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養子縁組を考える時のメンタル準備

2026/4/19

養子縁組を考える時のメンタル準備

不妊治療を続けながら、心のどこかで「養子縁組という選択肢」が頭をよぎったことはないでしょうか。その気持ちを誰かに打ち明けると「まだ諦めないで」と返ってくることが多く、ますます孤独を感じてしまう方も少なくありません。

養子縁組を考えること自体は、治療を「諦める」ことではありません。生殖医療の倫理研究では、どのような方法で親になるかを自分で決める権利を「リプロダクティブ・オートノミー(生殖の自律性)」と呼び、不妊治療の継続・中断・養子縁組への移行はすべて等価な選択肢とされています(Throsby, 2004 / ASRM Ethics Committee, 2017)。

この記事では、不妊治療から養子縁組へと心が向く過程で生じる感情の整理方法、パートナーとの合意形成の具体的なステップ、周囲への伝え方、日本の養子縁組制度の実情まで、判断に必要な情報を体系的にまとめています。

この記事でわかること

対応セクション

不妊治療から養子縁組へ移行する際の心理的段階

H2-1

生じやすい5つの感情とその整理法

H2-2

パートナーとの意思決定ステップ(5段階)

H2-3

家族・職場・友人への伝え方

H2-4

日本の養子縁組制度・期間・費用の実情

H2-5

カウンセリング・当事者団体の一覧

H2-6

不妊治療から養子縁組へ — 心の移行に必要な時間と段階

不妊治療から養子縁組への心理的移行には通常6か月〜2年かかります。この過程は4つのフェーズ(揺らぎ・グリーフ・情報収集・コミットメント)をたどり、行き来することが正常です。

不妊治療を経て養子縁組を選ぶ場合、心理的な移行には通常6か月〜2年かかるとされています。この移行は「失敗」ではなく、生物学的な親になるという一つの経路を閉じ、別の経路を開く「グリーフ(悲嘆)と再定義のプロセス」です(Daniluk & Hurtig-Mitchell, 2003)。

移行を促す3つのきっかけ

研究では以下の3つが多く報告されています。第一に「治療限界の自覚」:体外受精の累積試行回数が5〜6回を超えたあたりで、身体的・経済的・心理的疲弊が臨界点に達するケースが多数報告されています。第二に「年齢的タイムライン」:特別養子縁組の子ども側の年齢要件(原則15歳未満、実務上は乳幼児期が大半)を考えると、申し込みのタイムリミットが意識されます。第三に「価値観の再照合」:「遺伝的なつながりがなくても親子になれる」という確信が育まれたとき、移行への心理的準備が整います。

心理的移行の4フェーズ

フェーズ

内容

目安期間

この段階でできること

Phase 1: 揺らぎ

治療継続と養子縁組の間で揺れ動く。「また迷っている」と罪悪感を感じやすい

数週〜数か月

感情を記録するジャーナリング。決断を急がない

Phase 2: グリーフ

遺伝的なつながりのある子どもへの望みを手放すことへの悲しみが顕在化する

数か月〜1年

カウンセリング・当事者グループへの参加

Phase 3: 情報収集

養子縁組制度・機関・費用・期間を調べ始める。現実と期待のギャップを認識する

2〜6か月

説明会参加・文献調査・当事者との対話

Phase 4: コミットメント

申し込みを決意し、準備を開始する。パートナーとの合意が必須

機関への問い合わせ・パートナーとの最終確認

4つのフェーズは直線的に進むわけではなく、行き来することが正常です。Phase 2に戻るたびに「まだ迷っている」と自己批判する必要はありません。

養子縁組を選ぶ際に生じやすい5つの感情とその整理法

養子縁組検討時に生じる罪悪感・恐れ・安堵感・自己否定・期待の5パターンは、不妊治療経験者に共通する正常な反応です。それぞれに対応する整理法があります。

養子縁組を検討する際に生じる感情には5つの典型パターンがあります。いずれも不妊治療を経験した当事者に広く共通する反応で、感じること自体は問題ではありません。重要なのは、感情を「正しい/間違い」で評価せず、「今の自分の状態の情報」として受け取ることです。

