度は2022年以降急速に整備されています。法的に認められた時間単位有給・フレックスタイム・在宅勤務は、制度整備の状況に関わらず多くの職場で活用できます。企業独自の不妊治療休暇・治療費補助は大手企業を中心に広がっており、制度の有無は企業選択の重要な基準にもなります。まず就業規則を確認し、人事・産業医に相談することが制度活用の最初のステップです。プライバシーを守りながら必要な制度を使い、治療と仕事の両立を実現してください。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的アドバイスではありません。不妊治療や医療に関するご判断は、必ず担当医師にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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