子どものいない夫婦の暮らしに、決まった幸せの形や立ち直る期限はありません。今の気持ち、二人の過ごし方、将来の備えを分けて、できることから話してみましょう。治療を終えた方と、子どもを持たない選択をした方の気持ちを、同じものと考える必要もありません。
これからの暮らしを考える、最初の3つの問い
- 今、何が負担?治療の疲れ、周囲の言葉、お金の不安など、まず軽くしたいものを選ぶ。
- 何を大切にしたい?休息、仕事、趣味、人とのつながりなど、自分と相手それぞれの希望を聞く。
- 一つだけ試すなら?一緒に食事をする、家計を確認する、相談先を探すなど、小さな行動を決める。
新しい目標をすぐにつくれなくても構いません。「子どもがいない分、仕事や社会活動で成果を出さなければ」と、別の課題を背負う必要はありません。
納得の度合いが違うときは、結論より気持ちを聞く
悲しさ、安堵、迷いの表れ方は人によって違います。性別や反応の静かさだけで、相手が無関心だと決めつけないでください。「私はこう感じている」と伝え、相手の気持ちは尋ねて確認する方法があります。
- 「今日は答えを決めずに、今の気持ちを聞いてほしい」。
- 「今は話すのがつらい。落ち着いてから、また時間を相談したい」。
- 「二人では同じ話を繰り返してしまうので、相談担当者と話すことも考えたい」。
治療の継続・休止・終了を検討中なら、医学的な見通しは担当医へ確認します。どちらかを説得するために、幸福度の比較や治療回数を持ち出す必要はありません。
二人だけで抱え込まなくてよいこと
つらさや関係の悩みは、通院先の相談窓口、公認心理師・臨床心理士などへ相談できます。治療を終えた後も、相談できるかを問い合わせて構いません。NPO法人Fineなどの当事者団体では、現在の活動内容・参加条件を確認しましょう。
眠れない、食べられない、生活に支障があるときは、決まった期間が過ぎるまで待たずに相談を。「死にたい」「消えたい」と感じるときは、電話・SNSの相談先も利用できます。安全を保てない切迫した状況では119番へ助けを求めてください。
二人のライフプランを、具体的な日常から考える
落ち着いて考えられるときに、次の順で整理する方法があります。時間や項目数は決めず、一度で終えようとしなくて構いません。
- それぞれ希望を書く。大切にしたいこと、続けたいこと、減らしたい負担を挙げる。
- 日常を思い描く。将来どこで、どんな働き方をし、誰と関わっていたいか話す。
- 優先したいことを選ぶ。二人で取り組むことと、一人で楽しむことを分ける。
- 次の一歩を決める。調べる、体験する、相談するなど、無理のない行動から試す。
関係を育てる、日常の工夫
- 短い共有:今日あったことや助かったことを、話せるときに伝える。
- 二人の楽しみ:食事、散歩、映画など、予算や体調に合うものを選ぶ。
- 一人の時間:同じ趣味や過ごし方を求めず、それぞれの休み方も尊重する。
- 暮らしの見直し:仕事・家事・健康・お金の負担が変わったら、分担を相談し直す。
ハグや性生活に、必須の秒数・頻度はありません。触れ合いは双方の意思を大切にし、痛みや負担があれば無理をしないでください。性について話しにくい、困りごとが続く場合も、医療機関や相談担当者へ相談できます。
友人や周囲との、無理のないつながり方
同じ経験の人、共通の趣味の人、地域や仕事で知り合う人など、関係の入口は一つではありません。交流会は話す以外に、見学や読むだけで参加できるかを確認する方法もあります。参加が負担なら休んで構いません。
- 子どもの話題がつらい:「今はその話を長く聞くのが難しいので、別の話でもいい?」。
- 事情を聞かれた:「プライベートなことなので、詳しくは話さないことにしています」。
- 会う余裕がない:「今は休む時間がほしい。また会えそうなときに連絡するね」。
関係を続けるために、無理に集まりへ出たり、事情をすべて説明したりする必要はありません。自分たちの情報だけでなく、相手の治療歴などの共有にも同意を確かめましょう。
将来のお金や支援は、家計の現在地から
子どもがいないことだけで、経済的に余裕があるとは限りません。共働きかどうか、治療費、住まい、健康などで必要な備えは異なります。年齢別の一律額や投資の満額利用より、先に次を確認します。
| 確認すること | 書き出す例 |
|---|---|
| 現在の家計 | 収入、毎月の支出、預貯金、借入れ。 |
| 使う時期 | 近く必要な生活費・医療費と、将来の住居・退職後の費用。 |
| 暮らしの支援 | 介護や入院で困ったときの連絡先、使える地域の支援。 |
| 個別の相談 | 年金・保険・資産形成、相続や遺言について確認したいこと。 |
金融庁も、必要な時期・金額と生活設計に合う資産形成を案内しています。投資には元本割れの可能性があります。金融商品や制度は条件・費用・使う時期を確認し、個別の計画は専門家へ相談してください。相続や遺言の扱いも、家族構成や事情を確認して判断する必要があります。
よくある迷いに、どう向き合う?
幸せかどうかを、周りと比べてしまう
子どもの有無で、個人の幸せを一律に決めることはできません。「子どもがいない方が幸せ」と証明しようとせず、今どんな助けがほしいか、自分たちが大切にしたいことは何かを考えるところからでも構いません。
いつまでに、普通の生活へ戻るべき?
共通の回復期限や、必ず順番どおりに進む悲嘆の段階はありません。気持ちが揺れることと、支援が不要であることは別です。生活への影響やつらさがあれば、早い時期から相談してください。
参考にした資料
- HFEA「Coping if treatment doesn't work」:治療後の感情、治療を続けるか迷うときの相談。
- NHS「Maintaining healthy relationships and mental wellbeing」:対話、境界線、自分の時間。
- 金融庁「資産形成の基本」:家計管理・生活設計と投資のリスク。
- NPO法人Fine、厚生労働省「まもろうよ こころ」。
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この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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