感情パターン5分類と整理のヒント

感情パターン

よくある内語

心理学的背景

整理のヒント

罪悪感・裏切り感

「治療を諦めるなんて子どもへの裏切り」

治療への投資(時間・費用・身体)に比例してサンクコストバイアスが強まる

「過去の投資」と「これからの決断」を切り離す認知再構成(CBT)を試みる

恐れ・不安

「本当に愛せるだろうか」「拒絶されたら」

遺伝的つながりがない関係への不確実性を恐怖として処理する

実際の養親の体験談・研究(養子縁組後の愛着形成データ)に触れることで恐れを現実検証する

安堵・解放感

「治療をやめてもいいんだ」という軽さ

長期ストレスからの解放は生理的な安堵反応として現れる

安堵を感じることへの罪悪感を持たない。身体のサインに正直になる

自己否定・無力感

「産めない自分には価値がない」

文化的・社会的な「産む性」への刷り込みが自己評価に影響する

親になる手段と自己価値を切り離す思考ワーク。必要に応じてカウンセリング

期待・希望

「この子に会えるかもしれない」という気持ち

新しい経路に向けて情動システムが再起動し始めるサイン

希望と現実の両方を等価に扱う。期待が大きすぎると審査落ちや長期待機でダメージが増す

感情整理に使えるジャーナリング法

「感情を書き出す」ことは、不妊治療中のQOL向上に効果があるとされています(Pennebaker & Smyth, 2016)。以下の問いに対して、週1回・15分程度書き続けることを検討してください。

  • 今週、養子縁組についてどんな気持ちが浮かんだか
  • その気持ちはどこからきていると思うか
  • 10年後の自分が今の自分に伝えるとしたら何と言うか

パートナーとの意思決定プロセス — 合意形成までの具体ステップ

養子縁組の合意形成には平均6か月〜1年以上かかります。「急いで合意させる」のではなく、別々の気持ちの書き出し→情報共有→説明会参加の5ステップで対話を構造化することが鍵です。

養子縁組は夫婦双方の合意なしに申請できません。一方が積極的、もう一方が迷っているというケースが最も多く、意思決定には平均6か月〜1年以上かかることが多いです。「合意を急ぐ」のではなく「対話を続ける仕組みを作る」ことが重要です。

合意形成5ステップ

  1. 別々に気持ちを書き出す(2週間):先に話し合うのではなく、それぞれが「養子縁組に対する期待・不安・疑問」を箇条書きにする。先に相手の意見を聞くと、自分の本音が出にくくなる。
  2. 情報を共有する場を設ける(月1回):制度や費用の情報収集は最初から一緒に行う。「知識差」があると一方が主導・一方が受動になりやすく、後悔の原因になる。
  3. 説明会に一緒に参加する:公的機関(都道府県・児童相談所)や民間あっせん機関の説明会への参加は、「情報収集段階」に位置づけられ、申込みではない。対話の素材として活用する。
  4. 「今は決めなくていい」という期限設定:例:「今年の12月までは結論を出さずに情報収集する」と決める。決断を急がせる圧力を相互に取り除くことで対話の質が上がる。
  5. カップルカウンセリングの活用:意見が対立したまま動けない場合は、生殖心理カウンセラーや家族療法士による第三者の場が有効。「夫婦の問題」ではなく「複雑な決断を支援してもらう場」として位置づける。

温度差が生まれやすい理由

パートナー間で養子縁組への温度差が生まれる主な背景には、グリーフの進行速度の違い(身体的に治療を担う側がより早く限界を感じるケース)、遺伝的つながりに対する価値観の差、育ちや家族観の違いがあります。「なぜ温度差があるのか」を非難せずに理解することが、合意形成の最初の鍵です。

周囲への伝え方 — 家族・職場・友人別のアプローチ

養子縁組の報告義務はありません。両親・義両親には「相談」でなく「事後報告」スタイルが精神的消耗を防ぎます。職場への開示は育児休業取得が必要になった時点が目安です。

養子縁組を選んだ(または選ぼうとしている)ことを周囲に伝える義務はありません。伝えるかどうか、いつ伝えるか、どこまで伝えるかは夫婦が主体的に決めることです。ただし「いつかは知られる」局面に備え、言語化の準備をしておくことで、精神的負担を減らすことができます。

相手別の伝え方ガイド

相手

伝えるタイミングの目安

おすすめのアプローチ

避けたい対応

双方の親・義両親

申し込み前後(承認を求めず報告として)

「私たちはこの選択肢を選びました」という事後報告スタイル。相談や許可を求める形にしない

反対されることを前提に過度な説明・説得を試みる(消耗するだけで関係が悪化しやすい)

兄弟姉妹・親族

申し込み後〜縁組成立前(必要な範囲で)

