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細菌性膣症の症状・原因・治療|おりものの臭い・再発予防を解説

2026/4/14

細菌性膣症の症状・原因・治療|おりものの臭い・再発予防を解説

この記事のポイント

  • 細菌性膣症は膣内フローラの乱れ(ラクトバチルス減少)によって起こり、性感染症ではない
  • 魚臭様の灰白色おりものが特徴で、カンジダ膣炎とは症状・治療が異なる
  • 妊娠中は早産リスクが上昇するため、早期治療が重要

最終更新日:2026年4月15日

「おりものの臭いが気になる」「灰色っぽいおりものが増えた」——こうした症状は細菌性膣症(BV:Bacterial Vaginosis)のサインかもしれません。細菌性膣症は生殖年齢の女性に非常に多い疾患で、有病率は10〜30%とされています。性感染症と混同されがちですが、膣内の常在菌バランスの乱れが原因です。

細菌性膣症とは?

健康な膣内にはラクトバチルス属(乳酸菌)が優勢に存在し、乳酸を産生することで膣内を酸性(pH 3.8〜4.5)に保っています。この酸性環境が病原菌の増殖を抑える防御機能を果たしています。

細菌性膣症では、何らかの原因でラクトバチルスが減少し、代わりにガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)やアトポビウム、プレボテラなどの嫌気性菌が異常増殖します。その結果、膣内のpHが上昇(アルカリ化)し、特有の症状が現れます。

細菌性膣症の原因とリスク因子

細菌性膣症の直接的な原因は膣内フローラの乱れですが、以下のリスク因子が関与しています。

  • 膣内洗浄(ビデの過度な使用):膣内を洗いすぎるとラクトバチルスが減少する
  • 新しい性的パートナー・複数のパートナー:膣内フローラのバランスが変化しやすい
  • 喫煙:膣内の免疫環境に影響を与えるとされる
  • 抗菌薬の使用:膣内の善玉菌も含めて細菌が減少する
  • IUD(子宮内避妊具)の装着:一部の研究でリスク上昇が報告されている

細菌性膣症は性感染症(STI)ではありませんが、性行為が膣内フローラに影響を与えることはあるため、間接的な関連はあります。

症状

症状

特徴

おりものの変化

灰白色〜やや黄色、さらさらとした水様性、量の増加

臭い

魚臭様の不快な臭い(特に性交後や月経時に強くなる)

かゆみ

軽度または無症状のことが多い(カンジダほど強い痒みは少ない)

その他

排尿時の軽い不快感を伴うことがある

約50%の方が無症状であり、婦人科検診で偶然発見されることもあります。おりものの色や臭いの異常が気になる場合は、自己判断せず婦人科を受診しましょう。

カンジダ膣炎との鑑別

おりものの異常で受診した際、カンジダ膣炎との鑑別が重要です。両者は治療法がまったく異なります。

項目

細菌性膣症

カンジダ膣炎

おりもの

灰白色、さらさら、均一

白色、カッテージチーズ状、粒状

臭い

魚臭様(アミン臭)

臭いは少ない

かゆみ

軽度〜なし

強いかゆみ

膣内pH

4.5以上(アルカリ側)

4.5未満(酸性に近い)

原因

嫌気性菌の増殖

カンジダ属(真菌)の増殖

治療薬

メトロニダゾール、クリンダマイシン

抗真菌薬(クロトリマゾールなど)

妊娠中のカンジダ膣炎については「妊娠中のカンジダ膣炎」をご参照ください。また、似た症状を呈するトリコモナス膣炎との鑑別も重要です。

診断方法

Amsel基準

臨床の場で広く用いられている診断基準です。以下4項目のうち3項目以上を満たす場合、細菌性膣症と診断されます。

  1. 均一で薄い灰白色のおりもの
  2. 膣分泌物のpHが4.5以上
  3. Whiff test(ウィフテスト)陽性:おりものに10% KOH(水酸化カリウム)を加えると魚臭が発生する
  4. Clue cell(クルーセル)の存在:膣上皮細胞に細菌が付着した状態が顕微鏡で確認できる

Nugentスコア

膣分泌物のグラム染色標本を顕微鏡で観察し、ラクトバチルス・ガードネレラ様菌・バクテロイデス様菌の量を0〜10点でスコア化します。7点以上で細菌性膣症と診断されます。研究でのゴールドスタンダードとされる方法です。

治療

第一選択薬

薬剤

用法

備考

メトロニダゾール内服

500mgを1日2回、7日間

もっとも一般的な治療法。服用中および服用後24時間は飲酒を避ける

メトロニダゾール膣錠

1日1回、5日間(膣内に挿入)

全身性の副作用が少ない

クリンダマイシン膣クリーム

2%クリームを1日1回、7日間

メトロニダゾールが使えない場合の代替

治療効果は高く、初回治療での治癒率は約80〜90%です。ただし、パートナーの同時治療は原則不要(性感染症ではないため)ですが、症状が再発する場合は医師と相談してください。

妊娠中の細菌性膣症

妊娠中の細菌性膣症は早産・前期破水・低出生体重児のリスク因子として報告されています。妊婦の約10〜30%が罹患するとされ、特に早産の既往がある方では積極的なスクリーニングと治療が推奨されます。

妊娠中の治療にはメトロニダゾール内服(妊娠中でも安全性が確認されている)またはクリンダマイシン内服が使用されます。膣錠・膣クリームも使用可能ですが、産科主治医の指示に従ってください。

再発予防

細菌性膣症の再発率は治療後6か月以内に約50%と高く、再発予防が重要です。

  • 膣内洗浄を避ける:膣内をビデや石鹸で洗うことはフローラの乱れを招く。外陰部のみを清潔に保つ
  • 通気性のよい下着を選ぶ:綿素材の下着が望ましい。蒸れを防ぐ
  • 抗菌薬の不要な使用を避ける:風邪などで安易に抗菌薬を使用しない
  • 禁煙:喫煙は膣内免疫環境に悪影響を及ぼす
  • プロバイオティクスの検討:ラクトバチルス含有サプリメントの膣内使用が再発予防に有効とする研究報告がある(ただしエビデンスはまだ限定的)

再発を繰り返す場合は、メトロニダゾール膣ジェルの長期間欠投与(週2回、4〜6か月)が検討されることがあります。

他の膣炎との違い

おりものの異常を引き起こす膣炎には、細菌性膣症のほかにも複数の種類があります。

  • カンジダ膣炎:真菌感染。白いカッテージチーズ状のおりものと強いかゆみが特徴
  • トリコモナス膣炎:原虫感染。黄緑色の泡立つおりものと強い臭い。性感染症に分類
  • クラミジア感染症:細菌感染。おりものの増加は軽度だが、放置すると骨盤内炎症性疾患や不妊の原因に

自己判断で市販薬を使用すると、正しい診断が遅れる可能性があります。おりものの異常を感じたら、まず婦人科を受診して正確な診断を受けましょう。

まとめ

細菌性膣症は膣内フローラの乱れによって起こる一般的な疾患で、適切な治療で改善します。ただし再発率が高いため、膣内洗浄を避ける・通気性のよい下着を選ぶなどの日常的な予防策が大切です。妊娠中は早産リスクに関わるため、おりものの変化に気づいたら早めに受診してください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/14更新:2026/4/18