
不妊治療のための企業くるふ制度|次世代育成支援
不妊治療と仕事の両立に悩む方は少なくありません。次世代育成支援対策推進法(次世代法)の改正により、企業には不妊治療を含む従業員支援の整備が求められるようになりました。本記事では「くるみん認定」をはじめとする企業認定制度の仕組みと、職場で活用できる両立支援制度を実用的に解説します。制度を正しく知ることで、治療と仕事を無理なく続けるための選択肢が広がります。
この記事の要約 | |
くるみん認定制度とは | 次世代法に基づき、子育て・不妊治療支援に取り組む企業を厚生労働大臣が認定する制度。くるみん・プラチナくるみん・トライくるみんの3段階がある |
不妊治療の両立支援 | 時差出勤・治療休暇・テレワークなど、企業が導入できる具体的支援策が複数ある |
相談先 | 厚生労働省の両立支援窓口や都道府県労働局が利用可能 |
注意点 | 認定基準や制度内容は法改正により変更される可能性がある。最新情報は厚労省公式サイトで確認を |
次世代育成支援対策推進法と不妊治療支援の関係
次世代育成支援対策推進法(次世代法)は、子どもを産み育てやすい環境づくりを企業に促す法律です。法改正により、不妊治療と仕事の両立支援も企業の行動計画に含めることが明確化されました。
従業員101人以上の企業は「一般事業主行動計画」の策定・届出が義務づけられています。この行動計画の中に、不妊治療を受ける従業員への配慮を盛り込むことが推奨されています。100人以下の企業でも努力義務として策定が求められており、規模を問わず制度整備が進んでいます。
- 次世代法は企業に対し、子育てと仕事の両立を支援する行動計画を求める法律
- 不妊治療支援が行動計画の項目として明記されるようになった
- 企業の取り組み状況に応じて「くるみん認定」が付与される
くるみん・プラチナくるみん・トライくるみんの認定基準
くるみん認定制度は3段階に分かれており、企業の取り組みレベルに応じて認定されます。不妊治療支援の有無も認定基準に関わります。
くるみん認定制度の3段階 | ||
認定区分 | 主な認定基準 | 特徴 |
|---|---|---|
トライくるみん | 行動計画を策定・実施し、一定の基準を満たす | 初めて認定を目指す企業向けの入門的な認定。基準がくるみんよりやや緩和されている |
くるみん | 男性育休取得率10%以上、女性育休取得率75%以上など複数の数値基準を満たす | 子育て支援企業として一定水準を満たしたことを示す認定 |
プラチナくるみん | くるみん取得企業がさらに高い水準(男性育休取得率30%以上等)を達成 | より高い水準の両立支援を行う企業に付与。不妊治療と仕事の両立に関する制度整備も評価対象 |
プラチナくるみん認定では、不妊治療のための休暇制度や柔軟な勤務形態の導入が評価項目に含まれています。認定基準の詳細な数値要件は法改正により変更されることがあるため、最新情報は厚生労働省の公式サイトで確認してください。
企業が導入できる不妊治療との両立支援制度
不妊治療は通院回数が多く、急なスケジュール変更も発生しやすい特徴があります。企業側が柔軟な制度を整えることで、従業員が治療を続けながら働ける環境をつくれます。
企業の具体的な両立支援策 | ||
支援制度 | 内容 | メリット |
|---|---|---|
不妊治療休暇 | 不妊治療を目的とした特別休暇の付与 | 有給・無給を問わず、通院のために気兼ねなく休める |
時差出勤・フレックスタイム | 始業・終業時刻を柔軟に変更できる | 通院前後に出勤でき、治療と業務を両立しやすい |
テレワーク・在宅勤務 | 自宅やサテライトオフィスでの勤務を認める | 通院日の前後で在宅勤務に切り替えられる |
時間単位の有給休暇 | 1時間単位で有給休暇を取得可能にする | 半日休まなくても短時間の通院に対応できる |
所定外労働の制限 | 残業を免除または制限する制度 | 体調管理やストレス軽減につながる |
これらの制度は組み合わせて導入することで効果が高まります。たとえば「通院日はテレワーク+時差出勤」「急な採卵日には時間単位の有給休暇」といった使い分けが有効です。まずは自社にどの制度があるか、人事部門に確認してみましょう。
不妊治療と仕事の両立に向けた相談方法
制度があっても、利用方法がわからなければ意味がありません。まずは以下のステップで情報収集と相談を進めましょう。
- 就業規則・社内制度を確認する:人事部門や社内イントラネットで、不妊治療に関連する休暇・勤務制度を調べる
- 上司または人事担当者に相談する:治療内容の詳細を伝える必要はなく、「通院が必要な治療を受けている」程度の説明で制度利用を申し出る
- 社外の相談窓口を利用する:職場で相談しにくい場合は、厚生労働省の窓口や労働局を活用する
上司に伝える範囲は自分で決めて構いません。プライバシーは保護されるべきものです。伝えたくない場合は「定期的な通院が必要」とだけ伝え、制度利用を申請することも可能です。
厚生労働省の相談窓口と支援情報
国や自治体が提供する支援窓口を活用すれば、職場との調整方法についても助言を受けられます。
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室):職場での不妊治療に関するハラスメントや制度利用の相談ができる
