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妊娠中のおりものの変化|色・量・においで見る正常と異常

2026/4/19

妊娠中のおりものの変化|色・量・においで見る正常と異常

妊娠中、「おりものが増えた気がする」「色がいつもと違う」と不安になる方は少なくありません。妊娠中のおりものはホルモン変化によって量・色・においが変わるのが通常ですが、なかには感染症や切迫流産のサインが隠れている場合もあります。この記事では、「様子を見ていいボーダーライン」と「今すぐ受診すべきレッドフラッグ」を具体的な基準で解説します。

この記事でわかること

  • 妊娠中に「正常」なおりものの特徴(色・量・においの目安)
  • カンジダ・細菌性膣炎・早産兆候など「異常」を見分けるセルフチェック
  • 即日受診が必要なレッドフラッグ5つ
  • 受診先と診察で伝えるポイント

妊娠中のおりものが増えるのはなぜ?正常の範囲はどこまで?

妊娠中はエストロゲン(卵胞ホルモン)の急激な増加により膣分泌物が増え、おりもの量は妊娠前の2〜5倍になることがあります。同時に、子宮頸管粘液がゼリー状に増加し、雑菌が子宮内へ侵入するのを防ぐバリア(卵膜栓)が形成されます。このため、下着がほぼ毎日湿る程度の量は多くの場合、生理的な変化です。

正常なおりものの3つの特徴

項目

正常の目安

注意が必要な変化

透明〜白濁・乳白色

黄緑・灰色・茶色・鮮血・ピンク

においの強さ

ほぼ無臭〜わずかに酸味のある臭い

魚臭・発酵臭・アンモニア臭・甘い発酵臭

質感

水様〜クリーム状・粘り気あり

カッテージチーズ状・泡立ち・血混じり

妊娠初期(〜12週)はとくに量が多く感じられ、妊娠後期(36週以降)には水様のおりものが急増することがあります。後者は卵膜栓の排出または破水の可能性があるため、妊娠週数との照合が重要です。

症状別セルフチェックリスト:あなたのおりものはどのタイプ?

以下のリストで該当するものを確認してください。赤いチェック項目が1つでもある場合は当日中の受診を推奨します。黄色の項目が2つ以上続く場合は、次の定期健診を待たず受診を検討してください。

レッドフラッグ(即日受診)

  • 🔴 鮮血または茶色いおりもの(腹痛・張りを伴う)
  • 🔴 大量の水様おりものが突然流れ出した(破水の疑い)
  • 🔴 37週未満で、粘り気のあるゼリー状のかたまりが出た(卵膜栓脱落の疑い)
  • 🔴 強い発熱(37.5℃以上)を伴う黄緑色のおりもの
  • 🔴 強い下腹部痛・腰痛とともにおりものが増えた(切迫早産の疑い)

イエローフラッグ(早めに受診)

  • 🟡 カッテージチーズ・酒粕状の白いおりもの+かゆみ(カンジダ膣炎の疑い)
  • 🟡 灰白色で魚臭いおりもの(細菌性膣炎の疑い)
  • 🟡 黄緑色で泡立ち・かゆみあり(膣トリコモナスの疑い)
  • 🟡 少量の茶色おりもの(腹痛なし、1〜2日で消失)
  • 🟡 おりものが急激に増え、においが変わった

グリーン(経過観察可)

  • 🟢 白濁・乳白色で無臭またはわずかな酸味臭
  • 🟢 量が増えているが色・においは正常範囲内
  • 🟢 妊娠末期に水様おりものが増えた(腹部の張りなし)

考えられる原因の解説:4つの疾患と正常変化の違い

妊娠中のおりもの異常は大きく「感染症」「出血由来」「早産兆候」「正常変化の延長」の4パターンに分類されます。それぞれの特徴を理解しておくと、受診時の説明がスムーズになります。

1. カンジダ膣炎(外陰膣カンジダ症)

妊娠中は免疫が低下するため、カンジダ膣炎の発症率は非妊娠時の約2倍(日本産婦人科医会データ)とされています。白色のヨーグルト状・カッテージチーズ状おりものと強いかゆみが特徴です。においはほぼなく、発熱も伴いません。胎児への直接影響は軽微ですが、産道感染のリスクがあるため妊娠中も治療対象となります。膣錠(膣坐剤)による局所治療が一般的です。

2. 細菌性膣炎(BV: Bacterial Vaginosis)

膣内の乳酸桿菌(善玉菌)が減少し、嫌気性菌が増殖した状態です。灰白色〜薄黄色のサラサラしたおりもの+魚臭(アミン臭)が典型的。かゆみは比較的軽度です。注意点は、細菌性膣炎が早産・前期破水のリスクを約2倍に高めるとする研究があること(Lancet, 2023)。妊娠中は積極的な抗菌薬治療の適応があります。

3. 膣トリコモナス症

性感染症(STI)の一種。黄緑色〜泡立ちのあるおりもの+かゆみ・灼熱感が特徴です。パートナーも同時に検査・治療が必要なため、自己判断での市販薬使用は不適切です。経口抗菌薬(メトロニダゾール)で治療しますが、妊娠初期(〜14週)の投与については担当医が適否を判断します。