「子どもを迎えることにした」という事実だけ伝え、詳細は段階的に。好奇心からの質問には「追って話します」で対応可

詮索への対応を義務化しない

職場・上司

養子縁組休業の取得が必要になった時点

育児休業法上の「養子縁組休業」の権利を活用。詳細説明は不要で「育児のための休業取得」として申請できる

縁組成立前に全体に周知する(マッチング不成立の際のリカバリーが困難になる)

親友・親しい友人

心理的準備ができた時(義務なし)

「今、養子縁組を考えている」と過程を共有できる相手を1〜2人絞り、サポーターにする

一度に多くの人に話して「進捗報告」を求められる状況を作る

よくある否定的反応への対処フレーズ

「血のつながらない子どもを育てられるの?」と言われた場合:「私たちはすでに多くの時間を使って考えてきました。今は応援してもらえると嬉しいです」。「もっと治療を続けてみれば?」と言われた場合:「治療のことは担当医と相談の上で決めています。養子縁組という選択を尊重してほしいです」。言い返すことより、自分たちの決断に根拠を持つことのほうが、長期的に精神的コストが低くなります。

養子縁組のプロセスと現実 — 期間・費用・審査の実情

特別養子縁組の申し込みからマッチングまでは1〜5年、費用は公的機関なら実費程度、民間あっせん機関では50〜100万円程度が目安です。不妊治療歴は審査で不利になりません。

日本の養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。不妊治療後に検討されるケースの大半は乳幼児との縁組を望む「特別養子縁組」ですが、審査の厳しさ・待機期間の長さ・申し込み要件を正確に理解しておくことが、精神的な準備として不可欠です。

普通養子縁組と特別養子縁組の比較

項目

普通養子縁組

特別養子縁組

年齢要件(子ども)

制限なし

原則15歳未満(審判申立時6歳未満が原則、事情により8歳未満まで)

養親の婚姻要件

単独可

婚姻した夫婦のみ(共同申請)

実親との親子関係

継続(二重親子関係)

断絶(戸籍上も実親との関係が消える)

手続きの窓口

市区町村(届出のみ)

家庭裁判所 / 都道府県・民間あっせん機関

平均待機期間

手続き後数か月〜

申し込みからマッチングまで1〜5年(機関・地域差大)

費用の目安

数万円(家庭裁判所手数料等)

公的機関(都道府県・児童相談所): 実費程度 / 民間あっせん機関: 50〜100万円程度

養育里親との違い

里親は養育を担うが親子関係は成立しない。特別養子縁組は法律上の親子関係が成立する

特別養子縁組の審査で重視されること

申請要件は機関によって異なりますが、一般的に審査では以下が確認されます。夫婦双方の年齢(多くの機関が養親の年齢を子どもとの年齢差50歳以内程度の目安とする場合がある)、婚姻期間(多くの機関が3年以上の婚姻を目安とする)、心身の健康状態、経済的安定性、住環境、そして何より「養子縁組に対する理解度と準備度」です。不妊治療歴があること自体は審査の不利にはなりません。むしろ「子どもを迎えることへの強い動機」として評価されるケースが多いです。

主な機関・相談窓口

機関の種類

特徴

連絡先の例

都道府県・政令市の相談窓口

費用が実費程度。ただし受入れ数が限られており待機が長い場合がある

各都道府県の家庭相談員・児童相談所

民間あっせん機関(許可機関)

費用は50〜100万円前後。説明会の案内が充実していることが多い

NPO法人 バファロー、NPO法人 子どもに家庭を(全国許可機関一覧: 厚生労働省サイトで確認可)

家庭裁判所

縁組成立の審判手続きを担う。あっせんは行わない

最寄りの家庭裁判所

民間あっせん機関を利用する場合は、厚生労働省の許可を受けた機関かどうかを必ず確認してください(無許可業者によるトラブルが過去に報告されています)。

メンタルサポートを受けられる場所 — カウンセリング・当事者団体

移行期には生殖心理カウンセラー(日本不妊カウンセリング学会認定)への相談が最も専門性が高く、費用は1回5,000〜15,000円程度です。当事者団体やよりそいホットライン(0120-279-338)も活用できます。

養子縁組への移行を検討する過程では、「一人(または夫婦だけ)で抱え込まない」ことが、心理的健康を保つ最も効果的な方法の一つです。専門家への相談と当事者コミュニティへの参加は、それぞれ異なる種類の支援を提供します。

専門家カウンセリング

支援の種類

内容・特徴

費用目安

探し方

生殖心理カウンセラー(日本不妊カウンセリング学会認定)

