
年に一度の親族の集まり、冠婚葬祭、お盆や正月——そんな場面で「子どもはまだ?」という一言が飛んでくることがあります。善意から出ている言葉と分かっていても、治療中の自分にはナイフのように刺さる。そのつらさは正直な反応です。
この記事では、「子どもは?」という質問への実践的な返し方と、自分を守るための心の持ち方を具体的に解説します。
この記事のポイント
- 「子どもはまだ?」という問いは悪意ではなく無知から来ることがほとんど——怒りを抱く必要はない
- 状況・相手に応じた3段階の返し方を準備しておくと、咄嗟に慌てずに済む
- 「伝える・伝えない」の判断基準と、伝えた場合の関係性の変化を事前に想定しておく
なぜ親戚の一言がこれほど傷つくのか
「子どもはまだ?」という質問が特別につらく感じられる理由は、その言葉が「当たり前」を前提にしているからです。「結婚したら子どもを持つのが自然」という文化的な前提に、自分がそこから外れているという事実を突き付けられる体験になります。
不妊治療中の女性の多くが「家族・友人の無神経な発言」をストレス源のひとつとして挙げており、特に親族という近い距離での発言は回避が難しいため、より強くダメージを受けやすくなります。
- 無力感の増幅:「どうにかしたいのに、できていない」という現実を直視させられる
- プライバシーの侵害感:治療という非常にプライベートな領域を無断で踏み込まれる感覚
- 「普通であるべき」圧力:社会的な期待値から外れているという孤立感
場面と相手に応じた3段階の返し方
対処法は「関係性の近さ」と「今の自分のエネルギー量」に応じて使い分けるのが現実的です。
レベル1:サラッと流す(エネルギーが少ないとき・関係が薄い相手)
- 「まあ、追々考えます」(話題を終わらせる無難な一言)
- 「そうですね〜」とだけ言って笑顔でその場を離れる
- 「いや〜難しいですよ」と苦笑いして別の話題にスイッチ
レベル2:軽く線を引く(毎回聞いてくる相手・少しエネルギーがあるとき)
- 「うちの事情はちょっと複雑で……聞いてもらえると助かるのですが、少し時間もらえますか」(別の場に誘導)
- 「その話は今日はちょっと難しくて。また別の機会に」(明確に断るが穏やかに)
- 「ご心配ありがとうございます。でもその話は今は少し難しい状況なので」
レベル3:事実を伝える(信頼できる相手・開示してもよいと判断したとき)
- 「実は治療中なので、そっとしておいてもらえると助かります」
- 「妊活中なんですが、なかなか難しくて。あまり触れないでもらえると嬉しいです」
「伝える・伝えない」をどう判断するか
治療していることを親族に打ち明けるかどうかは、非常に個人的な決断です。以下の観点を参考に、自分にとって何が最善かを考えてみてください。
判断基準 | 「伝える」方向 | 「伝えない」方向 |
|---|---|---|
その人への信頼度 | 秘密を守ってくれると思える | 広まりそうな不安がある |
今後の付き合い | 長く関わる関係性 | 年数回しか会わない |
伝えたときの反応予測 | サポートしてくれそう | さらに質問が増えそう |
自分のエネルギー | 今は開示できる状態 | 今は自分を守ることが最優先 |
「伝えない」という選択は、隠しているのではなく「自分の領域を守る正当な判断」です。すべての親族に説明する義務はありません。
伝えたら余計なアドバイスをされてしまったとき
「治療してる」と伝えた途端に「リラックスすればできるよ」「養子という手もある」「私の友人は〇〇で妊娠した」などの発言が来ることがあります。この場合の対処法として以下が有効です。
- 「ありがとうございます。でも今は自分たちのペースで進めていきたいと思っています」
- 「心配してくれているのは嬉しいです。ただ、アドバイスよりも普通に接してもらえると一番助かります」
- 内心では「この人にはこれ以上話さない」と静かに決める
集まりの場で自分を守るための事前準備
年末年始・お盆など、質問が来ることが予測される集まりの前に準備しておくと、当日の消耗が減ります。
- 返し方のセリフを3つ決めておく:「聞かれたらこう言う」と決めておくだけで、場で慌てることが減ります。
- パートナーと事前に打ち合わせる:夫婦で口裏を合わせておくことで、二人のどちらが聞かれても一貫した対応ができます。
- 「この場はこの時間だけ」と割り切る:集まりの場の時間は有限。「終わったら自分のご褒美を用意する」という小さな約束を自分にしておく。
- その日の「逃げ場」を用意する:トイレ・外での電話など、場を離れる口実を一つ持っておく。
集まりの後のセルフケア
質問された日の夜は、心が傷ついているかもしれません。その日の感情をそのまま受け止め、セルフケアの時間を作ることが大切です。
- 好きな食べ物や飲み物で自分を労う
- パートナーや信頼できる友人に「今日こんなこと言われた」と話す
- 今感じていることを紙に書き出して気持ちを整理する
- 「私は何も悪くない」という事実を静かに確認する
よくある質問
親戚に毎回聞かれて、もう集まりに行きたくありません。
集まりへの参加を減らしたり、断ったりすることも正当な選択肢です。「体調が優れない」「仕事が入っている」など、詳細な説明なしに参加を断ってよい権利があります。自分の心の健康を守ることは、治療を続けるうえでも重要です。
義母から毎回プレッシャーをかけられます。夫に対処してほしいのですが。
義実家からの圧力は、夫婦間の問題になりやすい場面です。「私が直接言うのは難しいので、あなたから伝えてほしい」という形でパートナーに協力を求めることは、自然なリクエストです。具体的に「こう言ってほしい」とセリフも渡すと伝わりやすくなります。
善意からの発言と分かっていても傷ついてしまいます。感情的になってしまう自分がおかしいですか?
おかしくありません。意図が良くても傷つくことはあります。それはあなたが治療にどれだけ真剣に向き合っているかの証でもあります。「傷ついた」という感情に正直でいてください。
治療していることを話したら、「じゃあ孫が生まれるのを楽しみにしてる」と言われました。
治療の結果が「子どもが必ず生まれる」という前提で捉えられることはよくあります。「そうですね、私たちも頑張ります」と流すか、「ただ、うまくいくかどうかは分からないので、あまりプレッシャーをかけないでもらえると助かります」と伝えるかは、状況次第で判断してください。
話したくないけれど、嘘をつくのも嫌です。
正直に話す必要はありませんが、嘘も言いたくない場合は「今はちょっと触れないでほしい話題で」「いつか話せる日が来たら話します」という言い方が、正直さと自己防衛の両立になります。
まとめ
「子どもは?」という質問への対処は、「その場をうまく切り抜けること」と「自分の心を守ること」の両立です。完璧な返し方はありませんが、事前に準備することで当日の消耗を大きく減らせます。
- 場面と相手に応じた3段階の返し方を事前に準備しておく
- 「伝える・伝えない」の判断は義務でも義理でもなく、自分の領域を守る権利に基づく
- 集まりの後は必ず自分を労う時間を作る
次のステップとして、次回の集まりの前にパートナーと「今回は何と言うか」を一度話し合ってみてください。二人で同じ答えを用意できると、当日の孤独感が薄れます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスを代替するものではありません。症状や状況に応じて、必ず医師・専門家にご相談ください。
この記事を書いた人
EggLink編集部
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