不妊治療中、結果を待つ時間や通院、仕事・費用、周囲との関係が負担になることがあります。つらさは人それぞれで、治療を受けた人が必ず同じ不調になるわけではありません。気持ちを整えてからでないと治療や相談ができない、というものでもありません。今の生活と安全を守るために支援を受けられます。
つらさと生活への影響から、相談先を選びます
| 今の状態 | 相談・行動 |
|---|---|
| 検査や判定が不安、通院・仕事の調整がつらい | 受診先へ、説明してほしいことと負担を伝える。看護師や相談担当にも話せる |
| 眠れない、食べられない、日常生活に支障がある | 2週間たつまで待たず、医療機関へ相談。心療内科・精神科などとの連携も検討する |
| 薬の開始・変更後から気分の変化がある | 薬名、開始日、症状を処方医へ伝える。自己判断で量を変えたり中止したりしない |
| 自分を傷つけそう、安全を保てない | 直ちに救急の支援を求める。可能なら身近な人に知らせ、一人で抱えない |
「みんなこうなる」と決めず、本人の状態を確認します
不安、落ち込み、いら立ち、何もする気が起きない、喜びと心配が混ざるなど、感じ方は異なります。診断を受ける前と後、採卵、移植、判定、治療後で変わることもありますが、決まった感情の順序はありません。
女性の40〜50%、男性の20〜30%など、対象や診断・質問票の基準が分からない割合を、すべての不妊治療者の発症率として示すことはできません。つらさを当然の副作用として我慢したり、平均と比べて相談を控えたりする必要はありません。
不安や落ち込みを、薬だけのせいと決めません
治療や待ち時間、痛み、費用、人間関係など複数の負担が関わる場合があります。薬によっては気分の変化に注意が必要ですが、不妊治療薬なら必ずうつを起こす、長期化すれば必ずうつの前段階になる、と断定はできません。
NIMHは、うつに似た症状が薬や身体の病気によっても現れる場合があるため、診療で確認することを説明しています。いつ始まったか、睡眠・食事、生活への影響、使用薬や持病を伝えると評価に役立ちます。NIMH:うつの症状と評価
診断の「2週間」は、相談を待つ期限ではありません
うつ病の診断では、症状が続く期間などを確認します。ただし、眠れない、食べられない、仕事や家事が保てないなどの苦痛があれば、2週間続くまで待たず相談してください。症状が少なくても支援が役立つ場合があります。
死にたい・消えたい気持ち、自分を傷つける考えがあるときも、早く医療機関へ伝えてください。今すぐ実行しそう、安全を保てない、意識や行動の状態が大きく変わっている場合は、直ちに救急の支援を求めます。
不妊治療の診療と、心の支援を並行して受けられます
ESHREの2015年指針は、不妊治療の前・中・後で本人の心理社会的なニーズを確認し、強い問題がある・その危険がある場合は、不妊カウンセリングや心理療法など専門的支援につなぐよう勧めています。妊娠判定が陽性でも、心配があれば相談の対象です。ESHRE:不妊治療における心理社会的ケア
治療は症状や希望に応じ、心理療法、薬、生活への支援などから検討します。すべての人に同じ心理療法が必要、心のケアを受ければ妊娠する、という保証ではありません。ケアの目的は、まず本人の心身と生活を支えることです。
薬は、妊娠希望と治療予定を伝えて相談します
抗うつ薬などを使っている場合は、精神科などの担当医と不妊治療の担当医の両方へ、妊娠の希望や採卵・移植の予定を伝えてください。薬を使わない場合の症状の悪化も含めて、本人に合う方法を検討します。特定の薬を全員に安全・禁止と決めず、自己判断で中止しないことが大切です。
妊娠中・妊娠の可能性がある薬の相談には、国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターの案内もあります。受診や相談の方法は公式で確認してください。国立成育医療研究センター:妊娠中のお薬Q&A
自分でできることは、できる範囲で選びます
情報を調べる時間を区切る、つらくなるSNSを休む、話せる相手を選ぶ、通院や家事を分担するなど、負担を減らす方法があります。気持ちを書き出すことが合う人もいれば、今は書きたくない人もいます。すべてを実行する課題にしないでください。
パートナーがいる場合も、同じ感情や同じ受診の仕方になるとは限りません。「説明を一緒に聞いてほしい」「今日は提案せず聞いてほしい」など、望む支援を具体的に伝えられます。本人とは別にパートナーが相談しても構いません。
続ける・休む・終えることも相談できます
心のケアは、治療を続けるためだけに受けるものではありません。休止や終了を考える場合も、医学的な見通し、残っている卵子・胚や保管条件、費用、本人の希望を整理できます。大きな決断を急がず、相談の場を持って構いません。
受診先、自治体の相談窓口、心理職、当事者支援などで、相談対象、方法、費用、匿名での利用可否が異なります。全国すべてが無料・匿名と一括せず、利用先の現行案内を確認してください。
出典と確認日
2026年10月26日にESHREの心理社会的ケア指針の採用箇所、NIMH、国立成育医療研究センターの説明を確認しました。相談の目安と診断基準、心の支援と妊娠の結果を分けています。医師による本記事の個別監修はありません。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。