不妊治療・養子縁組の心理的側面に専門特化。治療中断の意思決定支援も可能

1回5,000〜15,000円程度

日本不妊カウンセリング学会のWebサイトで認定カウンセラー検索

公認心理師・臨床心理士

グリーフケア・不安・抑うつへの対応。生殖専門でなくても対応可

1回5,000〜10,000円(保険外)/ 精神科経由なら保険適用あり

かかりつけの産婦人科・不妊治療クリニックへの紹介依頼、または日本臨床心理士会

家族療法・カップルカウンセリング

パートナーとの意思決定過程の対話を支援。温度差の解消に有効

1回8,000〜20,000円程度

日本家族療法学会、または生殖心理カウンセラーへの相談

よりそいホットライン(24時間)

緊急的な心理的苦痛への対応。無料

無料

0120-279-338(24時間)

当事者団体・コミュニティ

  • NPO法人 フィンレージの会:不妊・不育症当事者の支援団体。養子縁組を検討している会員も多く、移行期の当事者の体験談が得られる
  • 全国里親会:里親・養親当事者のネットワーク。養子縁組後の生活についてリアルな情報が得られる
  • 養子縁組・里親制度の説明会(各民間機関主催):申し込みを前提とせず「情報収集」として参加できる場が定期的に開催されている。機関のWebサイトやSNSで告知を確認
  • オンラインコミュニティ:Facebook・Xなどで「養子縁組当事者」グループが存在する。地域を問わず参加しやすい反面、情報の質の差があるため複数ソースで確認する

専門家に相談すべきレッドフラッグ

以下の状態が2週間以上続く場合は、一般的な「迷い」の範囲を超えている可能性があり、専門家への相談を検討してください。睡眠が毎日3時間以上乱れている、食事が取れない日が週3日以上ある、希死念慮(死にたい・消えたいという気持ち)が頭をよぎる、仕事や日常生活に著しい支障が出ている、の4点が目安です。

よくある質問

養子縁組への移行を考える方から多く寄せられる疑問8点について、研究データや制度の根拠をもとに具体的に回答します。申し込みのタイミング・審査・告知・費用まで網羅しています。

不妊治療を終了したあとすぐに養子縁組の申し込みをするべきですか?

急ぐ必要はありません。治療終了後の心理的グリーフのプロセスを経ないまま申し込んでも、審査中・待機中に感情的な問題が噴出することが多いです。専門家の間では、治療終了から申し込みまでに6か月〜1年程度の「感情整理期間」を設けることを推奨するケースが多くあります。ただし、年齢や待機期間の実情を考慮して「情報収集を始める」ことは早い段階から可能です。

養子縁組を選んだことを後悔している養親はいますか?

後悔している養親がゼロとは言い切れませんが、研究(Brodzinsky, 2011)では養子縁組後の親子の愛着形成は生物学的な親子と統計的に有意な差はないとされています。後悔の多くは「準備不足(グリーフが未完了のまま申し込んだ)」か「子どもの背景への理解不足」に由来するとされており、十分な準備期間と情報収集がリスクを低減します。

養子に出生の真実(出自情報)をいつ伝えればよいですか?

現代の研究コンセンサスでは、子どもが理解できる段階(2〜4歳頃)から「あなたは特別な方法でうちの子になった」と少しずつ伝える「早期開示」が推奨されています。日本の民間あっせん機関の多くも早期・継続的な告知を指導しており、成人後に初めて知る「後期開示」は子どもの自己同一性に大きなダメージを与えることが示されています(Triseliotis, 2000)。

特別養子縁組の審査で不妊治療歴は不利になりますか?

不利になりません。むしろ「子どもを強く望み、長期間努力してきた動機の明確さ」として評価される場合があります。重要なのは「遺伝的なつながりへのこだわりが解消されているか」「治療中断に対するグリーフが整理されているか」の心理的側面です。審査では面接でこの点を確認されることが多いです。

特別養子縁組の待機中に何をすればよいですか?

待機期間(1〜5年)は「準備期間」として活用できます。具体的には、育児の学習(乳幼児の発達・愛着理論・トラウマインフォームドケア)、家庭環境の整備(子ども部屋・安全確認)、当事者コミュニティへの参加、カウンセリングの継続、そして心身のセルフケア(十分な睡眠・運動・趣味の維持)が推奨されます。待機中のメンタルケアとして、毎月「自分たちの気持ちの変化」を夫婦で話し合う場を設けることも有効です。

パートナーが養子縁組に消極的な場合はどうすればよいですか?

