妊娠中は、おりものが普段より増えることがあります。ただし、色・におい・量だけで「正常」「感染症」「破水」を自分で確定することはできません。出血、水のような液が流れる、痛み・かゆみや普段と違うにおいなどがある場合は、妊婦健診の施設へ相談してください。
特に破水かもしれないときは、少量でも、お腹の張りがなくても、次の健診や翌日まで待たず連絡します。「妊娠末期の水様のおりものなら経過観察可」という判断はしないでください。
おりものは増えることがあるが、見た目だけで安全を決めない
NHSの案内では、妊娠中に分泌物が増えることがあり、一般的なおりものは薄く、透明〜乳白色で、不快なにおいがないと説明しています。これは、同じ見た目ならすべて病気がないという診断基準ではありません。
量が妊娠前の何倍なら正常、白くて痛みがなければ受診不要、といった共通の境界は作れません。自分の普段の状態との違い、症状が続くか・悪化するかも伝えましょう。
施設へ連絡したい変化
| 変化 | 相談時に気を付けること |
|---|---|
| 血が混じる・茶色やピンクの分泌物 | 少量や痛みなしでも相談する。色や日数だけで着床出血・古い血だから安全と判断しない。 |
| 水のような液が出る・下着が濡れ続ける | 破水か分からない場合も、速やかに産科へ連絡する。大量・特定のにおい等がそろうまで待たない。 |
| いつもと違うにおい・黄緑等の変化 | かゆみ、痛み、排尿時の症状なども合わせて伝える。自分で病名を決めない。 |
| 白い塊とかゆみ・刺激感 | 感染症などの評価を相談する。以前の薬や市販薬を自己判断で使い始めない。 |
| 腹痛・発熱・体調不良を伴う | おりものの色にかかわらず連絡する。強い痛み・大量出血・失神等では緊急の診察を求める。 |
変化が二つ以上ある、1週間続く、熱が決まった体温を超える、といった条件がそろうまで待つ必要はありません。連絡時に、施設から診察の時期や来院方法の指示を受けてください。
破水と尿漏れ・おりものは、自宅で確実に区別できない
破水では、急に液が流れ出る場合だけでなく、少しずつ漏れるように感じることもあります。尿との区別が難しいこともあり、「止められない・甘いにおい・透明」の三条件がそろったときだけ連絡する、という方法は適切ではありません。
破水が疑われる場合は産科へ速やかに連絡し、妊娠週数、始まった時刻、量・色・におい、出血や痛みの有無を伝えます。ナプキンを使って状態を確認し、タンポンを入れたり、自分で腟の中を調べたりせず、受診方法を確認してください。
出血、強い痛み、発熱や体調不良、普段と比べた胎動の減少がある場合も伝えます。妊娠週数にかかわらず、次の予約や症状が増えるのを待たないことが大切です。
感染症は、診察や検査で確認する
おりものやかゆみの変化には、カンジダ、細菌性腟炎、性感染症などが関わる場合があります。ただし、白い塊なら必ずカンジダ、魚のようなにおいなら必ず細菌性腟炎、と見た目・においだけで確定はできません。
必要な検査、治療薬や投与方法は、診断・症状と妊娠の経過に応じて決まります。すべての人が同じ抗菌薬を使う、パートナーも必ず同じ治療を受けるという説明にはなりません。パートナーの検査・治療や性交への注意が必要かも、診断に応じて確認してください。
妊娠中には使わない方がよい市販薬もあるため、以前処方された薬を残していた場合も、自己判断で再使用しないでください。腟洗浄や消臭剤、サプリでにおいを消すことを、診察や治療の代わりにしないようにします。
ゼリー状の粘液と、出産時期の予測を分ける
出産が近い時期に、子宮頸部にあった粘液が出てくる「おしるし」がみられる場合があります。ただし、自分の分泌物が何かを画像や説明だけで決めたり、出たら必ず24〜72時間以内に陣痛が来ると予測したりはできません。
予定より早い時期に陣痛のような症状がある、血が多い、水が流れるように感じるなどの場合は、粘液だから大丈夫と考えず産科へ連絡しましょう。
大量出血・強い痛み・失神などは緊急対応を
大量出血、強い腹痛、めまい・失神、息苦しさなどがある場合は緊急の診察を求めてください。動けない、意識や呼吸の異常がある場合は119へ連絡します。いつもの施設に連絡できないまま、重い症状を待ち続けないでください。
診察では、週数と妊娠経過、症状の始まった時期・変化、使用した薬や製品を伝えます。「大げさかもしれない」と一人で判断を抱えず、変化が気になる段階で相談してかまいません。
確認した資料
2026年10月24日に確認。

この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
公的機関や医学会などの情報をもとに、女性の健康と医療の選択に役立つ情報を整理しています。