会陰裂傷や会陰切開のあとは、座る・歩く・排尿するときなどに痛みを感じることがあります。皮膚の傷は数週間で治っていくことが多いものの、深さや縫合、感染の有無で経過は異なり、「産後1か月なら全員回復」「2か月までは痛くても待てる」とは言えません。
痛みが強くなる、悪臭のある分泌物や膿、発熱、傷が開いた感じがある場合は、産後健診を待たず出産した施設へ連絡してください。便やガスを我慢できない、排尿が難しいといった症状も相談する理由になります。
傷の深さと回復の速さは、別に確認する
会陰は、腟の入口と肛門の間の部分です。裂傷は皮膚だけのものから、会陰の筋肉、肛門を締める筋肉へ及ぶものまであります。出産時に説明された傷の程度と、今後の診察・薬・活動の指示を確認しましょう。
| 説明される傷 | 確認する点 |
|---|---|
| 1度 | 皮膚の小さな傷。縫合を必要としないこともあるが、痛みが強い場合もある。 |
| 2度 | 皮膚と会陰の筋肉に及ぶ傷。通常は縫合が必要になる。 |
| 3度・4度 | 肛門括約筋などに及ぶ深い傷。修復後の排便や活動、経過の確認が特に大切。自分で度数を判断しない。 |
| 会陰切開 | 出産を助けるための切開。裂傷と同じ回復期間・結果になるとは限らず、切開範囲や経過で確認する。 |
会陰切開は、赤ちゃんを早く娩出する必要がある場合や吸引・鉗子分娩などで検討されます。「切れば必ず重い裂傷を防げる」「直線の傷ならきれいに早く治る」という保証ではありません。次の出産への不安も、今回の傷と経過を伝えて相談できます。
日数の表より、痛みの変化と生活への影響を伝える
RCOGの患者向け案内は、傷の皮膚部分が数週間で治っていくこと、糸が治る過程で刺激になる場合があることを説明しています。一方、痛みが続く・増す場合や傷が治らない場合は相談を勧めています。症状を「決まった回復日程に合うか」だけで判断しないでください。
痛みの場所、前日より強いか、座る・歩く・排尿や排便への影響、出血・分泌物、使った薬と効き方を短くメモすると伝えやすくなります。薬を使ってもつらい、眠れない、育児や移動が難しい場合も、我慢せず出産した施設へ連絡しましょう。
吸収される糸も、全員が同じ日数でなくなるわけではありません。自分で引っ張ったり切ったりせず、引きつれ・痛みや糸の状態が気になる場合は診てもらってください。
清潔と痛みへの対応は、退院時の指示に合わせる
- 手洗いをし、水でやさしく清潔にする。ナプキンをこまめに替え、傷を強くこすらない。
- 傷に自己判断で消毒液、クリーム、オイル等を塗らない。処方されたものがある場合は指示に従う。
- 痛みには、施設から説明された鎮痛薬を用量・間隔どおり使う。授乳、持病、ほかの薬を伝え、市販薬の追加は医師・薬剤師へ確認する。
- 冷やすよう案内された場合は、氷や保冷剤をタオル等で包み、直接皮膚に当てない。つらい場合はやめて相談する。
座る姿勢を変える、横になって休むなど、傷への圧迫が少なく楽な姿勢を探せます。円座クッションを全員が使う必要はなく、痛みが増すものを使い続けないでください。シャワー・湯船への入浴は、傷や出血の状態と退院時の説明で確認します。
排便・排尿の困りごとも、早めに相談してよい
水分や食事を体調に合わせて取り、便が硬くて強くいきむ状態を避けることが大切です。水分制限などの指示がある場合はそれに従ってください。便秘や排便痛がある、処方された便をやわらかくする薬で下痢になるなどの場合は、自己調整だけで続けず相談します。
便・ガスが漏れる、急に便意が来て我慢できない、腟から便が出る、尿が出にくいなどの症状は、恥ずかしさで抱え込まず伝えてください。「軽い裂傷と説明されたから大丈夫」と決める必要はありません。必要な診察やリハビリ等を相談できます。
活動や性生活は、傷・体調・本人の希望で考える
家事や育児を一度に戻さず、家族等に手伝いを頼み、痛みや疲れに合わせて活動を調整しましょう。深い裂傷の修復後は、強い運動や重い物を持つことなどの制限を特に確認します。骨盤底筋の運動も、助産師や担当者に自分の状態に合う方法を教わってください。
性生活は、傷が治り出血が治まっているかを確認し、本人が望み、無理なく再開できると感じることが大切です。健診で許可が出た日を、必ず再開する期限にしないでください。痛みを我慢して続けず、乾燥・傷の痛みが続く場合は相談します。授乳中や月経再開前でも妊娠することがあるため、避妊についても相談してください。
こんな変化は、健診を待たず連絡する
- 痛み・赤み・腫れが強くなる、悪臭や膿がある、発熱して具合が悪い。
- 新しい出血がある、傷が開いたように見える・感じる。
- 便やガスの漏れ、腟から便が出る、排尿が難しい。
- 痛みや引きつれが続く、生活や気持ちへの負担が大きい。
38度が続く、産後2週間を過ぎるといった条件を満たすまで待たないでください。感染だけでなく、傷の下の出血や傷の開き等を診察で確認することがあります。自分で傷を触って確かめたり、残っている抗菌薬等を使ったりしないでください。
多い出血、激しい痛み、失神、息苦しさなど緊急性が高い状態は速やかに救急受診し、必要に応じて119へ連絡します。つらい出産経験が繰り返し浮かぶ、強い不安等がある場合も、出産した施設などへ相談できます。
参考にした医療情報
- RCOG:1度・2度の裂傷、清潔・痛みと相談
- RCOG:3度・4度の裂傷、排便・活動・症状と相談
- RCOG:会陰の傷が開く場合の症状とケア
- NHS:会陰切開と裂傷、痛み・感染等の相談(2023年6月レビュー)
海外の患者向け案内を参考にしています。実際の診察時期、薬・入浴・活動の範囲は、国内の出産した施設の説明に従ってください。
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この記事を書いた人
EggLink編集部
医療・婦人科専門メディア
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