- 厚生労働省「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」:企業・従業員双方向けの実践的なガイドがダウンロード可能
- 不妊治療連絡カード:厚生労働省が作成した様式で、医師の診断内容を職場に伝える際に活用できる。主治医に記入を依頼し、職場に提出する
- 各都道府県の不妊専門相談センター:不妊治療に関する医学的な情報提供や心理的サポートを無料で受けられる
これらの窓口は無料で利用できます。一人で悩まず、早めに相談することで選択肢が広がります。
くるみん認定企業で働くメリット
くるみん認定を受けている企業は、制度が整っているだけでなく、実際に運用されている可能性が高いといえます。転職活動や企業選びの際の判断材料にもなります。
- 制度の実効性:認定には実績数値の達成が必要なため、「制度はあるが使えない」という事態が起きにくい
- 職場の理解:認定取得を目指す過程で、社内の意識改革や管理職研修が行われていることが多い
- 企業検索の活用:厚生労働省の「両立支援のひろば」で、くるみん認定企業を検索できる
ただし認定を受けていない企業でも独自の支援制度を設けている場合があります。認定の有無だけで判断せず、具体的な制度内容を確認することが大切です。なお、くるみん認定企業は厚生労働省の「両立支援のひろば」サイトで企業名・所在地・業種などから検索できるため、就職・転職活動時の情報収集にも活用できます。
制度を活用するための心構えと注意点
制度を利用する際には、いくつかの点を意識しておくとスムーズに進みます。
- 早めに情報収集する:治療開始前や初期段階で利用可能な制度を調べておく
- 記録を残す:制度の申請日・承認日・利用状況を自分でも記録しておくと、トラブル時に役立つ
- パートナーと共有する:パートナーの勤務先にも同様の制度がないか確認する
- 制度変更に注意する:認定基準や支援制度の内容は法改正・省令改正によって変更される可能性がある。年度ごとに最新情報を確認する習慣をつける
不妊治療は身体的にも精神的にも負担がかかります。治療のステージによって通院頻度や体調への影響は変わるため、状況に応じて利用する制度を柔軟に切り替えることも重要です。使える制度は遠慮なく活用し、治療に集中できる環境を整えましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. くるみん認定企業でないと不妊治療の支援制度は受けられませんか?
A. いいえ。くるみん認定は企業の取り組みを評価する制度であり、認定の有無にかかわらず支援制度を設けている企業はあります。自社の就業規則を確認してください。
Q. 不妊治療のことを職場に伝えなければ制度は使えませんか?
A. 治療の詳細を伝える義務はありません。「定期的な通院が必要」と伝えるだけで制度を利用できる場合が多いです。不妊治療連絡カードを活用すれば、必要最低限の情報だけを伝えられます。
Q. 不妊治療連絡カードはどこで入手できますか?
A. 厚生労働省の公式サイトからダウンロードできます。主治医に必要事項を記入してもらい、職場に提出する形で使用します。
Q. 男性も不妊治療の両立支援制度を利用できますか?
A. はい。不妊治療は男女ともに受けるものであり、男性従業員も同様に通院休暇やフレックスタイム等を利用できます。
Q. パートや契約社員でも制度を利用できますか?
A. 企業の制度設計によります。正社員以外にも適用される場合がありますので、人事部門に確認してください。雇用形態による不合理な待遇差は法律で禁止されています。
Q. 不妊治療を理由に不利益な扱いを受けた場合はどうすればいいですか?
A. 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。不妊治療を理由とした不利益取扱いやハラスメントについて助言・指導を受けられます。
Q. くるみん認定の基準は今後変わることがありますか?
A. はい。認定基準は法改正や省令改正により変更される可能性があります。最新の認定基準は厚生労働省の公式サイトで確認してください。
まとめ
不妊治療と仕事の両立は、適切な制度を知り活用することで十分に可能です。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 次世代育成支援対策推進法により、企業の不妊治療支援が推進されている
- くるみん認定(トライくるみん・くるみん・プラチナくるみん)は企業の取り組みレベルの目安になる
- 時差出勤・治療休暇・テレワークなど、具体的な支援制度を確認・活用する
- 厚生労働省の相談窓口や不妊治療連絡カードを積極的に利用する
- 制度内容は法改正により変更される可能性があるため、最新情報を定期的に確認する
一人で抱え込まず、使える制度やサポートを活用して、治療と仕事を両立できる環境を整えていきましょう。
不妊治療と仕事の両立でお悩みの方へ
当院では不妊治療中の方の心身の負担に寄り添い、治療計画に応じた通院スケジュールのご相談にも対応しています。お気軽にご相談ください。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。症状や治療については、必ず担当医にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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