4. 出血由来のおりもの(茶色・ピンク)

茶色いおりものは「古い血液が混ざったもの」であることが多く、原因は以下に分かれます:

  • 着床出血(妊娠4〜5週):少量・短期間(1〜3日)、腹痛なし → 多くは経過観察
  • 頸管ポリープ:内診や性交渉後に少量出血 → 悪性の可能性は低いが確認が必要
  • 切迫流産・切迫早産:腹部の張り・痛みを伴う → 即日受診
  • 前置胎盤・常位胎盤早期剥離:突然の大量出血・強い腹痛 → 救急受診

「水が流れる」感覚があったら破水を疑う3つの判断基準

妊娠後期に水様のおりものが急増した場合、「尿漏れ」か「破水」かを自分で区別することは困難です。ただし以下の3点が揃う場合は破水の可能性が高く、当日中に病院へ連絡してください。

  1. 自分で止められない:意識してもとめられず続く水様の液体
  2. においが薄い・無臭またはかすかに甘い:羊水は尿のようなアンモニア臭がない
  3. 色が透明〜薄黄色:緑色がかっていれば胎便混入の疑いで緊急対応が必要

「破水かどうかわからない」という場合も、迷わず分娩予定施設へ電話で相談することを推奨します。自宅での確認に時間をかけるリスクのほうが大きいです。

受診すべきタイミングと科の選び方

受診先は原則として妊婦健診を受けているかかりつけの産婦人科が最適です。緊急度に応じた行動の目安を以下に示します。

緊急度

症状例

行動目安

最緊急

大量出血・破水・強い腹痛・発熱38℃以上

119番 or 分娩施設へ今すぐ電話

当日中

少量出血・突然の大量水様おりもの・強いかゆみ+変色

かかりつけ産婦人科へ電話→当日受診

数日以内

かゆみ・においの変化(全身症状なし)

次の健診 or 1週間以内に受診

経過観察

量のみ増加・白濁・無臭

次回健診で報告。1週間以内に悪化したら前倒し受診

受診時に伝えると診断がスムーズになる4項目

  1. おりものの色(白・黄・緑・茶・赤)
  2. においの有無・種類(無臭・魚臭・甘い・アンモニア臭)
  3. 症状が始まった時期と妊娠週数
  4. 発熱・腹痛・かゆみなど随伴症状の有無

検索記事では触れない視点:膣内フローラと早産リスクの最新知見

多くのおりもの関連記事は「症状→受診」の案内にとどまりますが、近年の研究では妊娠中の膣内細菌叢(膣内フローラ)が早産リスクに直接影響することが明らかになっています。

日本産科婦人科学会(JSOG)の2022年指針によれば、妊娠中の細菌性膣炎罹患者では未治療の場合に早産リスクが最大2.0倍に上昇するとされています。一方で、Lactobacillus(乳酸桿菌)が膣内フローラの90%以上を占める女性は早産リスクが低い傾向にあることも複数の研究で報告されています(NEJM Evidence, 2023)。

これはつまり、「においが変わった」「おりものが増えた」という変化を軽視せず、早期に膣内環境を確認・改善することが、早産予防に直結する可能性があるということです。スクリーニング検査(膣分泌物培養、BVスコアリング)は多くの産科施設で妊婦健診の一環として実施可能です。気になる症状があれば、担当医に膣内環境の確認を依頼することも選択肢の一つです。

日常でできる膣環境ケア:やっていい3つ・やってはいけない3つ

おりものの悪化を防ぐためのケアには「効果が期待できるもの」と「逆効果になりかねないもの」があります。

やっていい3つのこと

  1. 通気性の良い綿素材の下着を使用する:化学繊維は蒸れやすく膣内の細菌バランスを崩しやすい
  2. 外陰部のみをぬるま湯で洗浄する:膣内の洗浄(シャワー膣洗浄)は不要。乳酸桿菌を洗い流してしまう
  3. こまめにパンティライナーを交換する:湿った状態を長時間放置しない。無香料タイプを選ぶ

やってはいけない3つのこと

  1. ビデ・膣洗浄の頻繁な使用:膣内pHを乱し、細菌性膣炎・カンジダのリスクを高める
  2. 市販のかゆみ止め・膣洗浄液の自己使用:妊娠中の成分安全性は産婦人科医に確認が必要
  3. においが気になるからといってデオドレントスプレーを使用する:刺激物が膣炎を悪化させることがある

よくある質問(FAQ)

Q1. 妊娠初期におりものが急に増えました。流産の兆候ですか?

妊娠初期はホルモン増加により量が増えるのが通常です。色が白〜透明、においが穏やか、腹痛がない場合は多くの場合で生理的変化の範囲内です。ただし茶色・ピンクのおりものが続く場合、または腹痛を伴う場合は当日中に受診してください。

Q2. 妊娠中のカンジダ膣炎は胎児に影響しますか?

