
不妊治療中のメンタルヘルスを専門にサポートする公認心理師・臨床心理士への相談は、まだ多くの方にとって身近ではないかもしれません。しかし、専門的な心理的サポートが治療継続の支えになることが研究でも示されています。
この記事のポイント
- 公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングが不妊治療中に有効な理由と研究エビデンス
- カウンセリングの実際の流れ・費用相場・保険適用の有無
- 自分に合う心理士の探し方と、初回相談前に準備すること
不妊治療中の心理的サポートのエビデンス
不妊治療中の心理的介入の効果については、複数のメタ分析で以下のことが示されています。
- 心理的介入を受けたグループは、受けないグループと比較して不安・抑うつスコアが有意に低下する(Cochrane Review, 2015)
- 一部の研究では、心理的サポートを受けたグループで妊娠率が改善したことが示されているが、この関係については継続的な研究が必要
- 治療継続意向(ドロップアウト率の低下)に心理的サポートが貢献することが示されている
カウンセリングの実際の流れ
初めてカウンセリングを受ける方に向けて、一般的な流れを説明します。
- 初回面接(インテーク):現在の状況・悩み・求めていることを整理する。45〜60分。心理士との相性を確認する機会でもある
- 目標設定:何を改善したいか、どういう状態になりたいかを共に整理する
- 継続セッション:週1回・50分程度が標準。CBT・ACT・マインドフルネスなどの技法を状況に合わせて使用
- 振り返りと終了:目標が達成されたと感じた時、または本人が望む時点で終了。終了後の再相談も可能
費用・保険適用について
カウンセリングの費用は、提供形態によって大きく異なります。
- 保険診療(精神科・心療内科内):医師が行う場合に保険適用。心理士の単独カウンセリングには現在保険適用なし(2026年時点)
- 自費カウンセリング(個人開業心理士):1回5,000〜15,000円程度が相場。週1回の場合は月2〜6万円
- クリニック付属のカウンセリング:不妊専門クリニックが独自料金で提供。1回5,000〜1万円程度のケースが多い
- 公的機関のカウンセリング:保健センター・男女共同参画センターの無料・低価格相談
不妊治療に使われる主な心理技法
- 認知行動療法(CBT):ネガティブな思考パターンを認識し変容させる。「次も失敗する」という自動思考への介入
- ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー):コントロールできないことを受け入れながら価値観に沿って行動する
- マインドフルネス認知療法(MBCT):今この瞬間に意識を向け、反芻思考を遮断する。8週間プログラムが標準
- グリーフカウンセリング:流産・陰性判定など喪失体験の処理に特化
自分に合う心理士の探し方
- 不妊専門クリニックの紹介:通院中のクリニックが不妊カウンセラー・心理士を紹介してくれることがある
- 日本公認心理師協会・日本臨床心理士会のHP:都道府県別・専門領域別の検索機能あり
- NPO法人Fineの相談窓口:不妊治療経験者のカウンセラーへのアクセスがある
- オンラインカウンセリングサービス:通院スケジュールに合わせて受けやすい(cotree・unmed等)
よくある質問
Q:カウンセリングを受けることを夫に言いたくありません。
カウンセリングを受けることを誰かに知らせる義務はありません。「自分のためのサポートを受ける」という選択として、パートナーへの開示は必要に応じて判断してください。
Q:初回で相性が合わなかった場合はどうすればいいですか?
初回の印象で合わないと感じた場合は、継続しなくて構いません。カウンセラーとの相性は重要な要素で、複数の心理士に相談して自分に合う人を見つけることが普通です。
まとめ
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングは、不妊治療中の不安・抑うつ・喪失感への専門的なアプローチです。費用は自費中心ですが、クリニック付属・公的機関の低価格サービスも活用できます。「まず1回相談してみる」という気軽な入口から始め、自分に合う心理士を見つけることが第一歩です。
【免責事項】本記事は一般的な情報の提供を目的としており、医療・心理治療の代替となるものではありません。精神症状については専門医にご相談ください。
E
この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
産婦人科・婦人科に関する正確で信頼性の高い情報をお届けします。医療監修のもと、女性の健康に役立つコンテンツを制作しています。
公開:2026/4/19更新:2026/5/2
Next Action

