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子宮内膜症のステージ分類|進行度別の症状と治療方針

2026/4/19

子宮内膜症のステージ分類|進行度別の症状と治療方針

子宮内膜症のステージ分類|rASRM分類で見る進行度と治療方針

子宮内膜症の進行度は、rASRM分類(revised American Society for Reproductive Medicine分類)によってI期(微小)〜IV期(重症)の4段階に分類されます。腹腔鏡検査で確認した病変の広がり・癒着の程度をスコア化し、合計点で進行期を判定します。ただし、ステージと症状の重さは必ずしも一致せず、I期でも強い痛みを訴える方がいる一方、IV期でも無症状のケースがあります。

【この記事のポイント】

  • rASRM分類はI〜IV期の4段階で、スコア合計で進行期を判定
  • ステージと症状の強さは必ずしも相関しない
  • 治療方針はステージだけでなく、症状・年齢・妊娠希望を総合的に判断

rASRM分類の詳細|スコアリングの仕組み

rASRM分類は、腹腔鏡手術時に確認された①腹膜病変、②卵巣病変(チョコレート嚢胞)、③癒着の3要素について、大きさ・深さ・範囲をスコア化します。合計スコアに基づいてステージが決定されます。

ステージ

スコア

病態の目安

I期(微小)

1〜5点

散在する表在性の腹膜病変。癒着はほぼなし

II期(軽症)

6〜15点

深部病変あり、または軽度の癒着

III期(中等症)

16〜40点

チョコレート嚢胞(小さめ)、中等度の癒着

IV期(重症)

41点以上

大きなチョコレート嚢胞、広範な癒着(ダグラス窩閉鎖等)

スコアリングの3つの評価軸

  • 腹膜病変:表在性(1〜2点)vs 深部浸潤性(2〜4点)、サイズで加算
  • 卵巣病変:表在性 vs 深部(チョコレート嚢胞)、片側/両側、サイズで加算
  • 癒着:卵巣・卵管のfilm(薄い)/dense(厚い)癒着、範囲で加算

ステージ別の症状と臨床的特徴

ステージと症状の強さが相関しないのが子宮内膜症の特徴ですが、一般的な傾向として以下が知られています。

I〜II期(微小〜軽症)

  • 月経痛がある場合もあるが、日常生活に大きな支障がないことも
  • 不妊の原因として発見されるケースが多い
  • 腹膜病変が主体で、炎症性サイトカインの産生が不妊に関与している可能性

III〜IV期(中等症〜重症)

  • チョコレート嚢胞による卵巣機能低下、卵管癒着による卵管因子不妊
  • ダグラス窩閉鎖に伴う性交痛・排便痛
  • 広範な癒着による慢性骨盤痛
  • ただし無症状のIV期も稀ではない

ステージ別の治療方針

治療方針はステージだけでなく、症状の程度、年齢、妊娠希望の有無を総合的に判断して決定されます。

ステージ

妊娠希望あり

妊娠希望なし

I〜II期

タイミング法→人工授精→ART(半年〜1年で段階的にステップアップ)

NSAIDs、低用量ピル、ジエノゲスト

III期

腹腔鏡手術→術後速やかにART

ジエノゲスト、ミレーナ、手術

IV期

腹腔鏡手術(チョコレート嚢胞摘出+癒着剥離)→ART

手術(子宮全摘含む)or 薬物療法

I〜II期の不妊治療

I〜II期の内膜症合併不妊では、腹腔鏡下の病変焼灼・癒着剥離後に自然妊娠率が上昇するというエビデンスがあります。軽症であっても、不妊が続く場合は腹腔鏡検査を検討する意義があるとされています。

III〜IV期の手術

チョコレート嚢胞4cm以上は手術の適応とされます。ただし手術により卵巣予備能(AMH)が低下するリスクがあるため、妊娠希望がある場合は手術前にAMH測定を行い、術後速やかにARTに移行する計画を立てることが重要です。

rASRM分類の限界|深部内膜症は別の評価が必要

rASRM分類は広く使用されていますが、深部浸潤性子宮内膜症(DIE)の評価には限界があるとされています。腸管・膀胱・尿管に浸潤する深部病変はスコアに十分反映されないため、ENZIAN分類やAAGL分類など新しい分類システムも提案されています。

ENZIAN分類

深部内膜症の浸潤部位を3つの区画(A:膣直腸中隔、B:仙骨子宮靱帯/骨盤壁、C:直腸)に分け、浸潤の深さで1〜3のグレードに分類。rASRM分類では「I期」でもENZIAN分類で深部浸潤が確認されるケースがあり、症状の重さとの乖離を説明する一つの要因です。

画像診断によるステージングの進歩

従来、子宮内膜症の正確なステージングには腹腔鏡手術が必要でしたが、MRI検査や超音波検査の技術向上により、非侵襲的な評価精度が向上しています。

MRI検査

  • チョコレート嚢胞の検出感度:90%以上
  • 深部浸潤性内膜症の検出にも有用(感度70〜90%)
  • 術前の病変マッピングに不可欠

経腟超音波検査

  • チョコレート嚢胞のスクリーニングに最適
  • "Sliding sign"(子宮と直腸の滑り)の消失でダグラス窩閉鎖を推定
  • 検者の技量に依存する面がある

よくある質問

Q. ステージが低いのに痛みが強いのはなぜですか?

A. I〜II期でも腹膜の深部に浸潤する病変や、神経近くに位置する病変は強い痛みを引き起こします。また、炎症性サイトカインの産生量は病変の広さと必ずしも比例しません。

Q. 手術をしないとステージはわかりませんか?

A. 正確なrASRM分類のステージングには腹腔鏡検査が必要です。ただし、MRIや経腟超音波でチョコレート嚢胞の有無・深部浸潤の程度はある程度推定可能です。

Q. ステージIVは治りませんか?

A. 根治は子宮全摘+両側付属器切除によって得られますが、子宮温存を希望する場合も手術+薬物療法で症状を大幅に改善できるケースは多くあります。

Q. ステージは進行しますか?

A. 治療なしの場合、時間経過とともに進行する傾向があります。ただし進行速度には個人差が大きく、数年間ほぼ変化しないケースもあります。

Q. ステージIVでも妊娠できますか?

A. 可能です。IV期でも手術による癒着剥離後のART(体外受精)で妊娠に至るケースは多く報告されています。卵巣予備能の評価を行ったうえで、早期にARTに進むことが推奨されます。

まとめ

子宮内膜症のrASRM分類はI〜IV期の4段階で、腹腔鏡所見に基づくスコアリングで判定されます。ステージと症状の重さは必ずしも一致せず、治療方針はステージ・症状・年齢・妊娠希望を総合的に判断。深部浸潤性内膜症の評価にはENZIAN分類なども補助的に活用され、画像診断技術の進歩により非侵襲的な評価精度も向上しています。

📋 次のステップ:子宮内膜症の進行度や治療方針について相談したい方は、MedRoot提携クリニックのオンライン診療をご利用ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状がある方は産婦人科を受診してください。

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この記事を書いた人

EggLink編集部

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公開:2026/4/19更新:2026/5/4