妊娠中の外陰膣カンジダ症は、経腟分娩時の産道感染により新生児の「鵞口瘡(がこうそう)」を引き起こす可能性があります。分娩前に治療することで感染リスクを下げられると考えられています。膣坐剤による局所治療は妊娠中でも使用可能なものがありますが、必ず産婦人科医の指示のもとで使用してください。

Q3. 妊娠後期に水のようなおりものが出ました。破水との見分け方は?

自分での完全な判別は難しいですが、「自分では止められない」「無臭または甘い臭い」「突然大量に出た」の3つが重なる場合は破水の可能性が高まります。迷ったら分娩施設に電話し、指示を仰ぐのが最も安全です。「念のため確認」での受診を施設は歓迎しています。

Q4. 妊娠中に市販の膣洗浄液やデリケートゾーン洗浄剤を使っても大丈夫ですか?

膣内洗浄は妊娠中に推奨されません。膣内を洗うことで乳酸桿菌が減少し、細菌性膣炎やカンジダ膣炎のリスクが上がるためです。外陰部(外側)をぬるま湯で優しく洗うだけで十分です。製品の安全性が不明な場合は、使用前に産婦人科医に相談してください。

Q5. 性感染症が妊娠中に発覚した場合、赤ちゃんへの影響は?

トリコモナス症・クラミジアなどの性感染症は、妊娠中に治療すれば多くの場合で胎児への影響を最小化できます。未治療のまま放置すると早産・低出生体重・新生児感染のリスクがあります。パートナーも含めた同時治療が原則です。診断された場合は担当医の指示に従い治療を完遂してください。

Q6. おりものの色が少し黄色いのですが、感染症の可能性はありますか?

ごく薄い黄色(クリーム色)のおりものはホルモン変化による場合があります。一方で濃い黄色・黄緑色、においが強い、かゆみや灼熱感がある場合は感染症(トリコモナス・クラミジア・淋菌など)の可能性があります。「薄黄色で他に症状なし」であれば次回健診で相談、「濃い黄色+においまたはかゆみ」であれば1週間以内に受診が目安です。

Q7. 臨月に近づいたらゼリー状のかたまりが出ました。これは何ですか?

妊娠37週以降にゼリー状〜粘液状のかたまりが出た場合、卵膜栓(おらんまくせん)の可能性が高いです。子宮頸管に詰まっていたゼリー状の粘液が排出されるもので、お産が近いサインとして知られています。血が混じる(ピンク・茶色)場合は「おしるし」とも呼ばれ、多くの場合24〜72時間以内に陣痛が始まることがあります。ただし37週未満での排出は切迫早産の可能性があるため即日受診が必要です。

Q8. 細菌性膣炎は自然に治りますか?妊娠中も放置していいですか?

非妊娠時の細菌性膣炎は免疫が回復することで自然軽快する場合もありますが、妊娠中は早産・前期破水リスクの観点から放置は推奨されません。抗菌薬(クリンダマイシン膣錠またはメトロニダゾール)による治療が標準的です。「においが変わっただけだから」と受診を先延ばしにせず、早めに相談することが胎児の安全につながります。

まとめ:おりものの変化で行動すべき判断基準

妊娠中のおりもの変化を判断するための基準を整理すると、次のようになります。

  • 白濁・透明・無臭・量だけ増加 → ホルモン変化による生理的変化。次回健診で報告
  • カッテージチーズ状+かゆみ → カンジダ膣炎の可能性。1週間以内に受診
  • 灰白色+魚臭 → 細菌性膣炎の可能性。早産リスクがあるため早めに受診
  • 黄緑色+泡立ち+かゆみ → トリコモナス症の可能性。パートナーも含めて受診
  • 出血・鮮血・茶色+腹痛 → 切迫流産・早産の可能性。当日受診
  • 水様で止められない → 破水の可能性。分娩施設へ今すぐ電話

自己判断に迷った場合は、「1週間以上続く変化」「においがある」「かゆみや出血がある」のいずれかが当てはまれば受診するというルールを持っておくと判断がしやすくなります。

お近くの産婦人科に相談する

おりものの変化が気になったとき、「大げさかな」と思って受診をためらう必要はありません。産婦人科は妊娠中のちょっとした不安も相談できる場所です。症状が軽くても、担当医に「こういう変化がありました」と伝えることで、早期に対処できることがあります。

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免責事項

本記事は医療情報の提供を目的とした一般的な情報であり、個別の医療診断・治療の代替となるものではありません。症状や状態は個人によって異なり、本記事の情報が必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。体調の変化や気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの産婦人科医または医療機関にご相談ください。

参考文献・情報源

  • 日本産科婦人科学会(JSOG)「産婦人科診療ガイドライン 産科編 2023」
  • 日本産婦人科医会「性感染症に関する患者向け情報」
  • Lancet. (2023). "Bacterial vaginosis and preterm birth: a systematic review." Lancet Infect Dis.
  • NEJM Evidence. (2023). "Vaginal microbiome and pregnancy outcomes."
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン 2020」

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/4/28