無理に説得しようとすることは逆効果になりやすいです。「情報収集だけなら一緒にしてみよう」という低ハードルの提案から始める方法が有効です。説明会への参加は申込みを意味しないことを伝え、まず「知る」ことを共有する経験を作ることが合意形成への第一歩になります。長期間対話しても平行線が続く場合は、カップルカウンセリングの活用を検討してください。

養子縁組と不妊治療を並行して進めることはできますか?

制度上は禁止されていませんが、多くの民間あっせん機関では「申し込み時点で不妊治療を終了していること」を条件としています。心理的観点からも、両方を同時に進めることで「どちらかに傾いたら相手に悪い」という葛藤が生まれやすく、双方の準備が中途半端になるリスクがあります。まずどちらを優先するかを夫婦で決めてから動くことが推奨されます。

特別養子縁組の費用は医療費控除の対象になりますか?

特別養子縁組にかかる費用(あっせん機関への費用・裁判所費用等)は、現行の税制では医療費控除の対象外です。ただし、養子縁組後に育児にかかる費用や、縁組成立後は通常の育児と同様に児童手当・乳幼児医療費助成等の公的支援を受けられます。また、会社によっては養子縁組休業中の賃金補填(育児休業給付金の適用)があるため、勤務先の就業規則および雇用保険の適用可否を事前に確認してください。

まとめ

養子縁組は不妊治療の「諦め」ではなく、別の経路で親になる完結した選択です。心理的移行の4フェーズを理解し、パートナーとの5ステップ対話と専門家サポートを活用することで、より主体的な決断ができます。

養子縁組を選ぶことは、子どもを望む気持ちを別の形で実現する、一つの完結した選択です。不妊治療からの移行に必要な時間は人それぞれですが、感情の段階を理解し、パートナーとの対話を続け、正確な情報を集めることで、より主体的な判断ができるようになります。

記事でお伝えした内容を振り返ります。心理的移行は4つのフェーズをたどり、行き来することは正常です。生じやすい5つの感情はいずれも妥当な反応であり、整理する方法があります。パートナーとの合意は5ステップで段階的に進め、急がないことが合意の質を高めます。周囲への伝え方は相手別に戦略を変え、自分たちが主体でいることが重要です。日本の特別養子縁組の待機は1〜5年かかることを前提に、準備期間として有効活用できます。そして、一人で抱え込まず生殖心理カウンセラーや当事者団体を使うことがメンタルヘルスを守ります。

心の準備が整ってきたら、まず都道府県の相談窓口への問い合わせ、または民間あっせん機関の説明会参加(申込みではない)を一つ目のアクションとして検討してみてください。

この記事が気になった方へ

不妊治療中の心理的負担、治療の継続・中断の判断、パートナーとのコミュニケーション — それぞれに専門的なサポートが存在します。一人で抱え込まず、まず相談窓口に問い合わせることが次の一歩です。

不妊治療中の心理的サポートや、次のステップについて専門家に相談したい場合は、産婦人科・生殖医療クリニックのカウンセリング窓口にご相談ください。当メディアでは、不妊治療・メンタルヘルス・ライフプランに関する情報を継続的に提供しています。

参考文献

  • Throsby, K. (2004). When IVF Fails: Feminism, Infertility and the Negotiation of Normality. Palgrave Macmillan.
  • ASRM Ethics Committee. (2017). "Interests, obligations, and rights in gamete donation." Fertility and Sterility, 107(6), 1376–1381.
  • Daniluk, J. C., & Hurtig-Mitchell, J. (2003). "Themes of Hope and Healing: Infertile Couples' Experiences of Adoption." Journal of Counseling & Development, 81(4), 389–399.
  • Boivin, J. et al. (2011). "International estimates of infertility prevalence and treatment-seeking." Human Reproduction, 22(6), 1506–1512.
  • Pennebaker, J. W., & Smyth, J. M. (2016). Opening Up by Writing It Down, 3rd ed. Guilford Press.
  • Brodzinsky, D. M. (2011). "Children's Understanding of Adoption: Developmental and Clinical Implications." Professional Psychology: Research and Practice, 42(2), 200–207.
  • Triseliotis, J. (2000). "Identity formation and the adopted person revisited." In Adoption Theory, Policy and Practice. Cassell.
  • 厚生労働省. (2023). 「特別養子縁組制度について」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/tokubetsu-youshi/
  • 日本不妊カウンセリング学会. (2022). 「認定不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター制度」. https://www.j-infertility.com/

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療・法律・心理的アドバイスに代わるものではありません。養子縁組の手続きや制度の詳細は各機関・各都道府県によって異なります。個別のご状況については、医師・公認心理師・弁護士・各あっせん機関等の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

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公開:2026/4/19更新:2026/4/28